第一の町"リディア"
主人公視点
私達が記念すべき第1の町にたどり着いたのは出発してから暫く経った頃だった
あんなに青く鮮やかだった空がラピスラズリの様な綺麗な紫色になり、金色に輝く月が覗き
私は、やることもなくレジーナが提供してくれる座り心地最高なソファーにはしたなく転がり、ユエをぬいぐるみを扱うようにお腹に寝転がらせ両手を持って柔らかな手の感触を楽しみながら窓から外の景色を眺めていた
「綺麗な星空ね…生まれて初めて見たわこんなに綺麗な夜空」
私がそういえば私の腕のなかのユエは可愛らしくその長い耳をピコピコ動かしキョトンとした顔で私を見上げる
「リル様はここいらの方では無いのですか??」
私的にこの二人(正確に言えば一台と一羽だけど…)には私が異世界から連れてこられた存在と打ち明けても大丈夫だと考えた
だって、レジーナは私にだけ与えられた私専用の魔法の馬車だし、ユエは私と永続契約した神獣…となれば結び付きも他のどんな人が割り込んできても強いはず!…多分…
絶対なんて言葉まだあると完全に言えないけど、無いともいえない。それにこの世界に骨を埋めて生きてかないといけない今、精神的に心の支えは大切…絶対
始終信用できる人がいない状態なんて耐えられる自信なんて全然ないし…所詮チート能力与えられただけの人間…平和の国日本のひ弱系女子だもん…
町につく前に二人には言っておこう…うん
「あ、あのさ、二人とも…実は私この世界の人間じゃないんだよね」
どんな反応が来るか少し…いや実はかなりドキドキして二人の様子を伺えば実にあっさりしたものだった
『私はリル様に名を与えられた時から何となく感じていました…リル様からは他とは違うオーラを感じますから。リル様…不安なご様子ですが、貴女様が不安に思うことはなにもありませんよ?私達はリル様のものです』
レジーナは私を安心させてくれる優しい声色でそう告げるするとレジーナに負けじとユエが自己主張するようにピョンと跳び上がり床に降り立ち私に片足をおって膝まづいてみせ
私に恭しく頭を垂れる
「僕も勿論リル様がこの世のもの達とは違った存在だと心得ておりました!しかしご安心ください!レジーナに先を越されましたが、言わせてください!リル様から僕達が離れることなどないです!」
二人の言葉に、その言葉から伝わる固い決意にも似た響きに思わず涙腺が弱くなるのがわかる
私はただの女の子…で通るかは微妙だけど女の子だ。もしかしたら、この世界のお姫様より全然ひ弱かもしれない
よくある小説の主人公みたく異世界へ来たことに喜び使命に情熱を燃やすことも、自分の命と引き換えに世界を救うだなんて思えること考えられないし、二度ともとの世界に…家族に会えないと言われて平気だとはとても思えない
ずっと虚勢を張ってただけだった…自分がしっかりしなきゃこんな頼れる人もいない、住むところも食べるものも無くて、周りには見知らぬ人間ばかり…落ち着ける場所を確保するまでは気を抜けなかった…
ホントは不安で、不安で堪らなかった。だから二人に私が心のそこで望んでた言葉を貰い今まで抑えてた感情が溢れだした
「リル様!?」
自分の頬に熱い涙がとめどなく伝うのが分かる…私はまるで子供みたく声をあげてわんわん泣き出した
二人を困らせてしまうとは分かったけどどうしようも無くて、涙はポロポロ溢れてくる
「リル様大丈夫ですか??ぼ、僕のせいですかっ!?ぼ、僕どうしたら…っ」
『リル様は貴方のせいで泣いてるのではないわ…伝わってくる…リル様は今までずっと泣くのを我慢していらしたの』
レジーナが私の代わりにユエに私の気持ちを伝えてくれる…魔法の馬車って改めて凄いんだなって変なところで感心しちゃった
ユエはレジーナに聞き終わると驚く程素早くその場から駆け出し何かを探しに行きまた風のごとき速さで私の元に戻ってくると一言ことわって私の膝に跳び乗ってきた
「貴女の涙はまるで真珠みたいに綺麗ですけど、やっぱり僕は笑顔のリル様が一番好きです」
ユエはそう言うと私の涙を探してきたであろう可愛らしいハンカチで優しく拭ってくれた
ハンカチはレジーナが予め用意しておいてくれたものだろう…優しい二人が改めて好きになった
私はホントに恵まれたなと自分を守護してくれる愛と美の女神様に心のなかで感謝した…こんなに素敵な仲間と…家族と引き合わせてくれてありがとうって
それからしばらくして私の涙も止まって気恥ずかしさで落ち着かない私の為にレジーナが美味しいミルクティーとケーキを出してくれて、ユエがまたぬいぐるみみたく私の腕のなかで大人しくしてくれてる間に町についていた
町並みは最初に私が神の老人によって集められていた場所と似通った雰囲気で、中世の外国を思わせる造りになっていた
窓から見えるこの世界の人々はゲームに有りがちの様々な髪色の人達が居るみたい…カラフル過ぎて目がチカチカしてきた…
でも色々観察してたけど、色々な髪色があるとはいったけど、私みたいな銀髪はいないみたい…ここに居ないだけなのかな?
もう夜になって薄暗いからあまり目立たないと考えていたけど、やはりレジーナみたいな綺麗な馬車って目立つみたいで色々な人が見てくる
私はレジーナが気をきかせて着けてくれてるカーテン越しに外の観察してるから向こうからは見えてないはずだけど、なんか落ち着かないな
町の入口の大きな門に差し掛かったあたりで門番を勤める兵士に止められた
「通行許可書、または身分証の提示をお願いします」
この外装が美しい馬車から見て高い身分の人物が中にいると考えたのか丁寧な言葉遣いで兵士が話し掛けてくる
「え!?ど、どうしよう?私そんなの持ってたっけ?」
兵士の言葉に慌てて持ち物を確認してみるけど、それらしいものが見当たらない…どうしようとあたふたしていれば、クラッカーを鳴らしたようにパンッと軽い音がして目の前に細かな彫刻で、美しい女神が彫られこれまた美しい装飾を施された手のひら大のメダルの様なものが現れた
持つ部分に困らない為か綺麗な鎖がつけられていて芸術品かと思い見惚れるもなぜ今現れたのか頭を捻っていればメモの様なものが落ちてくる
<あぁーん!ごめんなさぁーい!この世界の町とか国に入るには通行許可書とか身分証とかいるのよ~人間って面倒なこと考えるわよね~?そ・こ・で、神族である証あげちゃう!これさえあればどこでもいけるからぁ♪うふふ♪じゃーね♪>
とりあえず助かったな…うん
私は念のためにマントを被ってカーテンを開け今女神様からもらった身分証を門番に見せる
すると、それを確認するなり目に見えて門番があわてだし先程よりもっとへりくだった口調で少し待つように言ってくる
レジーナの快適な車内で待つのは全然苦じゃないし、大人しく待つこと微々たる時間
忙しない足音を立てて人が近付いてくるのが分かる…そして外から声をかけられ顔を覗かせれば大勢の兵を従えた一人の男が先頭に立ちこちらを見上げていた
「神族の方に足を運んで頂けるとは光栄の極みに御座います!私、この町"リディア"を治める領主ホワイト・ウィリアムと申します。神族である貴女様には是非我が城でもてなしを受けて頂きたく存じます!」
なんだか面倒そうな予感がするなぁ~でも、ここで断ってもっと面倒なことになっても嫌だし、ここは乗っとくべきかな?
「貴方の申し出…ありがたくお受けします」
こんな感じの言葉遣いで良いのかな?…まー神族だからってことで良いよね?
「おぉ!ありがとうございます!では早速我が城までご案内させて頂きます!…衛兵!神族様の馬車を援護するんだ!」
その領主なるホワイト氏?ウィリアム氏?の指示にきびきびと応衛兵達はレジーナを取り囲む陣形をとって進み始める
領主と何か話さなきゃならないのも面倒だし、私は目的地に着くまでまたソファーに寝転がりユエをギュッと抱き締め手をにぎにぎしたり好きに動かして遊ぶ
「ユエはホント大人しくしてくれるよね?嫌だったら言ってね?」
「嫌だなんて全然思いません!むしろもっと僕に触ってくださいリル様!」
そういうとユエは私の手のひらに頭をグリグリ擦り付けてくる…破壊的な可愛さだった
そんなこんなでユエと戯れているとレジーナが動きを止めた。どうやら目的地に到着したようだ
「我が城に着きましたので、降りてきて頂けますか?」
こちらの様子を伺うように慎重さが伝わってくる声で領主が声をかけてきた
レジーナを残していくことに不安を感じるけど、流石に一緒に城内には入れないだろうし
『心配しないでくださいリル様。私にはリル様が許した者以外誰であろうと入れませんし、干渉することは出来ません。』
レジーナの言葉に安心し、女神様に貰った魔法のステッキを持ち物を入れておけるアイテムボックスに収納し、準備を手早くすると腕にユエを抱き締めたままレジーナから降りた
「ささ、こちらへどうぞ」
領主の後に続いて城内へ入ればその華美な内装に少し見入ってしまうも、すぐハッとして視線を戻す
「どうぞ腰を下ろしてください」
客間に通され、豪華な作りのソファーを薦められ遠慮せず座る…
「私の城へ来てくださり本当にありがとうございます!最高のもてなしが出来るよう城のものに言いつけてありますので、ご自由にお寛ぎ下さい」
領主は人の良い笑みを浮かべ私を見てる…でもなにか思惑が有るんだろうけど…それが何なのか知りたいものだな
「その、神族様…失礼とは思いますがお伺いしたいのですが、そのマントをお取りにはなられないのですか?」
失礼とか思うなら聞くなよ…んーどうしようかな~困ってユエを見れば可愛い手をバツマークにしてる
「誰にでもみだりに見せる気は無いので」
「そ、そうですよね!申し訳ありませんでした!あ~そうです!この城にいるあいだ貴女様の護衛に着けるものを選んでいただけますか?」
護衛とか…いらない気がするな~それに他人に張り付かれるなんてやだなー
ユエも必要ないとばかりにソファーに足を叩きつけ不機嫌なことを訴える
「私、そんなにここにいるつもりは無いので、護衛は必要ないかと」
私がそう言えば焦ったように使用人に合図し何人かの男性が部屋に入ってくる
見たところどの男性も見目がよくて女性受けがよさそうな人ばかりだった
「さ!気に入られた者をお連れ下さい」
領主は引く気はないみたい…適当に選んで放置しとくかな?
「じゃあ…彼が良いです」
私が指差したのは、複数居るきらびやかな男性の中で一番大人しい色の人だった
「お選び下さりありがとうございます。ルイスと申します。誠心誠意貴女様に尽くさせて頂きます」
まるで夜の闇を思わせる見事な黒髪を長く伸ばし、髪と同じ漆黒の目を持つ美丈夫で、声は思わず聞き惚れてしまう低音の良い声…ユエからの視線が痛いから言わないけど
「では続きのお話は食事でも取りながら致しましょう!さ、ご案内して差し上げろ」
「はっ。神族様どうぞこちらへ」
黒髪男についてくと映画やテレビでしか見たことの無い長いテーブルにキャンドルやら食器が並べられてる
黒髪が椅子を引いてくれたので軽く礼を言い座ると黒髪はスッと手を差し出した
「何?」
「お食事中にその兎を抱いていることは難しいでしょうからお預り致します。」
知らないとはいえユエをペットかなにかと思われて思わずムカッとした私は首を横にふりそれを拒否した
「この子は神獣…私以外の者に身を委ねない」
ユエは私の言葉に嬉しそうに背中の翼(小さくしてる)をパタパタ動かし私にスリスリと頬擦りしくすぐったくて笑ってしまう
黒髪は神獣という言葉に身を強張らせ慌てて非礼を詫びてくる…なんだか神族様々だなー
進んだような進まなかったような(;A´▽`A次はどーしよかなー(´-ω-`)