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告白者 02
「最悪だ……!」
どうやらラブレターを落としたようだ。
さっきから何度も何度も確認しているが、見つからない。
手渡すつもりだったから名前は書いていないが、だからといって他の人に見られでもしたら……。
「落ち着け……落ち着け……これからどうする……?」
落とし物届けでも出すか……?
いや待て、その時にラブレターの話をするのはさすがに恥ずかしい!
だが、誰かに見られるよりはマシなのかも……。
あぁぁ、ダメだ!
「ひとまず校内をもう一度探してみよう……」
結局、中間の意見を俺はいつも選んでしまう。
何の解決にもならないのに。
急に、背後の喚声が大きくなった。喧嘩だろうか?
「……」
しかし、振り返らずに進む。
行ったところで俺に何ができるだろうか?
……何もできない。
俺は中庭を逃げるように立ち去った。行き先は校舎。喚声の反対側へ。
「……変わりたい」