PACE4-2→鈴
†追憶2†
それは法則
失われた物
すべてを失った時(少なくとも自分はそう思った。)茫然と窓の外を眺めて気付いたことがある。
12月には何か因縁がある。
あれも、これも、亡くしたのは12月。
それは偶然なのか、必然なのか。解らないから、余計に神経質になって他の法則を探す。
執着するな。執着すれば、失う。
解ってやってしまうのはどうしようもない弱さで。
見つけだした。法則。
執着と12月。
感情と冬。
あぁなんだ。すべて壊すのはやはり自分なのかと。馬鹿みたいに笑ってしまった。
亡くしたくない。失いたくない。いいながら、他から大切を奪うなんて。
失って、悲しむ資格はない。
そうだ、これが仕事。悪魔に産まれついたからには仕方のない、これも法則。
「師匠…まだ起きてたんですか?」
勝手に部屋に入ってきた、漠然となくしたくないものの、一つ。
「あ、やっぱり熱あがってる。仕事はいいですから、横になってください。疲れてるんですよ。」
幼い手で熱を計られて、苦笑して大丈夫だと言えば、手近にあった本でぱこんと頭をたたかれた。
ハードカバーな所為か、やけに痛い。痛いと呟けば、しおらしいごめんなさい。
これが本当に俺の弟子か、なんて、思ってしまった。
「弥。」
子供の後ろの本棚を眺めつつ、思いついたことをいってみる。
「暇ができたら、どこかつれていってやろう。」
精一杯、親子ごっこ。二年たって、やっとモノになってきた、自分と子供の関係。
子供はすっかり弟子…息子になって、そうだな。少し生意気になってきた。
あぁでも、自分は未だ、自分のままで。父親どころか師匠も上手くできなくて、それでも、俺みたいに育たなかった。優秀な子供を誉めてやりたい。
「え。どこにですか?」
「どこかだ、どこか。詳しくは当日考えりゃいい。」
「えー不安だなぁ、それ。」
師匠って計画性ないですし。なんて、手厳しい。
「いやならつれて行かないだけだ。」
「ぇ〜。つれていってくださいよ〜。」
でもそのまえに。と。
「ほら、睨めっこしてる書類はいいですから、少し寝てくださいね。」
まったく師匠は無理をしすぎるから目が離せません。
愛しい女が言った言葉を、子供は呟き。
ぐにゃりと歪んだ本棚に、苦笑。
「師匠…?」
「あ?ただの欠伸だ。」
「え?」
彼女から一文字、未練の名前。
止めたほうがいい、きっと傷つくのはお前だと。言われた言葉を押し切ってつけた、子供の名前。
弥。
彼女に似ても似つかない。ただ時折、ひどく優しい顔をする。
だから、つい、変に期待して……。
「師匠?」
「りんと呼んだら返事してやろう。」
なんて。
「……何言ってるんですか。いいから寝てくださいよ。鈴欠師匠。」
馬鹿みたいに、笑って、ね。
「しかたない、寝てやるか。」
「何が仕方ない、なんですか。まったく。」
精一杯。正常な親子ごっこ。
PACE4→fin...
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