#2.早いけれど練習試合;
※何度も言いますが、出てくる地名(一部)と名前、そしてプロ野球チーム名と選手は全て架空のものです。
翌日、07:30…三二宅…
のえる「いっちゃーん!早く起きてー!」
三二「うーん…え?いっちゃん?」
三二は謎に思った…いっちゃんって誰なんだ?
三二「おはよう…」
のえる「ようやく起きた;早く準備しないと遅刻しちゃうよ?」
三二「なあのえる…」
のえる「はい?なんでしょう?」
三二「いっちゃんって誰なんだ?」
のえる「もちろんあなたですよ♪」
三二「はぁ!?」
三二は謎めいた表情をした。彼の名前は「はじめ」であり、「いち」とは読まないのだ。
のえる「何か…いけなかったですか?」
三二「おかしいだろ!漢字で判断しないでくれよ;」
のえる「ごめんなさい;じゃあもうひとつの名前の『ミニちゃん』で呼びますから;」
三二「それはもっとダメだ!!!」
のえるは少しさみしそうな目で三二を見た。
三二「まあいいや…あれ?朝飯…作ってくれたのか?」
テーブルの上には美味しそうな目玉焼きとトーストが置いてある。
のえる「はい♪やっぱり居候の身ですから、家事は私がやります♪だから、いっちゃんは甲子園に集中してていいですよ♪」
三二「マジで!?」
三二は嬉しかった。だが、逆に申し訳なさも感じた。
三二「でも本当にいいのか?(この目玉焼きめちゃ美味い…)」
のえる「はい、もちろんです♪(我ながら美味しいな♪)」
三二「じゃあ…しばらくはお言葉に甘えるよ…サンキュ!」
のえる「はい♪あ!遅刻!」
三二「え?今日は授業はないはず…うわあああああ!!!すっかり忘れてた!今日、最終調整の練習試合だったー!!!」
のえる「大変!早く行かなきゃじゃないですか!」
三二「とりあえず行ってくるよ;」
のえる「待ってください!」
三二「なんだよ!?」
三二はのえるをにらみながら振り返った。すると、のえるは三二にお弁当を作っていたのだ。
三二「のえる…さん…」
のえる「いやですね~♪のえるでいいですよ♪」
三二「え、あ、うん。サンキュー!」
のえる「どういたしまして♪かっ飛ばしてきてくださいね♪」
三二「もちろんさ!」
三二は家を飛び出した。そして猛ダッシュで新寺学園のグラウンドへと向かった。
08:45…新寺学園グラウンド…
三二「ハァハァ…なんとか間に合った;」
五竹「どうしたんだよいったい?」
三二「ちょっと寝坊しちゃって;」
五竹「ふーん…」
六車「お前が寝坊たぁね;今日の試合荒れるぜwww」
三二「からかうなよ六車;」
六車「わりいわりいwww」
彼は六車浩康。3年生で超がつくほど足が速い頼れる1番バッターだ。
監督「皆いるか?」
四野「いいえ監督。三吉がいません;」
監督「ああ、彼やったらうちに電話してきてな、『今日は来れません』とのことや;」
話しているのは監督とキャプテンの四野弘。監督はいつも帽子を目深にかぶっているため何者かは誰も知らない。ただ関西弁が入るということしか情報が無いのだ。
四野「そうですか…で、今日の対戦校は?」
監督「せや、えっと、今日の対戦相手は『御影第一高校』や!」
皆はざわついた。
七浜「御影第一って、結構注目されてるとこだよな?」
竹若「うん。確か飯島、満月、十五夜の三羽ガラスが要注意だっていう…」
九住「まあやっつければいいだろうよ;それ以外はそうでもないだろうし…」
監督は手を打った。
監督「はいはい今はとりあえずバスに乗ってや;もうすぐなんやから;」
皆「ハイ!」
皆はバスに乗った。
09:10…試合会場…
諫川「ひゃあ…デカい球場だなあ…;」
十川「お前1年でレギュラー入りなんてめちゃくちゃラッキーだぜ♪」
五竹「ところで三二…」
三二「ん?なんだ?」
五竹「お前、なんかすごいいい匂いするぞ;」
三二「え?」
三二は自分のユニフォームの匂いを嗅いだ。
三二「!!!!?」
まるで野球の匂いが感じられない!…彼はそう思った。
六車「まさか彼女でもできたんじゃねえのwww」
三二「そ、そんなわけないだろ!俺の恋人は野球なんだよ!」
三二は六車の指摘に動揺した。意味合いは違うが、家に居候の女性がいるのだから…
六車「ほー!お熱いねえwww」
六車は冷やかし半分に笑うと、守備練習についた。
三二『覚えてろ…!のえるも六車も!』
コーチ「じゃあ次だ!」
三二「はい!」
放送「間もなく、新寺学園対御影第一高校の練習試合を開始いたします。両高校の選手は整列してください…」
二宮「頼んだぞ!一浦!」
一浦「任せてくださいよ先輩!」
五竹「今日もいっちょ行きますか!」
三二「おうよ!」
六車「しかしまあウグイス嬢まで使うわ、電光掲示板まで使うわ、すごい試合だなこりゃ;」
四野「皆!しまっていこー!!!」
皆「オー!!!」
新寺学園のメンバーは円陣を組んだ。
向こう側でも御影第一高校の選手たちが円陣を組んでいる。
~スタメン~
先攻:新寺学園
一番、ショート、 六車
二番、センター、 八束
三番、キャッチャー、二宮
四番、サード、 五竹
五番、ファースト、 三二
六番、セカンド、 四野
七番、ピッチャー、 一浦
八番、ライト、 九住
九番、レフト、 七浜
後攻:御影第一高校
一番、レフト、 扇原
二番、ピッチャー、 飯島
三番、ショート、 十五夜
四番、キャッチャー、満月
五番、サード、 橋枝
六番、センター、 立石
七番、ライト、 柘植
八番、ファースト、 八神
九番、セカンド、 鍋田
主審:園田
1塁審:植木
2塁審:藤川
3塁審:村尾
※もちろん審判も架空の人物です!!!
主審「お互いに、礼!」
皆「お願いします!」
先攻の新寺学園はベンチに、後攻の御影第一高校はそれぞれの守備位置についた。
三二「今日も飛ばしてこうぜ!」
五竹「おう!俺が出塁した時は絶対に俺を帰してくれよ?」
三二「もちろんさ!お前も塁上のランナー根こそぎ持ってくなよ?」
五竹「よく言うぜwww」
三二「で、あれが飯島輝也か?」
飯島輝也は御影第一高校のエースで、十五夜護、満月仁念のトリオの連携で相手を翻弄させるのが得意だ。(三羽ガラスと言われるのはそのため)
十川「見たところ、MAX135㎞と言ったところだな…」
一浦「ですね…ただ、あのキレのあるスライダーは厄介ですよ…」
六車「とにかく惑わされないように打ってくるよ♪」
六車はマイペースにバットを持ってバッターボックスへ向かった。
主審「プレイボール!!!」
甲子園のサイレンらしき音とともに練習試合が、始まった…!
~そのころののえる~
のえる「あれれ?フローラルの香りの洗剤でユニフォーム洗っちゃいましたかねえ?…まあ、いい香りだからいいですよね♪」
↑いいのかなあ;