第十二話 キシュウ湖へ
第十二話 キシュウ湖へ
話し合いが終わり、その後解散した恭夜は眠りに付き、そろそろ夕飯にしようと恭夜を起こしたが、
起きる気配がなく、眠り続けているため恭夜を除いたメンバーで食事をし戻って来たが、あいも変わらず眠り続けていたためそのままにし、その日は皆休むことにした。
そして、夜が明けようかという時間帯。
<SIDE:恭夜>
「うーん、良く寝た。今何時だ。」
俺はそう言い、時計を見ると、時計は四時を示していた。
「俺が昨日寝たのって夕方の四時だったよな。まさか十二時間も寝てるとは思わなかった。」
俺がそう一人ごち、周りを見ると、紫苑もサイファもまだ眠っていた。
「如何するかな。さすがに二日も風呂に入っていないと気持ちが悪いな。しゃあない大衆浴場にでも行くか。」
俺はそう言い、着替えを持って部屋を出る。
「おはよう御座います。」
ウエイトレスがそう言う。
「ああ、おはよう。」
俺も挨拶を返す。
「お早いのですね。」
ウエイトレスがそう言う。
「いやそう言うわけじゃないんだが。昨日の夕方から今の今まで寝ていたからな。」
俺がそう言うと、
「くすくす。そうなんですか、それはさすがに寝すぎでしょう。」
ウエイトレスがそう言う。
「ああ、そうだな。それだけ無茶をしたという事だしな。」
俺がそう言うと、
「では貴方があの悪魔の親玉を追い払っていくれた方ですか。知らず申し訳在りません。」
ウエイトレスは畏まりそう言う。
「ああ、気にしなくてもいいぞ。俺たちが好きでやったことだしな。それにそんな話し方をされるより先ほどのような砕けた話し方のほうが俺は好きだぞ。」
俺がそう言うと、
「もう、からかわないで下さいよ。」
ウエイトレスは顔を赤くしそう言う。
「ははは、悪い悪い。でもやっぱりそっちの方が話し易くていいわ。」
俺がそう言うと、
「そうですか。それでこんな早朝から何処へ行こうとしていたんですか。」
ウエイトレスがそう聞く。
「ああ、寝汗をかいたからな。大衆浴場へ行こうかと思ってるんだけどな。そういえばこんな時間に開いているのかな。」
俺がそう言うと。
「大丈夫ですよ。大衆浴場は一日中開いてるから。好きなときに入れるんですよ。」
ウエイトレスがそう言う。
「それならば良かった。もし開いていなかったら、川にでも行って水浴びでもしようかと考えていたからな。」
俺がそう言うと、
「くすくす。この時期の水はまだ冷たいよ。」
ウエイトレスがそう言う。
「そうだな。そうならなかったことに感謝だな。」
俺がそう言う。
「くす。あ、いけないオーナーに呼ばれてたんだった。これ以上遅くなったらオーナーに怒られちゃうからもう行くね。」
ウエイトレスはそう言い、立ち去る。
「長々と話して悪かったな。」
俺がそう言うと、
「そんな事無いよ。私も楽しかったから。」
ウエイトレスが振り向いてそう言い、走って行ってしまった。
さて俺も大衆浴場にさっさと行くか。
風呂から上がり。俺は部屋に戻って来た。
時刻は五時過ぎでまだ紫苑もサイファも寝ているし、道具の整理でもするか。
俺は、刀を鞘から抜き、刀身を見ると、この刀はもう駄目だな。刀身に罅が入っている。一様予備に小太刀があるが、あまり得意じゃないんだよな。だがまあしょうがないか。
俺は刀を鞘に収め、鞄にしまい、小太刀を取り出し鞘から抜く、刀身に傷みが無いか丹念に調べる。
小太刀の銘は小烏丸・鉄斎。小烏造りという製法で作られた刀は一般的な日本刀とは違い、刀身の先端から半分以上が両刃になっている独特の形状を持つ、これを鋒両刃造とも呼ばれる。
刀身に傷みが無いのを確認し終えると、鞘に戻す。
次に、呪符の残り数を調べる。
元々呪符は各三十枚ずつ用意してあった。
土精符、木精符、金精符、火精符は二十枚以上あるから良いとして、水精符があと十数枚しかないか。
フェネクス相手にかなりの水精符を使ってしまったしな。補充しようにも、呪符用の和紙なんか持ってきていなしな。如何するかな。まあそれは後で考えるとしてだな。
次は、鏢と縄鏢の確認だな。鏢はいうなれば手裏剣だな。形状はクナイに近い、それにロープを付けた物が縄鏢だ。此れは投げた後にロープを引っ張って回収でき以外に使い勝手が良い。
此れも傷みが無いか確認する。特に問題ないようだし包みにくるみ鞄に戻す。
次に、此れは切り札の神術符、残りは火精炎神符、木精雷神符、木精木神符、土精土神符の四枚と、陽精符と陰精符が十枚ずつ。更に、陽精陽光神符、陰精月神符。この二枚は別格だから此れは使うつもりは無いし万全な状態でないと使えない。後は十二天将符に着替えや包丁それに調理器具に調味料ぐらいか。
「クゥ、きょうやなにしてる。」
紫苑が起きて来てそう聞く。
「鞄の中の物の確認と武器の状態の確認だな。」
俺がそう言うと、
「もうおわった。」
紫苑がそう聞く。
「ああ、ちょうど終わったところだ。」
俺がそう言うと、
「きょうもたんれんする。」
紫苑がそう言う。
「いや、今日は忙しくなりそうだから無しだ。」
俺がそう言うと、
「わかった。」
紫苑はそう言い、俺の膝の上に乗る。
俺は紫苑の体を撫でる。
「クゥ~。」
紫苑は嬉しそうに鳴く。
そうこうしていると、サイファが起き、
「おはよう、サイファ。」
俺がそう言うと、
「おはよう御座います。キョウヤさん。もう体調は宜しいのですか。」
サイファがそう言う。
「ああ、ゆっくり休ませてもらったからな。」
俺がそう言うと、
「そうですか、それならば良かったです。昨夜は夕食に起こしても起きてくださいませんでしたから、心配していたんです。」
サイファがそう言う。
「そうか、それは悪いことをしたな。すまない。」
俺がそう言うと、
「いえ、構いませんよ。一番心配しておられたのはユリーシャさんですから、そういう事はユリーシャさんに言ってあげて下さい。」
サイファがそう言う。
「ああ、解った。」
俺がそう言い終えたとき、扉をノックし、
「ユリーシャですけど入って良いですか。」
ユリーシャがそう言う。
「ちょっと待って下さい、今、私は着替えてる最中ですから。」
サイファがそう答える。
「解りました。」
ユリーシャがそう言い、しばらく待つ。
「お待たせしました。」
サイファが着替え終えるとそう言い、部屋の扉を開けユリーシャを迎え入れる。
「あ、キョウヤさん起きていたのですか。」
ユリーシャがそう言う。
「ああ、昨日は悪かったな夕食に起こしてくれたようだが疲れていた為全く気付かなかったよ。」
俺がそう言うと、
「いえ、もう良いです。こうして元気にしていらしゃるキョウヤさんを見れましたから。」
ユリーシャは微笑んでそう言う。
「そうか。やっぱり俺のことが心配でこんな早朝に此処に来たのか。」
俺がそう言うと、
「はい、そうです。やっぱり昨日のあの後からずっと眠り続けていましたから、心配だったんです。」
ユリーシャがそう言う。
「ああ、俺はもう大丈夫だよ。ゆっくり休ませてもらったからな。」
俺がそう言うと、
「はい。本当に良かったです。」
ユリーシャがそう言う。
「そう言えば、リーファは起きているのか。」
俺がそう言うと、
「ええ、起きていますけど如何したんですか。」
ユリーシャがそう言う。
「リーファが起きているんなら朝食に行きたいなと思ったんだ。昨日は昼食しか食べていないからな腹が減っているんだ。」
俺がそう言うと、
「あ、そうでしたね。マイスさん達は如何しましょうか。」
ユリーシャがそう言う。
「それでしたら私がマイスさんの部屋に行き呼んできますよ。ついでにリーファも誘ってきますので、先にお二人で食堂へ行って下さい。」
サイファがそう言う。
「悪いな。それじゃあサイファの言葉に甘えさせてもらうな。」
俺はそう言い、ユリーシャと紫苑を連れて食堂へ向かう。
食堂に付いた俺達は適当な席に付き、サイファ達が来るのを待つ。
「あ、先ほどはどうも。」
ウエイトレスがそう言う。
「ああ、オーナーには怒られなかったのか。」
俺がそう聞くと、
「ええ、おかげさまで怒られずにすみました。」
ウエイトレスはそう言う。
「そうかそれなら良かった。俺と話していたせいで怒られたんなら悪いからな。」
俺がそう言うと、
「くすくす。そうなっていたらちゃんと責任を取ってもらいますよ。」
ウエイトレスは楽しそうにそう言う。
「それは怖いな。」
俺がそう言うと、
「キョウヤさん。この人とどういう関係なのですか。」
ユリーシャがそう言う。なんかユリーシャからプレッシャーを感じるんだが。
「朝方にな大衆浴場に行こうとしたときにちょっとあってな。」
俺がそう言うと、
「ちょっとってなんですか。」
ユリーシャがそう言う。さっきよりプレッシャーが強くなっているんだが。
「ちょっとこの人が困ってるでしょう。」
ウエイトレスがそう言う。
「貴女は黙っててください。」
ユリーシャがそう言う。
「なによう。」
ウエイトレスがそう言う。
「なんですか。」
ユリーシャがそう言い、にらみ合う。かなり怖い。
「きょうや、ふらぐたてた。」
紫苑がそう言う。
「勘弁してくれ。」
俺がそう言うと、
「あはははは。キョウヤ、朝から修羅場だね。やっぱり修羅場はラブコメの定番だよね。」
リーファがそう言う。
「どんなラブコメニャ。」
ミリアがそうつっこむ。
「ミリアがつっこんでるよ。」
マイスが驚いている。
サイファは必死に笑いを堪えている。
「はあ、本当に勘弁してくれ。」
俺はため息を付きながらそう言った。
しばらくして漸く場が落ち着いた。
サイファ達も席に着き、朝食を頼む。
「先ほどはすいませんでした。」
ウエイトレスがそう言い、頭を下げる。
「いやいい。こっちも悪かったわけだしな。お互い水に流そう。」
俺がそう言うと、
「解りました。」
ウエイトレスがそう言う。
「それじゃ、注文頼めるか。」
俺がそう言うと、
「はい、今日は如何なさいますか。」
ウエイトレスがそう聞く。
「メニューを考えるのがめんどくさくなったからシェフのお任せで頼む。他の皆は如何する。」
それがそう言うと、
「私もそれで良いです。」
「私も別に構いませんよ。」
「僕も良いよ。」
「うちもそれでいいニャ。」
「僕も同じで。」
上からユリーシャ、サイファ、リーファ、ミリア、マイスがそう言う。
「紫苑も普通の食事でいいか。」
俺がそう聞くと、
「うん、それでいい。」
紫苑がそう言う。
「解りました。ではシェフのお任せが七つですね。」
ウエイトレスがそう確認を取る。
「ああ、それで頼む。」
俺がそう言うと、
「ではしばらくお待ち下さい。」
ウエイトレスはそう言い厨房へ行く。
「はあ、なんかどっと疲れた。」
俺がそう言うと、
「自業自得ですよキョウヤさん。」
サイファがそう言う。
「俺が何をした。」
俺がそう言うと、
「自覚が無いとは、此れは何を言っても無駄ですね。」
サイファがそう言う。
周りの皆が頷く。
なぜ。俺が何をしたか誰か教えてくれ。
そうこうしていると、ウエイトレスがカートに乗せて料理を運んできた。
「お待たせしました。此方がシェフのお任せ、魚のパイ包み焼きになります。あとパンとスープとサラダもどうぞ。」
ウエイトレスがそう言い、料理をテーブルへ移す。
俺達は食事に舌鼓を打ちながら食べる。
「はあ、旨かったな。」
俺がそう言うと、
「はい。とても美味しかったです。」
ユリーシャがそう言う。
ウエイトレスが食器を提げに来た。
「悪いけど紅茶を一杯もらえないか。」
俺がそう言うと、
「私も欲しいです。」
ユリーシャがそう言うと、他の者も欲しいと言い出した。
「それでは紅茶を六つお持ちしますね。」
ウエイトレスはそう言ってカートを押しながら厨房へ行き、ポットとカップをカートに載せてきた。
「お待たせしました。今からお入れしますのでもうしばらくお待ちください。」
ウエイトレスはそう言い、ポットの紅茶を蒸らしてからカップへ注ぐ。
「どうぞ。」
ウエイトレスはそう言い、ソーサーにカップを載せ、一人一人に配る。
「ありがとな。」
俺がそう言うと、
「如何致しまして。今日は如何なさる予定なのですか。」
ウエイトレスはそう言う。
「今日は此れが終われば荷物を整えてラスティハイトに向かうつもりだ。」
俺がそう言うと、
「え、この後すぐですか、もしかしてキシュウ湖を通るつもりなんですか。」
ウエイトレスがそう言う。
「ああ、そのつもりだ。」
俺がそう言うと、
「あそこには蛇の化け物が住み着いて大変危険だよ。やめたほうが良いよ。」
ウエイトレスがそう言う。
「それでも行かないとだめなんだ。ラスティハイトに悪魔が向かっているようだから遠回りしている時間が無いんだ。」
俺がそう言うと、
「その顔は、止めても行くんだよね。だったら私は何もいえないよ。でも無茶はしないで下さいね。」
ウエイトレスは眼を潤ませながらそう言い、急ぎ厨房ヘ下がる。
「キョウヤさん、どうすればそんなに簡単に女性と仲良くなれるのですか。」
サイファがそう言う。
「はあ、俺は普通に話しているだけなんだけどな。それにあれぐらい普通だろう。」
俺がそう言うと、
「普通じゃ在りませんよ。」
サイファがそう言う。
「兄さん、キョウヤに何を言っても無駄だよ。だって自覚が無いんだもん。」
リーファがそう言う。
何度も言うが俺が何をした。
俺は紅茶をゆっくり楽しむことも出来ずに、出発の準備をするため部屋に戻る。
部屋に戻った俺はコートを羽織り、小太刀を腰に差し、呪符をコートのポケットに入れ、鞄を肩に掛ける。
「キョウヤさん、何時もの剣は如何したんですか。」
サイファがそう聞く。
「ああ、刀身に罅が入っていたからこっちに変えたんだ。」
俺がそう言うと、
「そうなのですか、何時罅が入ったのですか。」
サイファがそう聞く。
「たぶん、フルフルの角を斬ったときだろうな。」
俺がそう言うと、
「前の戦いでよく折れませんでしたね。」
サイファがそう言う。
「ああ、本当にな何時折れてもおかしくない状態だからな。」
俺がそう言うと、
「それではこれからはその剣で戦うのですか。」
サイファがそう言う。
「うーん。小太刀はあまり得意じゃないんだよな。だから家に別の刀を取りに行って貰おうかと考えている。」
俺がそう言うと、
「誰に取りに行ってもらうのですか。」
サイファがそう聞く。
「十二天将の誰かに行ってもらおうと考えている。」
俺がそう言うと。
「そうですか、解りました。」
サイファがそう言う。
「ユリーシャ達が待っているかもしれないから行かないか。」
俺がそう言うと、
「ええ、そうですね。」
サイファがそう言い、部屋を出、ロビーへ向かう。
ロビーにはすでにユリーシャ達が集まっていた。
其処にウエイトレスが走ってやってきた。
「此れ私が作ったんです。良ければお昼にでも食べてね。それと又こっちに来たら顔を出してね。」
ウエイトレスが顔を真っ赤にしそう言い、俺の頬にキスをし、奥へと戻る。
「キョウヤさん。如何いう事ですか。」
ユリーシャがにっこり笑いながらそう聞く。(眼は笑っていない)
「俺が聞きたいぐらいだ。」
俺がそう言うと、
「鼻の下伸ばしてそんなことを言われても説得力がありませんよ。キョウヤさん。」
ユリーシャが不機嫌そうに言う。
「鼻の下なんか伸ばしてないだろ。」
俺がそう言うと、
「いいえ、伸びてましたよ。」
ユリーシャがそう言う。
「きょうや。ほかのおんなにてをだしちゃだめ。」
紫苑がそう怒る。
「俺は手を出したつもりは無いんだが。」
俺がそう言うと、
「それでもだめ。」
紫苑がそう言う。
「はあ、解ったよ。此れからは気をつけるよ。」
俺がそう言うと、
「うん。それならいい」
紫苑はそう言う。
ユリーシャは紫苑の言葉で毒気を抜かれたようでそれ以上何も言わなかった。
部屋の鍵を返し宿を後にし、馬車の預かり所に行き、馬車を受け取る。
「シェロ、キシュウ湖に向かいたいんだが構わないか。」
俺がそう言うと、
「ああ、構わんぞい。」
シェロはそう言い、他の馬に指示を出し、歩き出した。
先ほどの事で、ユリーシャがすねてしまい一言も口を聞いてくれなくなった。
「ユリーシャいい加減機嫌を直してくれよな。」
俺がそう言うが、ユリーシャは無視する。
「はあ、紫苑如何したらいい。」
俺がそう聞くと、
「しらない、きょうや、じぶんでなんとかする。」
紫苑がそう言う。
「う、へそを曲げた女の子の対象法なんか俺は知らないぞ。」
俺がそう言うと。
「じゃあ、あきらめる。」
紫苑がそう言う。
「はあ、そう言うわけにも行かないだろう。」
俺がそう言ったところで、
「話してるところすまんのじゃが、先に魔獣がおる、何とかしてくれんかのう。」
シェロがそう言う。
「ああ解った。此処で止まって待っていてくれ。」
俺はそう言い、馬車から降り魔獣のいるところを目指す。
其処には一匹の魔獣がいた。魔獣は此方を警戒しているようでじっと此方を見ている。
「げ、よりによってキマイラかよ。」
俺がそう言うと、
「キマイラというのですか。あれも悪魔なのですか。」
サイファがそう聞く。
「いやあれは魔獣だ。獅子の頭に山羊の胴体、蛇の尻尾を持つ者で口から火炎を吐く。中位悪魔と変わり
ないほど厄介な魔獣だ。」
俺がそう言うと、
「中位悪魔と同程度なんですか。」
マイスがそう言う。
「ああ、けど精霊魔法が普通に効く分だけましだろうな。」
俺がそう言うと、キマイラが襲い掛かって来た。
俊敏な動きで間合いを詰め、飛び掛かり爪で引っかいてきた。
俺は後ろに大きく飛びのき、呪符を取り出す。
「風の精霊よ、僕の手に集まり敵を討つ刃となせ、エアレイド。」
マイスがそう唱えると、風が刃となりキマイラに迫る。
キマイラは大きくジャンプし此方に火炎のブレスを吐く。
「木精風術 風円陣。」
俺が呪符を前方に翳しそう唱える。
符が弾け渦巻く風が俺達を包み火炎を逸らす。
「「風の精霊よ我が敵を討て、ウインドダート。」」
サイファとリーファが同時に同じ精霊魔法を放つ。
無数の風の矢が四方からキマイラに迫る。
キマイラは避けきれないと思ったのか、身を低くし自身を護る。
ウインドダートがキマイラに当り土ぼこりが辺りを覆う。
「グウアアアアアアアアア。」
キマイラは咆哮を上げ、突進してくる。
「うちに任せるニャ。」
ミリアはそう言い、キマイラの腹の下に滑り込み、双剣で腹を切り裂く。
キマイラは腹を切り裂かれたまま、突進を続け、ユリーシャ目掛け火炎を吐く。
「くっ、ユリーシャ、間に合え、水精水術 護水壁。」
俺がそう唱え、符をユリーシャと火炎の間に投げると、符が弾け水の壁を生み出す。
「無事かユリーシャ。」
俺がそう言うと、
「あ、はい。大丈夫です。」
ユリーシャがそう答える。
「じゃま。」
シオンがそう言い、狐火を三つ飛ばす。
キマイラは回避しようとするが、狐火はキマイラを追尾し最後には当り、キマイラを焼き殺す。
「ふう、なんとかなったな。」
俺がそう言うと、
「ええ、此れだけの人数がいたから何とか成りましたね。」
サイファがそう言う。
「魔獣ってこんなにしぶといんだ。」
マイスがそう言う。
「キョウヤさんが助けてくれませんでしたら私黒焦げになっていました。」
ユリーシャがそう言う。
「魔獣だからと油断しないようにな、キマイラがいたということはもしかしたそれより上位の者が居るか
も知れん。」
俺がそう言うと、
「解りました。気を引き締めていきます。それとありがとう御座いました。」
ユリーシャがそう言う。
「キョウヤさんとユリーシャさんも仲直り出来たみたいですね。」
サイファがそう言う。
「う、すいませんでしたキョウヤさん。」
ユリーシャがそう言う。
「もういいよユリーシャ。」
俺がそう言い、微笑む。
ユリーシャは顔を赤くし早足で馬車に戻る。
「仲直りしたと思えばいきなり此れですか。」
サイファがそう言う。
「まあ、キョウヤだからねしかたがないよ。」
リーファがそう言う。
「そう言うもんなんかニャ。」
ミリアがそう言う。
「僕こんな所でやっていけるのかな。」
マイスがそう言う。
そんな事を言いつつ、キシュウ湖を目指し馬車は進む。
次の話はキシュウ湖でのバトルを予定しています。
その話でキシュウ湖は終わり、漸くラスティハイトにいけると思います。
では又次週。