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DANDY〜もう戻れない〜  作者: kagari
プロローグ
3/18

タイトル未定2025/11/24 02:23

 瞳が突然ボクの前から消え、ボクの胸は穴が空いたようだった。

 瞳と親しい友人に瞳がいなくなった理由を聞いたけど、彼女たちにもわからなかった。

 逆に『麻生君も、知らないの?』と、聞かれてしまった。

 思い返せば、瞳は自分のことを何も話してはくれなかった。

 瞳を家まで送ろうとしても、途中までしか送らせてくれなくて、ボクが瞳の家に行こうとするのを瞳はずっと拒み続けていた。

 瞳は携帯を持っていない。

 瞳を探す手段を見いだせないまま、ボクは大学生活を送っていた。

 机の上に、母親の形見の指輪が転がっていた。 

 指輪をはめようとしたけど、思った通りボクの指にはまらなく、指輪は転がって床の上に落ちた。

 ボクは、母親の形見の指輪のサイズを直し、数日後ボクの左の薬指に指輪がはまった。 

 指輪を見るたび、医者になる決意を固めた。

 いつか瞳と再会できる。

 ボクは、そう信じることにした。

 いつの日か瞳と再会が出た時、恥ずかしくないように、医者になって瞳を迎えよう。

 そう、心に決めた。

 大学に進学したボクは、何かに取りつかれたように、一心不乱になって勉強に取り組んだ。

 そんな時だった、彼女に出会ったのは。

 大学の教室の一番後ろの席に座り、ボクはノートを広げていた。

「隣、空いてる?」

 その声で、ボクは顔を上げた。

 そこには茶髪で綺麗にメイクされ遊んでいる感じがあった、小柄で華奢でまるで少女のような女性がたたずんでいた。

 いくらでも空席があるのに……。

 ポカンと間抜けズラをしていると、女性は素早くボクの隣の席についた。

 「ありがと」と言いながら少女は、妖しい笑みを浮かべた。

 講義中、ボクは隣の席の女性のノートを盗み見た。

 ノートは、綺麗な字でびっしりと埋め尽くされていた。

 女性はわき目も触れずに、講義に集中していた。

 正直、見た目のギャップの差に驚いた。

「次は、何処の教室?」

 講義が終わった後、突然女性が言ってきた。

 女性の問いに答えると、女性はがっかりした声を上げた。

「残念、教室違う!」

 ボクは苦笑しながら、机の上を片づけた。

 女性は尚も、ボクに話しかけてきた。

「お昼、学食?」

「ああ、うん」

「じゃあ、食堂で待ち合わせしよ」

「えっ?」

「ライン交換しようよ!」

 急かされるまま、ボクは女性とラインを交換した。


 午前の講義が終わり、ボクは携帯を眺めた。

 ラインに「学食にいるよ」と、新着トークが入っていた。

 ラインには、さやかと名前が入っていた。

 さやか……あの女性は、さやかと言うんだ。

 ボクは、食堂へ急いだ。

 初めて出会ったさやかとボクは、食堂で昼食を食べた。

 入学式の時、さやかはボクを見かけたと言った。

「初めて一目惚れしちゃった。密かにストーカーしていたんだよ」

「……知らなかった。講義、凄く真面目に受けていたね」

「一浪しているからね。必死よ」

「一浪……?」

 と言うことは、ボクよりひとつ年上なのか!さやかは小柄で華奢な身体つきをしていて、下手をしたらボクより年下に見えた。

 学食を出る頃には、お互いの名前を呼び捨てで呼び合っていた。

 講義を終え、さやかに誘われるまま、ボクはさやかが住むワンルームの部屋に行った。

 さやかは手料理を作って、ボクをもてなしてくれた。

 さやかが作った料理は、意外にも和食だった。

 さやかの手料理を食べながら、ボクはさやかの家族構成を聞いた。

 三人家族で、父親は大学教授。

 母親は良いとこのお嬢様らしい。

 だからワンルームで、独り暮らしができるのか。

 さやかと出会ったその日の夜、ボクとさやかはベッドの中で抱きあった。

「彼女っているの?」

「彼女がいたら、さやかとつきあったりしないよ」

「それもそうね」

 ボクとさやかは、笑いながら抱き合って唇をかさねた。

 ボクから顔を離したさやかは、ボクに寄り添ったまま聞いてきた。

「振ったの?」

「まさか……彼女は卒業式を欠席して、そのまま行方知れず」

「なんで?」

「さぁ。わからない」

「そう。私はずっと、側にいるからね」

 さやかはタバコを吸い出し、吸っていたタバコをボクの口に加えさせた。

 当然のことながらボクはむせて、さやかはあどけなく笑った。

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