表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/49

第8話 依頼完遂とすれ違い

ストック切れるまで随時更新します。

 夕暮れに染まる王都の街道を、ノアは鼻歌まじりに歩いていた。

 その足取りは軽く、まるでスキップでもしそうな勢いだ。背後では、泥まみれでボロボロになったアルミフェンスさんが、今にも膝から崩れ落ちそうな足取りでついてきているが、ノアの知ったことではない。


(ふふふ、完璧。完璧すぎるわ。あの『萌え袖・上目遣いコンボ』の直後、あるっちのあの顔!

 魂抜けたみたいにボーッとして「あ、ああ……」なんて言っちゃってさ。完全に私のとりこだね!)


 ギルドの重い扉を勢いよく開け、ノアは高らかに宣言した。


「ただいま戻りましたー! 依頼、完璧に遂行いたしました!」


 ロビーにいた冒険者たちが一斉に振り返る。しかし、彼らの視線は誇らしげなノアを通り越し、その後ろの惨状に釘付けになった。


「……おい、なんだありゃ」

「襲撃か? 敗走か?」


 ざわつくロビーの奥から、地鳴りのような足音を立ててギルドマスターが姿を現した。彼はアルミフェンスさんのボロボロな姿を一瞥するなり、その血管を浮き上がらせた。


「ノアーーーー!!」


「ひゃいっ!?」


 逃げる間もなかった。マスターの岩のような巨大な拳が、ノアの頭頂部に着弾し、無慈悲な回転――「死のグリグリ」が開始される。


「痛い痛い痛い! 痛いですマスター!」

「あの森での護衛依頼で、どうして依頼人がこんな姿になるんだ!

 お前、何をした!!」


「ちょっと、ちゃんと見てくださいよ!」


 ノアは必死に頭を振りほどき、涙目で、しかしドヤ顔で小ぶりな胸を張った。


「見てください、このアルミフェイスさんの顔! 傷一つないでしょう!?

 私が! この私が死守したんです!

 鎧なんて消耗品ですよ、顔こそが彼の、そしてこの依頼の命なんです!」


「お前な……」


 呆れ果てるマスターの耳元へ、ノアはさらに追い打ちをかけるように、声を潜めて――しかし周囲には丸聞こえの音量で――ささやいた。


「それに大丈夫ですよ、マスター。心配しすぎですって。

 ……今、アルミフェイス君は私の魅力にやられて、もうメロメロですから」


 ノアは自信満々に振り返り、後ろで呆然としているアルフォンスへと、これ見よがしにウィンク(のつもりで顔を歪ませたもの)を送った。


「ね? 大丈夫だよね、アルミフェイスさん?」


「あ……ああ。……うん」


 アルフォンスは、何かに魂を奪われたような顔で、深く、噛みしめるように頷いた。


「ほら! みましたかーまーすたー」


 勝ち誇るノア。マスターはそんな彼女を「信じられないものを見る目」で見つめ、深いため息をついた。


 ――――


 アルフォンス・フェンブレイズは、子爵家の四男として生を受けた。

 四番目の男。それは、貴族社会において「余剰」を意味する。


 生まれた時から、彼の扱いはひどいものだった。贅沢など望むべくもなく、家庭教師も兄たちの使い古し。特に長兄が家督を継いでからは、家庭内でのアルフォンスの居場所は完全に失われていた。


「もういい。好きに生きよう」


 そう決めて、身一つに餞別ともいえる装備を着込み冒険者ギルドへ駆け込んだのが今日。そこで出会ったのが、この奇妙なサキュバスだった。


(……なんだろう、この感覚は)


 アルフォンスは、嵐が過ぎ去ったような虚脱感の中で、ぼんやりと考えていた。

 距離感が、異常に近いのだ。


 魔物が現れるたびに、「あるっち!」「こっち!」と必死に叫び、泥臭く立ち回る。

 そして戦闘が終わるたび、彼女は泥だらけのまま一目散に駆け寄ってくるのだ。


『あるっち、顔見せて! ほっぺた無事!?』


 その姿はまるで、愛犬が飼い主に飛びついてくる瞬間そのものだった。


 実家では、誰も自分に関心を持たなかった。

 だからこそ、このサキュバスのなりふり構わない猪突猛進ぶりは、彼にとって未知の体験だった。


(僕の顔しか見ていないようだが……まあ、悪い気はしないな)


 先ほどの、森の入り口での出来事。

 あの意味不明なポーズも、怒られているのに胸を張る今の姿もそうだ。


「……ノア君」


 彼は泥だらけの顔で、元気よくマスターと喧嘩している銀髪の背中を見つめた。


 そこに恋愛感情も、性的な高揚もない。

 ただ、散歩から帰ってきて餌をねだる大型犬を見るような、あるいは懐いて離れない子犬を「よしよし」と撫でてやりたいような、そんな不思議な愛着だった。


 アルフォンスはふっと口元を緩め、騒がしい彼女を見守る飼い主のような気分で、小さく息を吐いた。

 

AI共作

(作者)/原作・デザイン・ストーリー

    ・プロット・初稿・推敲作業

(AI) /校正・矛盾チェック・雰囲気調整

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ