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DANDY〜もう戻れない〜  作者: kagari
プロローグ
18/18

エピローグ

「面会の終わる時間です」

 看守の声で、ボクは我に返った。 

 あの惨劇から数ヶ月が経っているのに、惨劇は僕の胸に傷跡を残した。

 瞳は同棲相手を刺して死亡させ、自らの命を絶った。

 しかし、九死に一生を得て、現在警察病院の檻の中のベッドにいる。

 あの忌まわしい事件以来、瞳は言葉を失ってしまった。

 ボクと大門のことを、どこかに置き忘れた瞳は、焦点が定まらない視線を天井に向けていた。

「瞳ちゃん、また来るからね」

 瞳は意味のない笑顔を、ボクに向けた。

 

 受付で名札を返し、ノートに退出時間を記入した。

 ロビーのソファーで、大門がお絵かき帳に絵を描いていた。

「お待たせ、大門」

 大門に声をかけると、大門は慌ててお絵かき帳を肩掛けバッグにしまい、ソファーから降りるとボクに飛びついた。

 警察病院を出ると、大門がボクに聞いてきた。

「お友達、元気だった?」

「帰るとき、少しだけ笑いました」

「良かったね!お友達、早く治ると良いね」

「そうですね」

 あの凄惨な現場を目撃したのは、ただ一人、大門だけだった。

 大門はショックのあまり、母親と同棲相手の二人の記憶を失っていた。

 あの夜の記憶を失ったことが、果たして大門にとっては良かったことなのか、ボクにはわからない。

「大門、お腹空いただろ?何か食べに行こうか。何が良い?」

「う~んとぉ……」

 ボクは大門と手をつないだ。

 ボクが薬指に付けている、二つの指輪に大門の指が触れる。

 ボクと大門は、新緑の中をゆっくり歩いた。


挿絵(By みてみん)


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