生徒会庶務 03
「誰?……って。イヤイヤ、だから生徒会ですよ!」
中庭。
焼き鳥屋台の前に人混みが出来ており、見てみると喧嘩のようだ。
焼き鳥屋台の担当者とショートヘアーの女子生徒が言い合っている。
生徒会としてやっぱ介入しないとなー、と思って行ったら誰?って……。
「……ねぇねぇ、焼き鳥屋?アンタ知ってる?」
「……悪ぃ。わかんねぇ」
コソコソしないで……。
「ホントにわからないっすか?生徒会庶務、増田ですよ?」
腕章を相手に向ける。
「そう言われると一年の中にいたような……?」
「えー?生徒会の一年って前ちゃんと長束っちと書記の子だけじゃないっけ?」
浅野のことも覚えてないんだ……良かった、僕だけじゃなかった。
あ、でもアイツは存在を知られてるんだ……。
ていうかもうこの話止めよう。
僕は泣きたい気持ちを抑えて聞いた。
「とにかく、何があったんですか?」
「そうだった!コイツが俺らの焼き鳥をバカにしやがったんだ!」
「だから、コラボだって!売れないモノ同士だけど、一緒に売ったらきっと儲かるよー!」
……なるほどなぁ。
要は業務提携の交渉に来たんだけど、この先輩の口の悪さ……というよりは正直さが災いしてこうなってるのか。
頭は切れるっぽいんだけどなぁ……。
「とにかく!俺たちは焼き鳥一筋だ!コラボなんてゴメンだ!」
「もぉ……赤字になっても知らないよ?」
「……うるせぇ!」
ガンっ!と焼き鳥屋は店の隅を蹴り、屋台の奥へと戻った。
「ハァ……失敗か。まぁ、まだ一軒目だし!頑張るか!」
そう言って先輩は去っていった。
いや、去ろうとした。
が、先ほどの蹴りが効いたのか、屋台の上にかかった看板が先輩目がけて落ちていく。
小ぶりだが、当たったら痛いでは済まない。先輩はまだ気づいていない。
ダメだ。間に合わない。
「そんな……」