第6話 守るべきモノと捉え方
アルミフェンスという名の貴族(確定)と、しぶしぶ森へ向かうノア。
場所は王都近郊、森の浅いエリア。
(まあ、出てもスライムか雑魚ゴブリンだ。
最悪、私が盾になれば……いや、盾になったら死ぬな。私が)
ノアは必死に自分を言い聞かせ、精神の安定を図っていた。
「ほら、ノア君。そんなに警戒しなくても大丈夫だよ」
アルフォンス、もといアルミフェンスさんは、王都の門を出てすぐの街道沿いの森を、ご機嫌な様子で歩いていた。
その銀色のプレートメイルは太陽の光を反射し、まるで散歩を楽しむ貴族そのものである。
ノアは、生後数日ながら人生2番目の疲労を感じていた。
ちなみに1番目は、この世界に生まれた瞬間(初日)だ。
「いや、警戒しないと死ぬんですよ。
かすり傷ひとつで私が……」
「ははは。ノア君は面白いね。
僕は、ただ安全な場所で少しだけ実戦経験を積みたいだけだよ」
アルミフェンスさんは優雅に笑うと、腰の儀礼剣を抜いた。
宝石が埋め込まれたその剣が、太陽の下で鈍く輝く。
「さあ、森に入ろう。
まずは……ゴブリンか、スライムでも出てくれると嬉しいな」
このお気楽さがカンに触る。
最強装備のおかげで安全だと勘違いしている、一番タチの悪いタイプだった。
――――
森の中は、穏やかだった。
鳥の声、薬草の香り、そして平和ボケした貴族の鼻歌。
だがその時、研ぎ澄まされたノアの生存本能と、魔族としての野生の勘が警鐘を鳴らした。
殺気だ。
ノアは弾かれたように振り返り、なりふり構わず叫んだ。
もう、アルミフェンスさんなどと呼んでいる余裕すらない。
「あるっち!! 右!!」
アルミフェンスは緩んだ顔を途端に引き締め、バッ!と右を向く。
襲撃に備えて剣を構えるその横顔は、ムカつくほどにキリッとしており、無駄に絵になっていた。
だが、ノアは絶叫する。
「そっちじゃない!!!
私からみて右!!!!!」
とんでもない指示であった。
右を向いたアルミフェンスさんの背後――つまり、私から見て右。
死角から飛び出したスライムの体当たりが、無防備な背中に直撃した。
ベチョッ!
鈍く、そして湿った音が響く。
衝撃でアルミフェンスさんが前のめりにたたらを踏んだ。
(顔じゃない!!
背中だ!! セーフ!)
ノアは心の中でガッツポーズをした。
鎧は硬い。背中なら打撲で済む。
「うわぁっ!?」
アルミフェンスさんは悲鳴を上げながらも、体勢を崩したまま強引に振り返り、スライムを切り裂く――
いや、切り裂いたつもりだった。
初撃は大きく空を切り、地面を叩く。
所詮は実戦経験のない貴族の剣術。
型稽古だけは立派でも、動く相手にはこんなものだ。
だが、腐ってもエリート教育を受けているということか。
体勢を立て直すリカバリーと、そこからの二撃目は驚くほど速かった。
ズバッ!
今度は的確にスライムの核を捉え、青い粘液が弾け飛ぶ。
(基本ができている分、飲み込みも早い……)
ノアは感心した。
が、すぐにそんな感想はどうでもよくなる。
問題は顔だ!
ノアはスライムの死骸など見向きもせず、駆け寄ってアルミフェンスさんの顔を覗き込んだ。
「あるっち、顔見せて!
ほっぺた無事!? 鼻の頭は!?」
「え、あ、うん。
大丈夫だよノア君、心配してくれて……」
よし、無傷だ!!
とぅるんとした肌は健在。
これならクレームは来ない!
「よかったぁ……
さあ、次にいこう!」
ノアの現金な態度は、アルミフェンスさんには
「心配性の健気な従者」と映ったらしい。
彼は感動した面持ちで頷き、再び剣を構えた。
AI共作
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