表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/24

告白者 01

「暑いな……」


 屋台が立ち並ぶ中庭。

 鉄板の熱気に耐えきれずに呟いた。

 天正高校学園祭も3日目。最終日だ。

 ついに、ついにこの日が来た……。


 今ここで宣言しよう。俺、高橋は今日告白をする!

 あぁぁぁ、何かもう緊張してきた……。

 いや、落ち着け、俺。

 この日のために準備は完璧だ。肝心なトコでアガってしまう性格を考慮して書いてきたラブレター。

 狙いは後夜祭の時だ。


「高橋!」

「ひゅ!?」


 やばい、変な声が……。ていうか、この声って……?


「た、立花ぁ?」


 振り向くとそこには告白する予定の立花がいた。ショートカットで前髪をピンで止めている。クラスは違うが部活は同じ剣道部だ。


「何でそんな驚いてんの? てか今日ってクラス屋台の当番?」

「いや、俺は昨日だから……」

「ふーん。あ! 暇だったら部活の屋台手伝って! 人手足りなくてさー」

「あれ?女子剣道部って出し物やってるの?」


 ちなみに男子剣道部はやらない。思い出作りよりも面倒くささが勝ったのだ。


「あー。結局ギリギリに女子剣道部でやろうってなったの」

「何やってんの?」


 そう聞くと、立花はよくぞ聞いてくれましたとばかりに言った。


「焼きそば! 剣道部だけに……メンを扱う店!」


 ……痛い! ドヤ顔が痛いよ!

 そしてそれに満足したのか、そのまま手を振って去っていった。


「絶対来てよねー! お客としてでも良いからさ!」


 あぁ、あんな感じだけど俺は好きだ。この気持ちを伝えたい。もう肝心な所で失敗なんてしない!


「ん?」


 ふと、ポケットに手を入れて違和感に気づく。咄嗟に他のポケットも確認する。

 ……無い。ラブレターが無い。

 一息。

 これからはじまる、長い長い1日。俺の物語が幕を開けるのだ。

 開幕の叫びをあげよう。


「どうしていつもこうなるんだぁぁぁ!」





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ