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DANDY〜もう戻れない〜  作者: kagari
プロローグ
13/18

タイトル未定2025/11/24 10:45

 翌日待ち合わせ場所の緑地公園で待っていると、大門と手をつないだ瞳がやってきた。

 瞳は大きなバッグを、肩に下げていた。

「おはよう!」

 ボクが挨拶をすると、大門は「おはようございます!」と言って、ボクの方へ走り寄り、ボクの腕を掴んできた。

 ボクは大門の手をつなぎ、大門と歩きながら言った。

「ここに来る途中、ボールを買って来たよ。サッカーやろう」

 大門は歓声をあげ、ボクの手を引っ張って歩いた。

 緑地公園の木漏れ日の中の遊歩道を歩き、遊歩道を抜けると広場に出た。

 広場の奥には、ちょっとしたアスレチックがあった。

 芝生を囲んだ広場に着くと、ボール遊びやバトミントンで遊んでいる家族連れが目立っていた。

 早速ボクと大門は、広場でボールを蹴りあった。

 声を上げて、ボールを追いかける大門が可愛かった。

 大門が蹴ったボールが、遊歩道の方へそれたので、ボクはボールを拾いに行った。

 ボールを拾い上げると、木の下でたたずんでいた瞳の姿が、目の中に入った。

 大きなバッグは、足元に置いてあった。

 ボクは、瞳に近づいた。

「瞳ちゃんもやろうよ」

 ボクはそう言うと、瞳の返事を聞かず強引に、瞳の腕を引っ張った。

 最初のうちこそ気乗りしない瞳だったが、少しずつ楽しそうにボールを蹴っていた。

 いつの間にかボクたちは、声を上げてボールを追いかけていた。

 やがて大門が疲れたのか、しゃがみこんでしまった。

「休憩するか?」

 しゃがみこんだ大門にボクは言った。

 大門が立ちあがった時、瞳が言った。

「お昼にしましょうか?」

「えっ?」

「急だったから、おにぎりしかないけど」

 瞳は先程いた木の下に行って、大きなバッグからレジャーシートを出して広げた。

 瞳は手回し良く、人数分のペットボトルのお茶を用意していた。

 靴を脱いでレジャーシートの上に座り、瞳が作ったおにぎりを頬張った。

 動き回った後のおにぎりは美味しく、用意しくれたお茶は喉を潤してくれた。

 おにぎりを食べ終えると、大門は早くもアスレチックで遊びたそうな顔をしていた。

「此処にいるから、遊んでおいで」

 ボクがそう言うと、大門は嬉しそうに走って行った。

 瞳とふたりきりになった時、ボクは切り出した。

「保育園に検診に行った時、大門の身体にいくつもあざがあったんだ。大門のお父さん、大門に虐待をしているのか?あれは、虐待されてできたものだ」

 瞳は黙り込んだまま、何も言わなかった。

 ボクは瞳の顔を、のぞき込みながら言った。

「瞳ちゃん?」

「……私なの」

「えっ?」

「大門をたたいたのは、私なの」

「瞳ちゃんが……どうして」

「……彼は私を束縛するくせに、平気で浮気をする。子供嫌いで、大門を自分の息子とは、これっぽっちも思っていない。大門はそうならないように厳しく育てていた。でも……いつの間にか大門を、ストレスのはけ口にしていたわ」

「瞳ちゃんが……嘘だろ」

 ボクは、瞳の言葉が信じられなかった。

 ため息交じりにつぶやいたボクは、タバコを吸った。

 ボクは大門の父親が、虐待をしていたとばかり思っていた。

 まさか、瞳が虐待をしていたなんて!大門の背中をたたく、瞳を想像しただけで悲しかった。

「最近大門は、笑顔を見せるようになったわ。七海君のおかげね」

「ボクは、大門は父親から虐待を受けていると思い、心配しただけだよ」

「私は、母親失格ね」

 ボクは吸っていたタバコを、携帯灰皿に押しつぶした。

「高校の時にボクが書いた、携帯番号のメモ書きを、ずっと持っていたんだ?」

「うん。七海君と繋がることができる、唯一のものだから」

 高校時代、学生が携帯を持っている中、瞳は自分の携帯を持っていなかった。

 ボクは、瞳に自分の携帯番号を書いたメモ紙を瞳に渡した。

 しかし携帯が鳴ったことは一度もなく、瞳はボクの前から姿を消した。

 初めて瞳から着信を受信したのは、大門の親子遠足に参加してほしいと、頼まれた時だった。

「もっと早く、電話すれば良かったのに」

「できないよ。七海君に、迷惑かけれないから。……もう、迷惑かけているか」

 ボクと瞳は、顔を見合わせて笑った。

「実家の病院で、仕事をしているのよね。おまちさん元気?」

「元気だよ。あの人がいないと、家は回らないよ」

「ハキハキした人だものね。七海君……彼女いるの?」

「……うん」

「そっか!良かった。どんな人?何処で知り合ったの?」

 明るく聞いてくる瞳に、なぜかボクはさみしくなった。

「大学の時知り合ったよ。瞳ちゃんと真逆の子だよ。それより、ボクの携帯にかかってきた番号が携帯の番号だったけど、瞳ちゃん携帯持ったんだ!」

「正しくは、持たされたんだけど」

「旦那さんが、瞳ちゃんに持たせたってこと?」

「うん。でも、携帯を使うのは、保育園に連絡する時くらいよ」

「いつでも良いから、電話してよ」

 黙り込む瞳に、さらにボクは言った。

「たまにはこうやって、大門に会わせてよ」

「七海君……私……」

 瞳が何かを言おうとした時だった。

 大門がやってきた。

「七海ぃ。独りじゃ、つまんないよ」

「ごめん、ごめん!……そうだ!大門、来いよ」

 ボクが大門を手招きすると、ボクの側に大門が来た。

 ボクと瞳の間に大門を挟み、ボクは携帯でスリーショットを撮った。

 大門は嬉しそうに、撮った写真を眺めた。

 ボクは立ち上がり、大門と手をつないで走りだした。

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