したたかウサギの思い
ユエ視点ですー
リル様は僕のお願いをすんなりと聞いてくださった!
あれから、マントを再び被ってその可憐なお顔をお隠しになったリル様は僕を腕に抱いて領主のホワイト…ハウス?だっけ?なんかそんな感じの人間に僕の経験値の為に戦ってくれる強い人間を頼んでくれた
すると、領主は昨夜賊に入られ今のところ回せる者が居ないとかなんとか冷や汗流しながら言ってる
「そう…なら結構です」
これ以上言っても不毛だと思われたのかリル様はそれならこことおさらばして自分達でモンスターなり強い人間なり探してどうにかしようとおっしゃる
「本当に申し訳ありません…賊にさえ入られて居なければ」
賊ね…それ僕なんだけどね?
いやぁ昨日早く経験値欲しいのとリル様をおぞましい目で見ていたり、取り入ろうと考えていたゴミをお掃除していたらなんだか沢山の人間を片付けることになっちゃったんだよね~
そのお陰でそれなりに経験値も積めたしもうそろそろ感覚的に進化出来る気がするんだよね!!
「そこで神族様、お詫びといってはなんですが、今宵私が保護している神族様方皆さんのためのちょっとしたパーティーを開こうと思っているのです!是非参加してください」
へぇ…この人間ちゃっかり色んな稀人収集してたか
此処はリル様から聞いた稀人が降り立った最初の町から一番近い町だからね…そりゃ他の権力者より先んじて稀人を集められるよね
「パーティーとか別に興味ない」
リル様は素っ気なく領主にそう言うけど、多分本当は興味あるんだろうな~リル様可愛いものや綺麗なもの好きだし、ドレスとかオシャレに興味あるだろうし…
〔リル様!何かあれば僕が絶対にお守りします!だから参加しても良いですよ?〕
僕が念話で伝えると口元に笑みを浮かべる…可愛い!!リル様すごい嬉しいんですね!分かりますよ!
はぁ…なんて可愛い人なんだ
「そう言われず!是非!」
「じゃあ…少しなら」
リル様の返答に嬉しそうな人間はドレスや装飾類を手配するとかで去っていった
その後何もすることがない僕とリル様は部屋でのんびりと過ごしていた
「ねぇユエ…此処に保護されてる私のお仲間は何人くらいいると思う?」
ソファーに寝そべり僕をお腹に置いて僕の前足を動かしたり感触を楽しむように触っていたリル様が手をとめ僕に尋ねられる
それに答えるために耳をピンと立てる。僕の耳は意識すればどんな音でも聞き取れるからね
「正確な人数は分かりませんが、結構な人数が集められているようです」
「そう…同じ稀人でも仲良くするつもりは無いのよね私…基本群れるの嫌いだし」
心底嫌そうにリル様が言う…それは僕にとっては好都合
僕からしたらリル様から与えられる愛を分ける敵は少ない方が良いからね?
リル様が望むならその稀人達全員皆殺しにだってしてあげたい
まぁ…まだリル様がどの程度他者への関心が排他的なのか見極めなきゃだけどね…
もしリル様が言葉と裏腹に困っている人を助けたいと思われるなら僕の意志はすぐにそちらに傾く
リル様の意志に反する事をして嫌われては僕は生きていけないしね
とりあえず今の僕の任務は今夜のパーティーでリル様を主役にすること…だね!