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PACE2-2→神様

  †神様の部屋†

 

 

言えたら許してあげよう

 

言ったら許してあげよう

 

呟くのは愛の呪文

 

いいかい。

 

君は僕だけのモノなんだ

 

君は僕だけを愛するんだ

 

さぁ

 

愛してると言ってごらん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家について、すぐに着替えた師匠はもうすでにここにいない。

一人の夕食はかなりつまらないので、マリエスをひっぱってきた。

 

「師匠ってさ。何の仕事してるの?最終的に。」

 

『うん?地球支部の派遣執行員と大学部心理学科の教授でしょ?』

 

「はい?!ぇ。ちょっと突っ込みどこが満載だよ?!」

 

『えー。優秀だよ、しぃちゃんは。』

 

優秀って…と絶句した僕に彼女は頬を膨らませる。(あくまでも人形だ。)

 

『本当だよ〜!』

 

「うん…。まぁ、マリエスがそう言うんだからそうだろうけど…。」

 

…まぁ、あれだけ大量の本をよんでるんだし、頭は悪くないんだろうけど。

あの記憶力でよく人にものを教えられるなぁ…。

感慨深くため息をつくと、マリエスが、まぁ…と話しだした。

 

『細かいことはしぃちゃんにきいて♪』

 

「あぁ、うん…。」

 

外は真っ暗。太陽の沈んだ空が窓枠にそって切り取られた一枚の絵のようだった。

 

「師匠、何してるのかなぁ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神様、神様、あなたはどこにいるのですか?

 

 

 

 

 

 

 

 

天使と悪魔の国境の境、そこに一つの塔がたっている。

天辺は見えない、ただ細くて高い、風が吹いたら倒れてしまいそうな塔。

なかに入れるのは、選ばれたもの数名と、この世の頂点に立つ御方だけ。

 

「お呼びですか。」

 

闇にむかってそうつぶやいた。闇が気付いて、身体を起こす。

 

「遅いじゃないか、待ちくたびれちゃったよ。」

 

「申し訳ありません。」

 

「ま、いいよ。君のこと大好きだから許してあげる。」

 

大好き。今日は機嫌がいいようだ。薄くほほえんで、ネクタイを緩める。

 

「今日は何をして遊びましょうか?」

 

闇に近寄りながらそう呟く。

スーツを脱いでそこらに放り投げた。近場の蝋燭に火をつけ、闇に目を向ける。

人形のように整った顔つきの神…女神が、こちらをみていた。

 

「何をしようか…。あ、ねぇ、普段はなんて名乗ってるの?」

 

「鈴欠。ですよ。」

 

額に口付けを一つ。神はくすくす笑ってもっと、とせがんだ。

 

「決めたよ、鈴欠。」

 

「なんですか?」

 

「モノごっこしよう。」

 

「了解。名前を付けましょうか?」

 

「つけて。」

 

闇色のソファーに寝転んだ彼女に、そっとおおいかぶさる。

他の女は実験台。神は何よりも気持ちいいのがお好き。指をからめる。

唇を押さえる。

闇色の髪をすきながら唱えるのは、金メッキで彩られた嘘だらけの愛の呪文。

モノには思考なんかない、モノには拒否権がない。

所有者の言うことを、所有者の喜ぶことをやるだけだ。

 

「じゃぁ、凛。どうですか?」

 

「いいね。鈴の音みたい。お揃いだ。」

 

「ですね。」

 

体の線をなぞる。

二度、三度。

人形のように、傷ひとつない体。どちらがモノなんだか、とひそかにため息を吐く。

 

「鈴欠。」

 

「はい。」

 

「100年だね。」

 

「…はい。」

 

手がとまる。思考に気を取られて、一瞬、自分が何をしてるか解らなくなった。

 

「ねぇ、鈴欠。」

  

声に、身構える。神は楽しそうに笑っていた。

 

「君は僕を愛してる?」

 

ノーと答えたら何になるのだろう。

くだらない、本当にくだらない疑問。

はじめから、答えは決まっているのだ。俺は世界を人質に取られている。

 

「はい。」

 

「嘘だ。」

 

「…。」

 

一息ついて、唇をゆるめた。

 

「じゃぁ……試してみますか?」

 

 

それは甘美な嘘。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今何時だと思ってるんだこの馬鹿が!」

 

恐い……。きれいな人が怒るとこわいって言うのは本当だって事がここに証明された。

僕は悪くないんだ。

師匠帰ってきて一人じゃ淋しいかなぁと思っただけなんだ。

なのに帰って来た師匠は、僕をみるなりすごい勢いで怒鳴るし。

頭たたかれるし。もう手が付けられない。

 

「いいから早く寝ろ!」

 

「あ、はい。」

 

「ったく…。早くしないと愛菜が来る…。」

 

は?

すごすごと部屋をでようとしていた僕は思わず足をとめた。

今、この人なんていいました?愛菜?

 

「師匠?」

 

「あ?」

 

「愛菜が、くるって?」

 

あ、と言う師匠の顔。少し考えたあと。気のせいだ、とつぶやく。

 

「へー。」

 

無言で窓をあける。光をめざして、何匹かの虫がひらひら入ってきた。

 

「師匠も寝ない…ちがう、薬飲んで休まないのなら、僕この虫の始末、しませんから。」

 

師匠は舌打ちをして、わかったよ、とつぶやいた。

 

こんなことに負ける師匠を待っていた自分が急に馬鹿らしくなった僕だった。

 

 

 


これっていいのかな…みたいな。終わりが少し中途半端でごめんなさい。あと、更新がおくれました…。学校はじまって、テストが一桁だったり波瀾万丈でしたので…。えぇと、でも、がんばります。

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