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#9.三二への挑戦状

本編の前日…監督宅…


配達員(60B)「郵便です!」


監督「なんや?…これは…挑戦状やないか!至急連絡や!…ま、もう遅いし、明日でええやろ…」

11:26…三二宅…


TV『完封ー!植木園、完投勝利!よって東東京代表は荒川学院に決まりました!』


三二「荒川学院が来たか…」


のえる「強いんですか?」


三二「いつもはベスト4~8で止まっているところだったけど、ショートの木下、ピッチャーの植木園の活躍で今に至ってるって感じだな…」


のえる「へえ~」


三二とのえるがくつろいでいると電話が鳴った。


三二「ああ俺が出るよ…」


のえる「はい♪」


三二が気だるそうに電話をとった。


三二「もしもし三二です…」


監督「三二、至急新寺学園のグラウンドに来てくれ;雷鳴轟学園から挑戦状が届いたんや!」


三二「えっ!?」


雷鳴轟学園といえば、広島県の代表校であり、和泉哀の兄である強打者、和泉満が所属している高校である。


三二は戸惑った。


三二『雷鳴轟が新寺に何の用が…?』


監督「つまりや、お前と勝負を望んどるようなんや!」


三二「はい!?」


三二はさらに戸惑った。


三二「何で俺なんですか監督!?」


監督「知らんわ!とりあえず来てくれ!」


三二「えっと、わかりました!」


三二は慌ててユニフォームに着替えて荷物をとった。


のえる「どうしたんですか?いっちゃん?」


のえるは不思議そうに三二を見た。


三二「雷鳴轟学園が俺に挑戦状を叩き付けてきたって;」


のえる「挑戦状ですか~;いっちゃんも有名なスターみたいですね♪」


三二は呆れ気味に笑った。


三二「とりあえずいってくる;」


のえる「今日もかっ飛ばしてきてくださいね♪」


三二「おう!行ってきます!」


のえる「いってらっしゃ~い♪」


三二は家を飛び出した。


のえる「でも、浜辺高校ってきいたことありますねぇ…」


そして、新寺学園グラウンド…


三二「三二一、到着しました!」


監督「おう、ご苦労さん!」


三二「それで、その挑戦状ってのは?」


監督「ああ、そやった…あれ?」


監督は挑戦状を探している…が、一向に見つからない;


一浦「あの…もしかして、家に忘れてきたのでは…」


一浦の言葉に監督は思い出した。


監督が家を出る際に玄関の戸棚に挑戦状を置いたことを…;


監督「そやった;忘れた;」


三二たちは呆れた;


監督「けど内容は覚えとるで;たしか、2番勝負やった」


皆「2番勝負?」


監督「そうや、1発目がうちのエースピッチャーと雷鳴のバッティングエースの対決、2発目が雷鳴のバッテリーとうちのエースバッターの対決や」


皆「おお…」


四野「あの、それでこっちは誰がいくんですか?」


監督「うちは一浦と三二で行こうかと思っとる」


八束、七浜、九住が「やっぱりそうだろうな」と言う風にうなずいた。


八束「確かにな。三二の破壊力と一浦のコントロールだったらいけるかもしれん」


七浜「それに御影一高との試合で三二先輩は5打点でしたしね!」


しかし六車は疑問に思う点があった。


六車「五竹にはしないんですか?それに俺らは何したらいいんです?」


監督「五竹もええがな、向こうは三二を推しとるようなんや;そしてな、相手は都合上3人しかこれんのやと;」


四野「つまりは守備要員というわけですね?」


監督は静かにうなずいた。


五竹「しっかり頼むぜ!三二!」


三二「おう!」


五竹と三二は拳を交えた。


監督「さて、時間もないけどとりあえず練習しようか;せっかくの休日をすまんかった;」


三二「いいんですよ;ところで、和泉さんは?」


監督「ああ、今日は連絡しとらんねん;」


三二「どうしてですか?」


監督「今日な、彼女用事で来れんってメールが来たんや;」


三二「そうですか…じゃあ、練習行ってきます!五竹ー!キャッチボールしようぜ!」


五竹「オッケー!」


三二と五竹はスペースをとりに走って行った。


監督も選手の様子を見にいった。


すると草むらで聞いていた3人組が出てきた。


八束「なんだ;哀ちゃんこないのか;」


九住「ちょっと残念ですね;」


八束「何と言っても兄が来るって日に用事だなんて;世の中辛いねえ;」


七浜「八束先輩、それって浜辺高校の松本っていう仮面をつけた人のセリフでしょ?」


九住「あの人よくテレビとかで出てますね!」


八束「だろ?俺の読みだけど、その松本ってやつ浜辺高校の野球部にいそうじゃないか?」


七浜と九住は「まさか~」と言って笑った。


八束も笑った。


3人が笑っているところに四野が駆けつけてきた。


四野「おいお前ら!さぼってないで練習しろよ;」


3人「はーい;」


八束たちは練習に戻った。


そして13:00…


友岡「初めまして…俺は雷鳴轟学園投手、友岡勇気ともおかゆうきです。よろしくお願いします」


新寺の選手たちは皆お辞儀をした。


泉野「俺は捕手の泉野翔いずみのしょうです。よろしくお願いします」


二宮『このバッテリー…只者じゃないぞ…!』


和泉「俺はファーストの和泉満いずみみつるです。よろしくお願いします」


一浦『…すごいオーラだ!』


監督「以上の3人が雷鳴轟学園から勝負を申し込んできた精鋭たちや」


心なしか和泉は何かを探しているようだった。


友岡「それで、対戦相手はどの人ですか?」


監督「せやったな;まず、こっちのエースピッチャーの一浦秀也。二年生や」


一浦「よろしくお願いします」


一浦はやや緊張気味にお辞儀をした。


和泉『エースピッチャーは二年か…ということはスター性はあるということか…』


監督「で、エースバッターの三二一。三年生や」


三二「よろしくお願いします!」


三二は威勢よくお辞儀した。


友岡『満の言ってた三二か…確かに強そうなやつだな…』


泉野『コイツが三二一ねぇ…見るからに打ちそうな気合持ってるよコイツ;』


監督「じゃあまずは和泉君と一浦の対決やな」


一浦「はい!」


二宮「俺がキャッチャーします」


監督はうなずいた。


和泉は何かを探しながらも一浦の投球練習を見た。


友岡たちは分析をしている。


和泉『哀はいないのか…まあいいか…』


友岡「だいたい球速は130くらいで、変化球が多いタイプか…和泉にとっちゃ楽な相手かもな!」


和泉「ああ。でも油断したらダメだ」


泉野「だね!」


市布「プレイボール!」


今日は非公式であるため、市布が代理で審判を務めている。


和泉は冷静にバッターボックスに立った。


一浦の一投目、二宮はスライダーを要求した。


一浦はコクンとうなずいた。


一浦「ハッ!」


和泉「…」


和泉は球を見送った。


市布「ボール!」


竹若「たぁーっ!きわどい!」


十川「市布の選球眼はここで活かされるんだよな;」


市布旬いちぬのしゅんは普段は控え外野手であるが、その選球力はバツグンに強いのだ。


和泉は構えなおした。


二宮『誰もが振るところを振らなかった…これは微妙なところを突くしかない!』


二宮はストライクゾーンぎりぎりのところに構え、カーブを要求した。


友岡「なるほど…だけど満にはそうはいかないいんだよな…」


友岡はベンチで笑みを浮かべた。


一浦の二投目はまさにそのコースへ行ったが…


カキーン!


快音とともにボールはレフトの七浜の頭上を大きく越えて、場外へと消えていった。


和泉「フッ…」


和泉はゆっくりとベースを回った。


友岡「1勝目だ!」


泉野「さすが満!」


和泉「まだまだだね…」


雷鳴轟の3人はハイタッチした。


一浦は「くそっ!」と言いながらグラブをマウンドに叩き付けた。


友岡「さてと…次は俺たちの番か…」


泉野「三振に取ってみせるぜ♪」


監督は苦笑いだ。


監督『一浦のピッチングをあそこまで飛ばしよるんかいな…;アカンわ;』


二宮「すまん、一浦;」


一浦「いや、いいんですよ先輩…運が悪かったんですよ…」


一浦の顔に笑みは無かった。


監督「さて、次や!三二、飛ばしたれい!」


三二「はい!」


友岡が投球練習を始めた。


八束「うへえ;速え…;」


七浜「ただ球速的には十川先輩の方が速いかもしれませんね」


九住「でもまああのキレのあるカーブは厄介です;」


八束「そうだな…」


外野の3人組はセンターに集まってまた喋っている。


四野「おい外野!すぐにポジションにつけ!」


3人「はい!」


四野に注意されて、3人は本来のポジションについた。


三二「お願いします!!」


三二は気合とともにバッターボックスに立った。


友岡『お手並み拝見といきますか…』


泉野『もしかしたら力んでるだけかもしれないな…ここはぎりぎりのコースで!』


友岡はうなずいた。


そして構えると、一気に投げた。


三二『きわどい!』


三二は思いきってスイングした。


カキーン!


友岡「なっ!?」


友岡は振り返ったが、大きく左にそれた。


市布「ファウル!」


友岡「あぶねー;;;」


泉野は唖然としている。


三二「くぅーっ!惜しい!」


友岡『こいつ…できる!』


三二は構えなおした。


二投目、友岡は150キロのストレートを投げた。


三二『!!』


カキーン!


友岡は再び打球の行方を追った。


今度は九住の頭上を越えてフェンスに直撃した。


友岡「…負けた;」


友岡は少し悔しそうに帽子を目深にかぶった。


三二は和泉のいるファーストに止まった。


和泉「…さすがだよ三二君。君に彼女ができるのも無理はないね」


三二はキョトンとした。


三二「あの、俺には彼女はいませんよ?」


和泉「え?あの、のえるっていう人は彼女じゃないの?」


三二は驚いた。


三二「何で知ってるんですか!?」


和泉「いつだったか長崎で会ったから…」


三二は和泉に頼みごとをした。


三二「このことは内緒にして下さい;お願いです;」


和泉「え、ああ、いいけど?(なんでだ?)」


三二「そうしてくれると助かります;」


和泉「そしたら、こっちからもいいかい?」


三二は少し戸惑った。


三二「何ですか?」


和泉「妹の哀によろしく言っててくれ;日帰りで来てて、帰らなきゃならないんだ;」


三二「わかりました」


三二と和泉は握手した。


監督「ということで今回は1勝1敗やったけど、ともによう頑張った!」


皆「ありがとうございました!」


監督「雷鳴轟学園の3人はこの後どうやって帰るん?」


和泉「タクシーに乗って駅に向かいます」


監督「そうか」


友岡「甲子園では三二君に勝ちます!」


監督「こっちが甲子園に来れればの話やな;」


泉野「絶対に来れます!」


監督「そう言ってくれると嬉しいわ」


皆笑った。


監督「ほな、今日はここまでや!」


皆「ありがとうございました!」


それぞれ帰路についた。


和泉「友岡、油断したのか?」


友岡「いや、コース的にはそんなに悪くはなかった。だけど三二が一枚上手だったよ;」


泉野「多分今年は新寺学園が来るね。勢いが違うよ」


和泉「そうであってほしいね…『哀…すまん…』」


3人はタクシーに乗って駅に向かって行った。


一方、三二たちは…


五竹「さすがだな!」


三二「ああ、でもシングルヒット止まりだったよ;球が重かった;」


六車「まあ勝ちは勝ちだしさ、いいんじゃない?」


三二「俺もホームラン打ちたかったから;」


六車「さすがだぜ;」


五竹「それじゃあ帰るか…」


三二「ああ、じゃあな!六車!」


六車「お疲れ!」


三二と五竹は六車と別れた。


しばらくして、三二は五竹とも別れて、家についた。


三二「ただいま」


のえる「おかえりなさいませ♪いっちゃん♪」


三二は一瞬家を間違えたのかと思った。


そこにメイド姿ののえるがいたからだ;


のえる「ちょっと~;どうしてスルーしちゃうんですか~;せっかく私がメイドさんになっているっていうのに~;」


三二「そもそもなんでメイド服が俺の家にあるんだ!」


のえる「細かいことは気にしないで下さいよ♪」


三二はやれやれと帽子を脱いだ。


のえる「あ!そういえば、浜辺高校の戦力パラメータがグラフ化されてるのを見つけたんです!」


三二「何!!?」


三二はのえるをまじまじと見つめた。


のえる「これです!」


のえるは紙を取り出した。


三二「何々…『浜辺高校は超打撃型の高校であり、対戦データは練習試合1戦のみである』…あれ?続きは?」


のえるは恥ずかしそうにした。


のえる「それが、インク切れでそこまでしかないんです;」


三二「そうか;でもありがとう!貴重な情報だよ!」


のえる「どういたしまして♪」


のえるは照れくさそうに微笑んだ。


三二『のえる…俺のために…』


のえる「さ、お腹も空いてるでしょうし、晩ごはんにしましょ♪」


三二「おう!」


三二はのえると食事の準備をした。


…今日も三二家は平和なようだ。


明日は地区予選の開会式だ!


続く!

~そのころの外野3人組~


八束「今日は哀ちゃんは来なかったが、ある意味ラッキーだった!」


七浜&九住「そうですね!」


八束「明日の開会式では人一倍気合が入った行進で哀ちゃんに気に入られるぞ!」


七浜&九住「オー!!!」


~出場決定校~


東東京・荒川学院(木下雄馬『遊撃手』)


静岡・竜洋高校(飯沼雷太『右翼手』)

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