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第20話 甘い絶望と

ストック終了です。

週2〜3本で進行します。

ブクマ、評価、感想など

応援よろしくお願いします。


 わたしは今、人生……いや、魔生最大の絶望の淵に立たされていた。


 ギルドの片隅、いつものサボり定位置であるテーブル席に突っ伏し、

 わたしは深いため息をつく。

 その重さは、まるで世界の終わりを告げるかのようだった。


 情報は掴んだのだ。


 深夜の酒場での地道な(酔っ払いに絡むだけの)営業活動の末、

 ついに「お米」の手がかりを得た。


 砂漠の向こう、東の国。


 そこには、黄金色に輝く稲穂の海があり、

 白く輝く宝石のような穀物が主食として崇められているという。


 間違いない。

 それは、わたしが、いや、わたしの魂に刻まれた

 「日本人」としての記憶が渇望してやまない

 **『ジャポニカ米』**である可能性が極めて高い。


 だが、問題はその「場所」だった。


「……よりによって、魔王領の向こう側とか……」


 東の国へ行くには、広大な魔族の領土を横断しなければならない。


 それはつまり、サキュバスであるわたしにとって、

 自殺行為に等しいのだ。


 想像してみてほしい。


 魔族の領土を、人間の冒険者に連れられ、

 こんなぶっとい『魔力封じの首輪』を嵌められた

 美少女(自称)サキュバスが歩いている姿を。


 どう見ても事案だ。


 誰がどう見ても

 「人間に虐げられている可哀想な同胞」だ。


 正義感に燃える魔族の戦士たちが、

 「待ってろ! 今助けてやるぞ!」と涙ながらに襲撃してくる未来しか見えない。


 そして――


 「さあ、自由だ! 魔王軍に復帰して人類を滅ぼそう!」


 と、あの寒くて暗い(偏見)魔族の里へ連れ戻されるのだ。


「それだけは……それだけは絶対に阻止しなければ……!」


 わたしは自分の首にある、

 黒くて重い金属の輪っかを愛おしそうに撫でた。


 これは拘束具ではない。


 三食昼寝付き、おやつ支給ありの

 「安全地帯ニート・パラダイス」への永久パスポートなのだ。


 これを外されることは、わたしの社会的死を意味する。


 つまり、今のわたしには

 「東の国へ米を買い付けに行く」

 という選択肢はない。


「詰んだ……」


 そんな八方塞がりな状況の中、

 救いの手……のようなものが差し伸べられた。


「やあ、ノア君。探したよ」


 現れたのは、第一号パトロンのアルクッキーさんだ。


「今日は休暇なんだ。

 もし良かったら……僕の街歩きに付き合ってくれないかと思って」


 街歩き?

 ただのデートでは?


 魅了が効きすぎるのもこまったものだ。


 意味不明だが、危険な戦闘ゼロで報酬が発生し、

 あわよくば何か買ってもらえる。


 わたしの脳内電卓が「受けろ」と即決した。


「謹んでお受けいたします!」


          ***


 王都の大通り。


 アルクッキーさんは上機嫌で、

 わたしをある一角へ案内した。


 貴族御用達の高級カフェだ。


「ここだよ。

 ここの『特製スイーツ』が絶品でね。

 君、甘いものが好きだろう?」


 案内されたテラス席。


 運ばれてきたのは、銀の器に盛られた純白の料理だった。


 ミルクの甘い香り。

 そして、その中に沈む無数の「粒」。


「……っ!?」


 スプーンですくってみる。


 その楕円形のフォルム。

 半透明な輝き。


 間違いない。


 米だ。

 まごうことなき、**ライス**だ!!


 まさか、こんなところであっさりと再会できるなんて!


 灯台下暗しとはこのことか!


 わたしは震える手でスプーンを口に運んだ。


 愛しの白米よ、

 わたしの胃袋を満たしてくれ――!


 パクッ。


 ……ん?


 口の中に広がったのは、

 濃厚なミルクと砂糖の暴力的な甘さ。


 そして、

 ふにゃふにゃになるまで煮込まれた頼りない食感。


「あまーーーーーーーーーいッ!!!」


 心の中で絶叫した。


 違う。

 これじゃない。


 これは「ライスプディング」だ。


 素材は米だが、

 調理法が決定的に違う!


 わたしが求めているのは、

 炊きたてで、塩気があって、

 おかずと一緒に食べる

 **「食事としての米」**なのだ!


「どうかな、ノア君?

 一口食べて震え出したから心配したけど……

 感動してくれたかい?」


 アルクッキーさんが、

 期待に満ちたキラキラした瞳で覗き込んでくる。


 言えない。


「醤油持ってこい!」なんて、

 この空間で言えるわけがない。


「……おい、しい……です……」


 わたしは血の涙を流す思いで嘘をつき、

 甘ったるいお粥のようなそれを飲み込んだ。


 

 お米様、

 あなたはこんなところで

 何をしているのですか……。

 

AI共作

(作者)/原作・デザイン・ストーリー

    ・プロット・初稿・推敲作業

(AI) /校正・矛盾チェック・雰囲気調整

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