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第零話 召喚

            第零話 召喚



此処は現代の日本、山深くで異形の者達と相対している一人と一匹の者がいた。


その者は年は十八で名は御影みかげ 恭夜きょうやというもので陰陽師の様な服を身にまとい右手に抜き放たれた刀を持ち、左手の中指と人差し指で呪符をはさんで構え異形の者を鋭い眼光で射抜いている。


その者の傍らに尾が三本ある白孤で子狐の姿をしていて、名は紫苑しおんというものが異形の者たちを威嚇している。


異形の者達は鬼と呼ばれる妖である。その数は二百にとどこうかといったぐあいである。

なぜこの者がこんな所で鬼と相対しているのだろうか。



 話は数時間前に遡る、


自室で紫苑とごろごろしていると、


「おい、恭夜。」


親父の野太い声が屋敷に響く。


「なんだ、親父。」


俺が答えると、親父が部屋に一件の依頼書をもってやって来た。


「すまんが此の依頼をかたずけてほしいんだが。」


親父がそう言い、依頼書を俺に渡す。


俺は依頼書を受け取り軽く目を通し、


「わかった。だが少し遠いな。出発は明日でいいか。」


俺がそう言うと、親父は、渋い顔をしながら


「いや、急ぎなのでいまから出てくれ。」


と言いやがった。


「ハア、」


とため息をついて、


「分かった。先方への連絡と宿泊先の手配はしといてくれよ。」


俺がそう答えて準備をするため立ち上がった。


「ああ、それぐらいはしておこう。」


親父はそう言って、部屋から出て行った。


「紫苑、仕事が入ったんだがどうする。」


紫苑にそう聞くと、耳をピクリと動かし顔をこちらに向け、


「クゥー。」


と鳴き、


「ついてく。」


紫苑はそう言う。


「そうか、いまから準備するから、ちょっと待っててくれよ。それと人型になってくれ、狐のままじゃ連れて行けないからな。」


俺がそう言うと、


紫苑は頷き、人型に変化した。(年は十四ぐらいでかなりの美少女、髪は白く後髪をポニーテールにしていて腰の上ぐらいまでの長さがある。服装は白のブラウスに淡いピンクのスカートにニーソ)


俺は仕事着や呪符などを確認して鞄にしまい、刀を竹刀袋に入れ準備が終わってから、


「じゃあ行くか。」


俺は紫苑に声を掛け、紫苑がついて来るのを確認して屋敷を出た。


まずは駅に向かい電車で目的地へ向かい始めた。




俺の家と俺の使う術や技ついて簡単に説明しておこう、御影家はなんでも平安の時代から続く家系らしく今も一般には存在しないとされている妖や人にあだなす術者なんかを狩っている。俺の使う術は陰陽術、呪禁術、法術なんかを混ぜた符術を使う。技は剣技と体術を組み合わせたものを使っている。他には狗法なんてものも扱える。扱えるといっても剛力、金剛、飛翔、霊波の中位程度までだけどな。



今回の依頼は、山中にて、術者が召喚した鬼どもを狩って召喚陣を潰してほしいという内容だ。なんでも術者は捕らえたが召喚陣が残っていて鬼共が召喚され続けているそうだ。


そして依頼人の家に行き詳しい現状と場所を聞くと仕事着に着替え、その地へと向かった。


(ちなみに紫苑は山に入る前に子狐の姿に戻っている)


そして今現在、鬼共と相対している。


俺は油断無く鬼共を見つつ、


「やるぞ。」


俺はそう言い、呪符に魔力を送り呪符を鬼共の足元に飛ばし


「地精石術 石柱槍」


と唱え術を発動した。符が爆ぜ、半径三m程の範囲に無数の石の槍が地面から現れ鬼共を貫く、貫かれた鬼共は死体を残す事無く霧散する。(基本、妖共は死ねば消えてしまう。)


それと同時に紫苑もそれぞれの尾に火を灯しそれを飛ばした。鬼共は、狐火を避けようとするが追尾してくるため避けきれずに焼き殺されていく。


「紫苑、俺は召喚陣を潰しにいく。だから紫苑は此処の鬼共を狩ってくれ。」


俺は紫苑にそう言うと、


「クゥ。」


紫苑はそう鳴き、


「わかった。きょうや、はやくもどってきてね。」


といい、さらに狐火を飛ばす。


「ああ、さっさと終わらせて美味いものでも一緒に食べような。」


俺はそう答えて、俺は刀を両手で持ち自身に剛力を掛け鬼共に向かっていく。


立ち塞がる鬼をかわし時には、刀で切り伏せながらさらに山奥を目指す。


数十分程進むと少し開けた場所に出た。其処にも無数の鬼共がいる。その奥には怪しく発光する召喚陣があるのが辛うじて見える。


俺はそれを確認して刀を鞘に収め術符を取り出し先ほどより多めに術符に魔力を送り、今度は上空へ符を飛ばし、


「水精氷術 雹冷散華弾」


と唱え術を発動させた。符が爆ぜそこからこぶし大の氷弾が辺り一面に勢いよく降り注ぐ、術により大半の鬼はいなくなり、召喚陣も破壊された。


「さて、後は残った鬼共を狩って終わりだな。」


俺はそうつぶやいて再び刀を抜き鬼に切りかかる。




此処に居る鬼を全て狩ったことを確認し、紫苑と合流するために来た道を引き返す途中で紫苑の狐火が俺目掛けて飛んできた。


俺は咄嗟に剣印を作り早九字を切り狐火を防ぐ。


「こら、紫苑。俺を殺す積もりか。」


俺は狐火の飛んで来た方にそう言うと、茂みから紫苑が出てきて、


「クゥ~」


と鳴いて申し訳なさそうに、


「ごめんなさ~い。」


と謝りながら紫苑は俺に飛びついてきた。


「しょうがないな、紫苑は。」


俺はそう言って紫苑を抱きとめ優しく頭を撫でてやる。


「キュゥ~~~」


紫苑は気持ちよさそうに鳴き、目を細め俺に甘えてくる。


「紫苑はかわいいな。」


俺はとそう言いながら頭や背中を撫で続ける。

「キュゥ~~~クゥ~~~。」

紫苑は更に気持ちよさそうに鳴く。


十分ぐらい紫苑を撫でていると紫苑のお腹が、グゥ~~と鳴り、


「きょうや、おなかすいた。」


紫苑がそう言ってきた。


「そっか、旅館まで此処から結構な距離があるし、おにぎりでも食べてから戻るか。」


おれがそう聞くと、


「たべる~。」


紫苑はしっぽをパタパタと振りながら答えた。


「うん、今出すからな。」


俺はそう言い鞄をあさりおにぎりを探していると、突然、風がやみ、辺りを静寂が包み込み、俺と紫苑の居る空間に今までに感じた事の無い力が満ちる、咄嗟に紫苑を抱き抱えその場から逃れようとした時、俺と紫苑は光に飲み込まれた。



そして、光が消えた後、その場には、一人と一匹の姿はなかった。


その後、此の世界で此の者たちの姿を見たものは誰も居ない・・・・・・。




作者の桔梗です。

此処まで読んでいただきありがとうございます。

このような駄文ですがこれからも続けて書いていきたいと思っています。

週一程度で更新していきたいとも思っています。

暖かい眼で見てくれることを願います。

今回はこの辺で失礼します。

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