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鍵 〜ショートショート集〜  作者: 浅見カフカ


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13/13

指相撲

「じゅう」

手を繋いで歩くイチョウの並木道。

不意に彼はそう言って、悪戯っ子のように笑った。

違和感を覚えた手に視線を向けると、私の親指を彼の親指が押さえていた。


ネトフリの途中、ベッドの中——

彼は不意打ちの指相撲で勝つ度に笑って見せた。

そして私は仕返しに脇腹をくすぐる。

身をよじって悶える姿に、私も笑って見せた。




消毒液の匂いが私日常になった頃。

彼はベッドの上で浅い呼吸を繰り返していた。

耳障りな電子音をいつまでも聞いていたいと願った。

どうか途絶えないでと。

曇るマスクの向こうで唇が僅かに動いた。

私は彼の手を取り、口元に耳を寄せた。

「じゅう」

目を細めて笑う彼の顔と、力無く重ねた親指。

彼の腕から力が抜けて、その重みだけが手の上に残った。

「いや、いや、いやぁ」

泣すがる手が彼の脇腹に触れても、もう私を笑わせてはくれなかった。





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