第二十話 王妃様への報告と宴会の準備
第二十話 王妃様への報告と宴会の準備
恭夜達はルビーアの案内の元、食堂へとやってきた。
ルビーアは先ほどの事を聞きたがったが、余り楽しい話でもなく、恭夜の食事がまずくなると言う理由で、
話は後回しにし、ユリーシャと気を失って此処には居ないマイス以外の者が簡単な自己紹介をし、食事を始めた。
そのころ、執務室では、王妃へ宰相達の報告が告げられていた。
<SIDE:ガーフェス>
わしは、王妃様に会議室で起こった事柄を余すことなく話した。
「では、その黒髪の者が悪魔を、それも侯爵の位に在る者を異世界の神の力を借りて呪い殺したと言うのですね。」
王妃様がそう言われる。
「ええ、その通りです。しかも代償として死後自分の魂をその神に捧げるようです。」
わしがそう応える。
「それではまるで話に聞く悪魔との契約ではないですか。」
ミネバがそう言う。
「そうですね。死後その魂を神に捧ぐと言えば聞こえはいいのでしょうが、どういうつもりでそのような事を行ったのかは直接聞かねばなりませんね。」
王妃様がそう言われる。
「そうですな。他にも幾つか彼には聞きたい事もありますしな。」
わしがそう言う。
「そうですか。ガーフェス彼について他に聞きたい事とは何ですか。」
王妃様がそう言われる。
「アルージェが神聖魔法を限界以上まで使用してしまったのだが、そんなアルージェを彼の者は癒したのだ。本来、神聖魔法で負った自傷は如何な治療術でも癒える筈が無いのだが、その癒した術を聞きたいと思いましてな。」
わしがそう答える。
「確かにそれは気になりますね。もしその術が他の者にも扱えるのならば、神聖魔法を気兼ねなく使えるようになりますね。ですがこれ以上彼についてだけ話してる訳には参りませんから彼についてはこれまでとして、ミネバ、貴女の報告を聞かせてくれませんか。」
王妃様がそう言われる。
「はい。王妃様。私は、西側の悪魔達から民を守り非難にあたっていました。其処に獣人のミリアさんが来られました。ミリアさんのお仲間である妖精の方が悪魔を屠るから我々に被害が及ばないように風で障壁を張って欲しいと言ってきました。私はその言葉を信じて部下に障壁を張るように命じました。その後すぐに妖精の方が精霊魔法を発動させ、悉く悪魔達を屠りました。その後妖精の方は魔力が枯渇して気を失ってしまいその方から詳しい話は聞けませんでしたが、ミリアさんから精霊魔法で悪魔を倒すには、精霊を支配下に置けば悪魔にも通用するということを聞きました。」
ミネバがそう言う。
「そうですか。妖精族の方は王族でも神聖魔法はほとんど使えませんからね、それ故に精霊魔法の扱いに長けているのでしょうね。それとその獣人のミリアさんの種族は判りますか。」
王妃様がそう言われる。
「ミリアさんの種族ですか。そうですね。私には猫科の獣人だとしか判りません。」
ミネバがそう答える。
「猫科ですか。虎や豹ならば判りやすいのですが、獅子や本当の猫なら判りずらいかも知れませんね。」
王妃様がそう言われる。
「はい。虎や豹の様な判りやすい特徴は有りませんでした。」
ミネバがそう答える。
「そうですな、わしが見た限りでもそうでしたな。ただ特徴として所どころに紅い毛が混じっていましたな。」
わしがそう言う。
「そうですか。その程度の特徴では種族を特定する事が出来ませんね。では次にカイト貴方の報告を聞かせてもらえますか。」
王妃様がそう言われる。
「はい。王妃様。私は東側の悪魔の討伐に出ました。最初の内は悪魔も数対しか居らず自分一人でも対処できたのですが何時の間にか二十体程の悪魔に囲まれてしまい、上空からの悪魔の襲撃に対処できずに追い詰められているところにエルフのお二人が来ました。女性のエルフが鏃に神聖魔法を掛け空に居る悪魔に向けて弓を射ると空中で鏃に篭められた神聖魔法が弾け、衝撃波として放たれ悪魔達を撃滅しました。
又、男性のエルフは剣に神聖魔法を掛け、地に居る悪魔達を切り倒しました。」
カイトがそう言う。
「その二人のエルフは神聖魔法を使ったのですね。」
王妃様がそう聞かれる。
「はい。それで私はハイエルフなのですかと聞けば違いますと言われ、自分達はエンシェントエルフだと言われました。ですが私はエンシェントエルフと言う種族は聞いた事がありません。」
カイトがそう答える。
「そうですか。エンシェントエルフですか。エデンの守り手たるその者達はまだ存命でしたのね。」
王妃様がそう言われる。
「王妃様。そのエンシェントエルフがエデンの守り手とはどういうことなのですか。」
カイトがそう聞く。
「エデンの守り手とは神から特別な力を授かった者や神器の守護者や担い手のことを言います。この私もエデンの守り手の一人ですよ。」
王妃様がそう言われる。
「王妃様は神器の守護者で有られる。カイトに託されたその槍、<裁き下す全天なる光>がそうだ。」
わしがそう言うと、
「え、この槍ってそんな名前の槍なのですか。」
カイトがそう言う。
「それは、その槍<裁き下す全天なる光>と言うのは特性を現す名であり、その槍の真の名は別にあります。ただその真の名はその槍に認められた者しか名を知る事が出来ないと言われています。」
王妃様がそう言われる。
「如何すればこの槍に認めてもらう事が出来るのでしょうか。」
カイトは槍を前面に掲げそう言う。
「それは残念ながら私も知りません。もし機会があるのならば、グランシャトー王家に伝わる<闇切り裂く光り纏し剣>の担い手であるリュシア殿に聞いてみるのもいいかも知れませんね。」
王妃様がそう言われる。
「リュシア様は<闇切り裂く光り纏し剣>の真名を知る方だから話を聞ければ<裁き下す全天なる光>の真名を知るヒントが得られるかも知れんぞ。」
わしがそう付け足すと、
「解りました。機会があれば聞いてみます。」
カイトがそう答える。
「ええ、ですがまずはユリーシアさんがこの国に来た目的を聞かねばなりませんね。」
王妃様がそう言わる。
「え、それは自分の国が危機的な状況にあるためこの国に援助を求めに来たのではないのですか。」
ミネバがそう言う。
「いえ、それはありえません。なぜなら、エルドライドからの伝書が今日届いたばかりですよ、同じ日に出発したとしてこんなに早く着く訳がありません。ユリーシアさんはそれ以前に国を出てこの国に来られたという事です。」
王妃様がそう言われる。
「それでは何のようでこの国に来たのでしょうか。」
カイトがそう言う。
「あ、そういえばエルフの方が気になる事を言っていました。」
ミネバがそう言う。
「その気になる事とは何ですか。」
王妃様がそう問う。
「はい、キシュウ湖の向こう岸に有る宿場町が悪魔に襲われ、それを撃退したそうです。そのとき悪魔が任務の途中で寄ったと言っていました。その悪魔の目的で考えられるのは宿場町より南にある此処位しかないと思い急ぎこの国に来たのですと言ってました。その後、キシュウ湖の魔獣を封印しさらに湖を浄化したとも言っていました。しかもそれを行ったのがあのキョウヤという者だそうです。」
ミネバがそう言う。
「・・・・・・・本当に彼は何者なのでしょうね。この世界では有り得ぬ黒を持ち、更に此方も有り得ぬ白の獣を引き連れた者。彼には本当に聞かなければならない事が多々有りますね。ですが今日はかの者達も疲れているでしょうし、話しを聞くのは明日にしましょう。それと今夜はささやかながらユリーシアさんの歓迎と悪魔の撃退を祝うパーティを開きましょう。」
王妃様がそう言われる。
「解りました。ではそのように手配いたしましょう。」
わしがそう言う。
「ええ、ガーフェスお願いね。それと貴方達も昼食がまだなのでしょう、今日はもう良いから食事にし休みなさい。」
王妃様がそう言われる。
「食事は採らせて頂きますが、長である私が休むわけには参りません。」
ミネバがそう言う。
「そうですか。貴女がそう言うのなれば止めませんが無理だけはしないようにお願いしますね。あとまだ食堂にあの子達が居たら明日の話し合いの事と今夜のパーティの事を伝えておいて下さい。」
王妃様がそう言われる。
「解りました。それでは失礼いたします。」
ミネバはそう言い、カイトと共に退出する。
「ガーフェス貴方も退室してくれて構いませんよ。」
王妃様がそう言われる。
「解りました。それでは失礼いたします。」
わしはそう言い、退出する。
<SIDE:END>
<SIDE:ルビーア>
わらわ達は食事が終わり、食後の一杯を楽しんでいる。
「そろそろ良いじゃろう話してくれんか。」
わらわがそう言うのじゃ。
「うん、そうだな。で、何から聞きたいんだ。」
キョウヤがそう言うのじゃ。
「そうじゃな。まずは先ほどの悪魔についてじゃ。サミジナの事について聞きたいのじゃ。」
わらわがそう言うのじゃ。
「ああ解った。サミジナ又はガミジンとも呼ばれる悪魔で爵位は侯爵だ。能力は罪に死した者の魂を呼び寄せる力を持つ。」
キョウヤがそう言い、話を続けようとしたところ、
「すみませんがその話は少し待って貰えませんか。」
食堂にやってきたミネバがそう言うんのじゃ。
「何故止めるのじゃ。」
わらわがそう言うとじゃ。
「王妃様がキョウヤさん達の話を聞きたいと仰っていました。今此処で話した事を又話す事になりそうなのでお止めしたしのです。」
ミネバがそう言う。
「ふむ。それならば仕方が無いのじゃ。それで母様と会談は何時になるのじゃ。」
わらわがそう言うとじゃ、
「はい。明日にも会談を持ちたいと仰っていました。それと、今晩にユリーシア様の歓迎と悪魔の撃退を祝うパーティを開くとも仰っていました。」
ミネバがそう言うのじゃ。
「解ったのじゃ。ユリーシャ、わらわと一緒に部屋に行ってパーティドレスを選ぶのじゃ。」
わらわがそう言うのじゃ。
「ルビーアちょっと待って下さい。キョウヤさん達はこの後如何するのですか。」
ユリーシャがそう言うのじゃ。
「そうじゃった。他の者達にも客間を用意させるのじゃ。」
わらわがそう言うのじゃ。
「俺はそうだな、家族に出す手紙でも書くかな。」
キョウヤがそう言うのじゃ。
「私達はそのパーティの時間まで休ませてもらいます。」
サイファがそう言うのじゃ。
「うちはマイスが心配ニャので傍についてるニャ。それとマイスが起きた時にお腹が空いてると思うニャ。だからサンドイッチかなんかが欲しいニャ。」
ミリアがそう言うのじゃ。
「解ったのじゃ。用意させるのじゃ。」
わらわがそう言うのじゃ。
「ユリーシャそれじゃ又後でな。」
キョウヤがそう言い、他の者も引きつれメイドに案内され去っていくのじゃ。
わらわとユリーシャも食堂を後にしわらわの部屋に向かうのじゃ。
わらわの部屋に到着し、テーブルを挟んで椅子に座ったのじゃ。
「少し話してから、衣装室の方へ移動するのじゃ。」
わらわがそう言うとじゃ、
「私はドレスは着たくないのですが。」
ユリーシャがそう言うのじゃ。
「何を言うのじゃ。ユリーシャは今回のパーティーの主賓じゃぞ。それが普段着なぞ許されんのじゃ。」
わらわがそう言うとじゃ、
「解ってはいるのですけど、あのコルセットが嫌なのです。あんな物を着けていたら食事もほとんどのどを通らないし、呼吸もしにくいじゃないですか。」
ユリーシャがそう言うのじゃ。
「今回はほとんど身内だけのパーティーになると思うのじゃ。じゃからコルセットを着けないゆったりとしたドレスなら良いじゃろう。」
わらわがそう言うのじゃ。
「まあそれでしたら構いません。」
ユリーシャがそう言うのじゃ。
「本来ならユリーシャに聞きたいことがあったのじゃが、先にドレスを選ぶとするのじゃ。」
わらわがそう言い、ユリーシャを連れ衣装室に移動するのじゃ。
衣装室はわらわの部屋の隣に設置されているのじゃ。
「それで、ユリーシャはどんな色合いの物が好きなのじゃ。」
わらわがそう聞くのじゃ。
「えっとそうですね、余り派手な色ではなくて落ち着いた色のほうが好きですよ。」
ユリーシャがそう言うのじゃ。
「なら、こういう物の方がいいのじゃ。」
わらわはそう言い、薄い紫色のドレスを手に取るのじゃ。
「それは胸元が開きすぎてはいませんか、そんなの恥ずかしくて着れないです。」
ユリーシャがそう言うのじゃ。
「むー、ではこっちの物なら如何じゃ。」
わらわはそう言い、ライトグリーンのドレスをユリーシャに見せる。
「さっきのとほとんど変わらないじゃないですか。」
ユリーシャがそう言うのじゃ。
「うむむむむ。それなら・・・・・・・」
そんなやり取りが続き、わらわ達はパーティーが始まる少し前までドレスを選ぶ事になってしまったのじゃ。
大変遅くなってしまい申し訳ございません。
スランプで思うように書けないしだいで次の投稿も何時になるか解らない状態です。
書きあがり次第投稿させていただきます。