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魔力付与

 戻る途中に数組の冒険者グループとすれ違うが、どの冒険者も奇異の眼差しで俺達を見てくる。中央ギルドでやらかした上に少女を二人連れていたら、それも仕方がないのかもしれないが。


 外に出ると辺りはすっかり暗くなっていた。やはり時計がないと不便だな……。


『刻の魔石があれば何刻かわかりますよ?』


「なんだ、あるのかよ。そういうのは先に教えてくれよな」


「はい?」


 リヒトに文句を言ったつもりが、アーシェにも聞こえてたようだ。


「いや、独り言だ。気にするな」


 兵士に戻った事を報告するが、何の感情もなく「さっさと立ち去れ」とだけ言われる。暗くなったためか冒険者の数も少ないが、一つの集団の中にガルドを見つける。向こうも気付いたようで、こちらに近づいてくる。


「よぉ!兄ちゃん達。早速行ってきたのか?」


 周囲にも聞こえるデカイ声で話しかけてくる。


「お!初めての迷宮で五層まで降りたのか!?それはケーファーの殻だろ?」


 ガルドがリュックからはみ出た素材を見て言う。


「いや、今日は一層までで帰ってきた。こいつは途中でなすりつけられた魔物から採ってきたんだ」


 言いつけるみたいになるが、ワザと大事にする。あんな事をするヤツらは恥を知ったほうがいいだろう。予想通りガルドは大声で応えてくれる。


「マジか!?どこのどいつだ!?そんなヒデェ事しやがるヤツは!?どうせ、中央ギルドの甘ちゃん連中だろうがな!」


 仲間からも「ちげぇねぇ」と笑いがあがる。というかそこまでは言ってないのだが……。完全に悪役フラグが立ってしまう。


「ま、兄ちゃん程のステータスだったらちょっとやそっとじゃやられねぇだろうがな!嬢ちゃん達を護ってやるんだぞ!?」


「あぁ……。赤いキツネは今から入るのか?」


「そうだ。今度は五十層まで行ってやるぜ!て、事で一カ月くらいいないからな!ギルドをよろしく頼む!」


「随分勝手だな。今日登録したばかりだぞ?」


「かてぇ事いうなよ。俺とお前の仲じゃねぇか」


 いつからそんな仲に……。


「まぁ、わかった。娘さん達が飢えない様に頑張るよ」


「言うじゃねぇか。お前等も十分気を付けろ。敵は魔物だけじゃねぇ。中央ギルドのヤツ等は他のギルド冒険者を本気で殺しにくるぞ」


 最後は俺にだけ聞こえるように言い、ガルド達は大声で笑いながら迷宮に入っていった。


 暗くなったが俺達はそのままギルドに向かうことにした。


 相変わらずボロいギルドだが、中に入ると赤いキツネがいなくなった事もあり、数人の冒険者がいるだけだ。


「「お帰りなさい!」」


 ラウとマウがシンクロ率100%で出迎える。


「初迷宮はどうでしたか!?」


 ラウが期待に目を輝かせて聞いてくる。


「一層だけで帰ってきた。魔石と素材もあるんだが、買い取ってくれるか?」


「はい!素材も買い取れますが、安いですよ?いいんですか?」


「あぁ。構わない。見てくれ」


 そう言ってカウンターに採ってきた物を並べる。マウがひとしきり見て尋ねてくる。


「一層だけだったんですよね?ケーファーの殻がありますが?」


「ちょっといろいろあってな。拾ってきた」


「魔石四つとケーファーの殻で銀貨十枚ではどうでしょうか?」


 予想よりも高い。魔石二十三個で銀貨四枚くらいだったはずなのに。


「意外と高いな。朝に見てもらった魔石は全部で銀貨四枚じゃなかったか?」


「はい。先に鑑定した魔石は小さく、迷宮外の物だったのであまり値がつかないんですよ。でもこちらは粒も大きめですし、純度も高そうなので一つ銀貨一枚で買い取らせてもらいます。ケーファーの殻は全部で銀貨六枚になります」


 ラウから銀貨を受け取り、小包を渡す。


「あの、これは?」


「さっき、屋台で買ってきた串焼きだ。二人で食べてくれ」


「「あ、ありがとうございます!!」」


 何の肉かはわからないがな……。


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