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  閑話 魔族のプライド

ストック切れるまで随時更新します。

 ここは王都冒険者ギルド、関係者以外立ち入り禁止のプライベートエリア。


 その一角に、まるで息絶えたかのように、あるいは物理法則を無視したかのような凄まじい寝相で転がっている一匹の飼い魔族がいる。


 銀色の髪、陽光を弾く薄褐色の肌。

 実年齢は生後十日、見た目は二十歳前後の麗しい美女。

 眠ってさえいれば、道行く十人中十人が間違いなくその美貌に惹きつけられ、魂を抜かれることだろう。


 ただし、その胸元はサキュバスという種族への期待を裏切り、気持ち膨らんで見える程度の平坦な荒野。

 そしてその首に嵌められた、無骨で太い魔力封じの首輪。


 捕虜、囚われた美女、抗えぬ運命……。

 その姿からは、数奇な運命に翻弄される薄幸のヒロインのような、悲劇を思わせる印象が漂っていた。


「……カラメルソースさん……

 わたし……ケーキも食べたい……

 むにゃ……」


…………

…………

…………


 そう、黙ってさえいれば、である。


 ――――


 朝、といっても太陽が天高く昇りきった昼前。


 ノアは体内に組み込まれた「エサ・センサー」に導かれるように、なにかに惹きつけられるように目を覚ます。


 そのままふらふらと階段を降り、一階の大きく開けたロビーへ。

 彼女は何食わぬ顔で、酒盛りや作戦会議に興じている冒険者集団の机に、当たり前のように割り込んだ。


「よっ、おはよー。

 それ、おいしそうだね」


 当然のように、そこにある皿から肉やらパンやらをいろいろつまみ食いする。


 だが、誰も咎めない。

 それどころか、屈強な男たちは

「お、ノア起きたか」

「これ食うか?」

と、手なずけられた小動物を愛でるような目で彼女を受け入れる。


 食事が終われば、次はお昼寝の時間だ。


 いつもの倉庫、積み上げられた箱の中。

 なぜか最近、そこには誰が置いたのか、あったかい毛布まで完備されている。


 その頃、ギルド内にはマスターの探す声が響き渡っていた。


「ノアー!

 どこだ!

 またサボりかあいつは!」


 見つかることも多いが、見つからないことも稀にある。

 今日は運良く、見つからなかったようである。


 午後三時。


 目覚まし時計などないのに、彼女は正確に目を覚ます。

 ふたたびギルドロビーへ顔を出すと、そこには「おやつ担当」のカラメルソースさん(アルフォンス)が待っていた。


「やあ、ノア君。

 今日のおやつだよ」


 夢にまで見たケーキではなかったけれども、ぷるぷるのプリンをもらった。


「明日はケーキがいいなぁ」


 と伝えることを忘れずに伝え、ノアは満足げに鼻を鳴らす。


 そして夜。


 いつものようにギルドロビー。

 冒険者の塊の中にちゃっかりと紛れ込む。


 当然のように皿からつまみ、誰も止めない。

 それどころか、

「ノア、食べたいもんあるか?」

と聞かれ、伝えるとみんなが勝手に注文してくれる。


 しかし、そんな甘い生活の背後に、不機嫌そうなギルドマスターの影が差す。


「……おい。

 仕事だぞ」


 そう、給仕の仕事である。


 やる気のなさが態度に直結し、彼女がフロアに出るだけでロビーは地獄絵図と化す。

 だが、閉店まで特に働くわけではない。


 冒険者たちの中に混じってだべったり、

 こっそり見えない位置でうつらうつらと舟を漕いだり。


 仕事(?)が終われば、そのままプライベートルームへ逆戻り。

 しっかり鍵をして、泥のように就寝に着く。


 魔王への忠誠?

 人類は敵?


 そんな設定は、ギルドの温かい毛布とタダ飯の前に完全に埋没していた。


 そこにいるのは、魔族としてのプライドを感じさせない、

 堕落したサキュバスだった。

 

AI共作

(作者)/原作・デザイン・ストーリー

    ・プロット・初稿・推敲作業

(AI) /校正・矛盾チェック・雰囲気調整

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