対ゴキブリ戦争
お題:楽しいお金 必須要素:ゴキブリ
最近のこと。家の中で、ゴキブリをよく見かける。
私は見つけるたびにスリッパで叩き潰しているのだが、それでも数が減る気配がない。今日は3匹見つけた。昨日は4匹くらい。ひどいときには、10匹近く群れていることもある。もうキリがない。
そこで私は、一丁、害虫駆除にお金をかけてみることにした。
とりあえずホウ酸団子を、近くのホームセンターで大量に買ってきた。全部で10000円くらい使った。これだけあれば、さすがに家の中からゴキブリを絶滅させることができるだろう。これは期待できる。
私は買ってきた大量のホウ酸団子を、言えのあちらこちらに仕掛ける。ホウ酸団子とホウ酸団子の間隔が、1メートルないかもしれない。部屋の中が、微妙にホウ酸団子臭くなったが、これも増えすぎた害虫を駆除するため。仕方ない。
勝利を確信した私は、とりあえずその余韻に浸ることにした。近くのカフェに行って、いつもの三倍近くお金を使って、ちょっと高めのものを食べた。一人で祝勝パーティの気分だ。ちょっと気になる、あこがれの店員に、「なんか臭くないですか?」みたいなことを言われたのが、すこしだけショックだった。プラスマイナスゼロくらい。いつか彼女を恋人にしたい。というのは私の願望。
それから二か月ほどたった。結果はいまいちだった。
家からゴキブリはいなくならない。確かに以前の30パーセントくらいオフしたが、それでも多い。泣きそうだ。私は再びホームセンターに行って、殺虫スプレーを買うことにした。実力行使だ。兵糧攻めみたいに、気長に待っていても仕方がない。あいつらはひそかにどこからか食料を得ている。
スプレーも大量に買った。今回は前回の倍のお金を使った。20000円くらいだ。
家の中では、常に一本持ち歩くようにした。ゴキブリを見かけるたびに、すかさずスプレーを取り出し、早打ちガンマンのごとく、すぐさま射殺する。気分は爽快だ。こいつらに思い知らせなければならない。ここは私の家で、私こそがこの家の頂点であるのだと。私は自宅で無双した。
結果は芳しくなかった。
やっぱりキリがない。ある日思い立って、ゴキブリの巣と思しき所に直接吹きかけてみたが、その時真っ黒黒すけの巣に指を突っ込んだがごとく、中から大量のゴキブリがあふれかえってきて少し怖かった。一瞬、この家の主導権を奪われたような気がした。
ついに私は引っ越した。1000000円くらい使った。家具も新しくした。
楽しいお金の使い方だった。