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黄金のファフニール  作者: とっぴんぱらりのぷ〜
第3章 光を追って
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お決まりのセリフ

 俺達の冒険者としての日数を聞いた男は勝ち誇ったようにふてぶてしい態度をとる。


「まだ一ヶ月かよ!しかも北区のギルドってのは迷宮に入ってる冒険者はほとんどいねぇんだろ?雑魚の集まりじゃねぇか」


「なんだ?お前は友達でも欲しいのか?あいにくとお前みたいな奴に付き合っている暇はないんだ。とっとと失せろ」


 いい加減うんざりしてきたので本格的に追い払おうとするが、空気の読めない男はなおも絡んでくる。


「女はべらして良いもん食って気取ってんじゃねーよ。俺はクラン“黄金伝説”のメンバーだぞ!謝るならいまのうちにしとけ!」


 黄金伝説とか無人島で暮らしたりするのか?この世界の住人はネーミングセンスはイマイチらしい。

 勝手に絡んできて謝れとかどんだけ自己中な奴なんだ。そろそろ実力行使に出た方がいいだろうか?このまま騒がせておけば宿にも迷惑がかかる。


「おい……いい加減に…」


 バンッ!


 俺が言うより先にアーシェがテーブルを叩き席を立つ。これには俺もビクっとなった。


「ミツハル、ミーニャ行きましょう。ここは空気がわるいようです」


「そだねー。お腹いっぱいなったしもういいやー」


「お、おう」


 俺達は席を立って部屋に戻ろうとするが男は食いさがる。アーシェの肩を掴もうとして……。


 バキッ!


 ミーニャに払いのけられた。


「つぅーーーーー」


「ダメだよー。お姉ちゃんは加減できないから、お兄さんもクルってなっちゃうよ?」


 バキッってすごい音がしたんだが……。男を見ると左手で右手を掴んでうずくまっている。あー、折れたな……。お前も加減ができてないぞ。


「あー。まだやってる治癒術の店もあるだろぅ。早く行ったほうがいいぞ?ほら、慰謝料だ」


 男の前に金貨を一枚置く。これでは完全に悪者ではないか……。

 男は金貨を掴むと宿の出口に向かって三下丸出しのセリフを吐きながら走り出す。


「お、覚えてろよ!」


 お前の名前も知らないのだが……。


 翌朝、俺達はゼルテの店へと向かった。相変わらずの寂れ具合だが、商売をする気がないのか今日もゼルテは表の椅子に座り隠蔽魔法で隠れている。レベルが上がったらゼルテの姿も見えるようになった。


「ゼルテさん。剣がボロボロになってしまったんだが、鍛冶屋を紹介してくれないか?」


 隠れているゼルテに話しかける。


「ホント面白味のない小僧だねぇ!」


 と言いながら隠蔽魔法を解除する。


「うわ!ビックリした!いつからそこに!」


「それはそれでムカつくよ!まったく……。で、剣がどうしたって?」


 俺は腰に下げている二本の小太刀を鞘から抜き、ゼルテに見せる。


「あんた……。これはミスリル製の特注品だよ?普通の冒険者なら一生物なんだ……。どういう使い方したらこうなるんだい」


 ゼルテのツテでメトで一番の刀鍛冶に造ってもらった小太刀は一週間と保たずに刀身がボロボロになってしまった。因みに金貨五十枚くらいした……。


「普通に使ってたはずなんだけどなぁ。クレームつけたら新しいのくれないかな?」


「そんな事したらウチの信用がなくなるよ!あんたの使い方がおかしいんだよ!待ってな。いくつか新しい剣を持ってくるよ」


 ゼルテはそう言うと店の中をゴソゴソと捜し始める。


「とりあえずはこれとこれを持って行きな。あんたの剣とは形が違うけど、どっちもミスリル製だ。金貨十枚だよ」


 俺は金貨を十枚取り出しゼルテに渡そうとするが、ゼルテはそのうちの八枚だけ取る。


「残りはあとで払いに来な!死ぬんじゃないよ」


「あぁ。ありがとう。ゼルテさん」


 いつものやり取りをして俺達は四十五層に転移する。


「まったく……。死に急いでるようにしか見えないよ」


 ゼルテは誰に聞かせるわけでもなくつぶやく。

















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