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第11話:鰤

「この前はすみませんでした。そして、ありがとうございました。今日の昼は自分が出します。」


そうだな、それが約束だもんな。


先週末の飲み会という名の合コン。


半ば騙された形で参加する事になった詫びに、北野が今日の昼飯をご馳走してくれるのだ。


「藤原さんは何が食べたいですか?」

「ご馳走してくれる北野が決めてくれるか?」


本当に北野が決めた店でいいと思う。牛丼屋でもラーメン屋でも構わない。

元々が、北野が自分で言い出した罰なのだから…。


「肉と魚なら、どっちがいいですか?」

「なら魚。」

「駅ビルの海鮮居酒屋にしましょう!」


おいおい、あそこのランチは安くないぞ?

イヤ、量を考えたら安いのだが、丼や定食の最低価格が800円。一般的に1000円は出さないとダメな店なのだ。


それでもランチタイムは年輩のサラリーマンを中心に賑わっているのだから、昼飯に金をかける人は確実にいるのだろう。




歩くこと5分、店の前に到着したが、店内はほぼ満席の様だ。

空いている席がチラホラとしか確認出来ない。


「何名様ですか?」

「2人です。」

「小さめのテーブルで宜しければ、直ぐにご案内します。」

「どうします?」

「いいんじゃないか?」

「そのテーブルでお願いします。」


待たずに座れるなら小さいテーブルでも十分さ。



案内されたテーブルはそこまで小さくなかったので、2人ならこのサイズでも余裕があった。


「何にしますか?」


そうだな…。丼だったら海鮮丼か海鮮天ぷら丼だな。

定食なら、刺し盛定食か鰈の煮付け定食にしたい 。おっ、何々、【本日限定・鰤定食】だと?

ご飯・味噌汁・造り・照り焼き・小鉢で1300円か、後輩に奢って貰うのには高すぎるな。


「藤原さん、決まりました?」

「まだだ。北野は?」

「上天ぷら定食にします。」


はぁ⁉


お前!上天ぷら定食って天ぷらの盛合せに刺し盛がセットになった高額定食じゃねぇか!1600円だぞ!


昼からそんな贅沢すんのかよ!


そうだ、コイツは実家暮らしで独り暮らしの俺とは金銭感覚が違うんだったよ…。


「鰤定食にするわ。」

「了解しました。スミマセーン!」


注文した後は、先日の合コンの話になった。


「藤原さんもヤりますね。あの後、2人で飲みに行ったんでしょう?」

「店を変えて飲み直しただけだよ。」

「お持ち帰りしたんじゃないんですか⁉」

「アホか、そんな節操の無い事はしねぇよ。」

「てっきりそうかと思ってました。」


そこまで飢えてねえよ。人を何だと思ってるんだ!


「お待たせしました、上天ぷら定食と鰤定食です!」


キタキタ~、今年初の鰤だよ。


刺身が4切れに照り焼き、小鉢は小さいがぶり大根か。嬉しいね。


「北野、いただきます。」

「どうぞ、お召し上がりください。」


見事な鰤料理が並ぶが、先ずは味噌汁からな。


ふー、ふー、ズズッ


昼時とは言え、12月ともなれば味噌汁の熱さは身体を温めてくれるね。


具はシンプルに豆腐とワカメだが、豪華なオカズにはこれくらいがバランスが取れていて良い。


嬉しいことに、どれから手をつけるか迷うな。


刺身からかな。


パクッ!


ヌオォー、強烈な脂が口に広がる!ご飯だ、ご飯。


バクッ、バクッ


フッフー、昼間っから刺身で白飯なんて、こんな贅沢な事はないよ♪


普段なら、夜に酒を飲みながら食べるメニューだが、十分なオカズだね。


ぶり大根の大根がいい色だ。俺を誘ってるのか?


よし、その誘いに乗ってやろうじゃないか。


アーン、ハフ、ハフ


大根から染み出す汁の味が美味いよ~。

鰤の旨味を大根が吸収して、大根がクラスチェンジしている様だ。確実に格が上がってるな。


大根にばかり目がいってしまったが、ぶりも食べないと勿体ない。


所謂、アラの部分を使っているから骨が多いのだが、骨の周りの身が美味いのさ。


パクッ!


フフッ、ほらね。ご飯がススムぜ。


「お代わりお願いします!」

「お代わり2つで!」


北野もお代わりか。

コイツの天ぷらもなかなか美味そうだな。


熱々の天ぷらで白飯も贅沢だよな。

たまにスーパーでイカ天やナスを買ったりもするが、どうしても衣がふにゃふにゃだもんな。


刺し盛もマグロ・ハマチ・タイ・タコ・イカが2切れずつか、十分だな。


「どうぞ、ご飯のお代わりです!」


待ってました。


この店は年輩の客が多いからか、茶碗が小さいのだ。お代わりは自由だけどね。


次は当然、照り焼きだよな。


この絶妙な照り加減が堪らんね。


パクッ


なんだろう、この美味さ。

火が入り過ぎていないから、身はパサつくことなくシットリと柔らかい。

タレが甘辛くて、ご飯が欲しくて堪らないよ。


バクッ、バクッ


塩焼きとも煮付けとも違う魚の旨味が米を呼んでいる様だ。


「お代わりお願いします!」

「こっちもお願いします!」

「北野、よく食うな。」

「藤原さんも。」


「お代わりです。」


さあ、第3ラウンドの開始だ!







「ちょっと食い過ぎたな?」

「そうですね…。」


オカズが美味すぎたのが悪いんだよ。


結局、北野と2人で4回もお代わりをしてしまったよ。


「北野、ごちそうさま。」

「いえ、約束ですから。」

「それでも、食後のコーヒーは俺がご馳走するよ。」

「はは、ありがとうございます。それと、この前のメンバーで、また飲み会をするんで参加してください!」

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