タイトル未定2025/11/24 13:01
さやかがいなくなって、三日が経っていた。
仕事を終えたボクはマンションに帰ると、部屋の明かりがついていた。
ボクは急いで部屋に向かった。
部屋に入ると、バンダナを頭にかぶりエプロンを着てジーパン姿のさやかが荷造りをしていた。
「あっ、お帰り」
「さやか……なに、やっているんだよ?」
「見ての通りの荷造りよ」
「ちょっと、やめろよ!」
ボクは怒鳴り声をあげながら、両手を伸ばして、荷造りをしているさやかの手止めた。 荷造りをしていた、さやかの手が止まった。
さやかは、いつもと変わらない顔で言った。
「本当は、ちゃんと話し合ってからにしようと思ったけど、そうもいかなくなっちゃって」
「話し合い……」
「知ってたよ。七海が私に、嘘をついていたこと」
「えっ?」
「七海が嘘をついていると感じた時、私七海の携帯を見ちゃったの」
「ボクの携帯を?」
「綺麗な人だね。七海の元カノでしょ?子供もいるんだ。三人で仲良く撮っちゃって、本当の親子みたい」
さやかが見た携帯の画像は、公園で遊んだ時携帯カメラで撮ったものだ。
「七海は、私のところに戻ってきてくれるって信じていたから、何も言わなかった。でも、七海が初めて私に料理を作ってくれたあの日。私を部屋に置いて、店を休みにしてまで、元カノに会いに行ったでしょ。私、電話で話しているのを聞いちゃったの」
「それは……」
駄目だ、何を言っても言いわけになってしまう。
「突然いなくなった七海の元カノが、いつか七海の目の前に現れて、七海は私の前からいなくなる。そんな思いで七海の元カノに、私はずっと怯えていたわ」
「確かにボクは、彼女と会っていた。でも、よりを戻すとか、そんなこと考えていない」
「七海が元カノに会いに行った夜、私は先輩にすがったの」
「先輩?」
「職場の先輩。入社した当初から、私に何かと気にかけてくれて。いろいろ相談にも乗ってくれて。先輩は『俺のところに来い』って、言ってくれて」
「今まで、その先輩のところにいたのか?」
「うん」
「先輩と、ずっと一緒にいるのか?」
「本当は、七海と別れたくなかった。でも私ね、欲張りなの。好きな人には、私だけを見ていてほしい。今でも、七海のこと好きだよ。七海のこと、恨んでいないよ。今なら、笑って七海と別れられる。七海は、もう自由だよ」
寂しくなった部屋に笑顔を残して、さやかはボクの前からいなくなり、ボクはまた独りになった。




