閑話 悪夢
夜も更けた、深夜のこと。
王都の喧騒はすっかり鳴りを潜め、冒険者ギルドも静寂に包まれていた。
ノアは、個室のベッドで悪夢を見ていた。
それはあの日。
あの時。
この場所に転生した、あの忌まわしき初日の記憶だ。
見渡す限りの、屈強な男たち。
彼らは全員が武器を構え、警戒心むき出しで、か弱い自分を円形に取り囲んでいる。
(……やばい、囲まれてる)
夢の中のノアは、愛想笑いを浮かべて手を振ってみる。
だが、男たちの顔つきはピクリとも変わらない。
ただ冷徹に、獲物であるこちらの出方を伺っている。
恐怖の衝動が、背筋を駆け上がった。
捕まれば、終わる。
捕まってしまえば、全てが終わる。
ノアは弾かれたように駆け出した。
もはやなりふり構っていられない。
振り返りもせず、出口へ向かって全速力で逃げる。
「逃がすか!」
だが、屈強な冒険者たちは、そんなノアの抵抗を嘲笑うかのように立ち塞がった。
あっけなく捕縛される。
「やめろ、来るな! 離せぇ!」
背中を壁に押し付けられ、二人の男によって両肩を押さえつけられる。
鉄の握力に身体が軋み、身動き一つ取れない。
視界の正面に立つのは、岩のような大男。
そしてその横には、冷たい視線を送る眼鏡の女性が立っている。
まるで処刑人のような威圧感。
大男の手が、ゆっくりとノアの首元へ伸びてくる。
「いやだ……やめて! 触るな! やめろぉぉ!」
必死にもがくが、この身体では、冒険者の力に到底敵わない。
男は容赦なく、私の首筋へと手をかけた。
「いやああああああ!」
ノアの絶叫が響く。
そして――
カチリ。
乾いた金属音が鳴った。
その瞬間、首にかかっていた金属の冷たさと、
あのずしりとした重みが――消える。
(……え?)
直後、全身をわずかな魔力が貫いた。
今まで堰き止められていた力が、
凍りついた氷が溶けるように全身へと広がっていく。
首輪が、外された。
目の前がチカチカと点滅し、頭が回らない。
恐怖と絶望が、津波のように押し寄せた。
***
「はっ……!?」
ノアはガバッと半身を起こした。
心臓が早鐘を打っている。
激しい呼吸と共に、全身からは嫌な冷や汗が吹き出していた。
あたりを見渡す。
見慣れた個室の天井。
柔らかいベッド。
ノアは震える手で、恐る恐る自分の首元へと触れた。
ひやりとした、硬い金属の感触。
魔力を封じる、愛しき拘束具。
「……ある」
よかった。まだ囚われの身だ。
まだ私は、このギルドに飼われている。
夢であったことに心の底から安堵しながら、
ノアはポツリとつぶやいた。
「……最悪」
AI共作
(作者)/原作・デザイン・ストーリー
・プロット・初稿・推敲作業
(AI) /校正・矛盾チェック・雰囲気調整




