想いと重いゴミ
翌日、俺達三人は早速ゼルテの店に行く。相変わらず隠蔽魔法を使用して表の椅子に座っている。そろそろ別のアプローチも必要だと思い、俺達も隠蔽魔法でゼルテに近づく。
魔法で水を生成してゼルテの首元に水滴を落とす。
「ヒャワッ!!なんじゃ!?」
ゼルテが慌てて飛び跳ねる。まだ気づかないのかキョロキョロしているためネタばらしする。
「おはよう。ゼルテさん。居眠りしてたら泥棒に商品を持っていかれるぞ?」
「心臓に悪いわ!もっと優しく起こさんか!」
「ミツハル……。悪趣味ですね……」
「ヒャワだって!アハハハハハ」
ミーニャは笑っているが、アーシェの目がゴミを見るような目になってしまった。
「うるさい!で、今日は何の用じゃ!?昨日きたばかりじゃろう」
「あー。昨日の剣ボロボロになったんだ。今日はこれを持ってきたんだが武器に加工できる鍛冶屋を紹介してくれないか?」
俺はリュックからアダマンタイトを取り出してゼルテに差し出す。ゼルテはそれを手に取り鑑定を始める。
「アダマンタイトじゃないかい!どこから拾ってきたんだい!?」
ゼルテが驚いて聞いてくる。そんなに珍しい物だったのか。
「昨日迷宮で手に入れたんだ。因みにまだまだいっぱいあるぞ?」
「こりゃぁたまげた……。これひとつでも屋敷が建つかもしれんというのに……」
「で、どうなんだ?鍛冶屋に頼めそうか?」
ゼルテは唸りながら考え込む。
「アダマンタイトの加工は特別なんじゃ。普通の炉では加工できんのじゃ。熟練のドワーフならば加工できるかもしれんが、残念じゃがメトにドワーフの職人はおらん」
折角手に入れたのに加工ができないとなるとただの重い石だな……。あの素材の山も売れるもんなのか?心配になってきた。
「仕方ないな……。どこかの物好きに売りさばくしかないか」
「まぁ、まて。あたしは“メトには”いないと言ったんだよ」
「心当たりがあるのか!?」
「うむ。メトから二日ばかり歩いた先にムルステという村があるんじゃが、そこのロイというドワーフが腕の立つ職人じゃった。あやつならアダマンタイトも加工したことがあるやもしれぬ」
「雑貨屋のロイさんですか?」
アーシェが知っているようだ。ムルステに住んでたから当たり前か。
「知っておるのか?」
「はい。私はここに来る前までムルステの教会にいましたから。しかし、ロイさんは鍛冶屋ではなかったような……」
「そうじゃ、今は引退しておる。あたしからは話せんが色々あってな……。鍛冶師をやめたのじゃ。一筋縄ではいかないかもしれん」
ゼルテは少し悲しそうな顔をする。
「当たってみる価値はあるな。ありがとう。ゼルテさん」
ムルステ村には転移ができないため走らないといけない。急がないと……。




