市瀬蒼真の始まり①
俺、市瀬蒼真は平凡な日常を送りたいわけですよ。
幼馴染に朝起こされて、一緒に登校して、同級生たちと仲良く学校生活を送り、放課後はちょっと気になる女子と帰る。そんな日常を送りたいわけですよ。漫画みたいな感じな事が平凡かって言われるとおかしいとは思う。
でも、今現在進行形で俺は強く平凡な日常を送りたいと思っている。
何故なら……。
「うおおおおおおおおおおお!」
「ふにゃああああ!」
「ひぃぃぃぃ!」
今現在変な物体に同級生と一緒に追いかけられているからです。
謎の物体はなんか黒い。液状的でゲームでよく出てでくるスライムのようだった。大きさは縦は俺の身長の2倍ある、横は今現在走っている住宅街の家と家の間の道路ギリギリ通れるぐらいだ。つまりデカい。
何故追いかけられているか。
幼馴染二人が部活やら委員会やらで一緒に帰れないから一人で下校中、喉が渇いたので自動販売機で飲み物買っていた。そしたら同じクラスの女子、四葉白雪と会う。飲み物を飲みながら他愛のない会話をしていたら、別のクラスの女子、四葉白雪の双子の妹である四葉黒雪がスライムに追いかけられていて俺たちの方へ走ってきていたのだ。そしてびびった俺と四葉白雪は巻き込まれて走ることになったのである。
つまり……。
「お前のせいだろ、四葉妹!」
「うるさい!私だって急に空から降ってきたスライム(仮)に襲われかけたんだから!」
「だからって俺たちを巻き込むな!」
「あああああ、あの、話してると体力減って追いつかれると思いますううううぅ!」
「よし。次十字路があったら俺と四葉姉が右に曲がるから、四葉妹は左に曲がれ!」
「せめてどっちかはまっすぐ走ってよ!」
しかし、現実は悲しいかな。
「嘘でしょ!」
まさかの行き止まり。正確には左右は塀、正面は誰かの家の門。勝手に入るわけには行かないので俺たちは止まることしかできなかった。
俺は四葉白雪を守るように前に立ち、ボールペンでスライム(仮)に立ち向かうようにした。四葉黒雪は自分で守るのか鞄から折り畳み傘を取り出し構えた。
「……スライムって刺せると思う?」
「わかるわけないでしょ。でも無いよりかはマシ」
だよな。もし知ってたら後ろから四葉黒雪を押して、スライム(仮)が油断した瞬間に四葉白雪と逃げる。
スライム(仮)は腕を数本出してきた。攻撃するつもりなのだろう。俺たちは覚悟を決めた。
と、思ったら空から何かが降ってきてスライム(仮)を一刀両断した。
「は?」
何が起きた。誰が降ってきた。どうやってスライム(仮)を一刀両断した。
ちらりと四葉姉妹を見る。四葉白雪も四葉黒雪も困惑していた。だろうな。
一刀両断したのは青い髪の女の子だった。服装は上は着物だが、下はミニスカート。ニーハイに下駄。手には薙刀がある。ミニスカートではなく袴なら薙刀少女と呼べるだろう。
青髪の少女は俺たちの方を見ずに薙刀を持ってない左手を耳に当てた。
「エリア257の36にて【影】討伐完了。建物被害無し。人物被害はーーー」
左手を耳に当てたまま、少女は振り返って俺たちを見た。そして大きく目を開き驚愕していた。俺たち三人も驚愕した。
「……追いかけられていたのは3名。全員私の知り合いだ」
少女はめんどくさいことになったという感じの表情をした。
少女は本来なら部活動で学校にいるはずの幼馴染、双海朱莉だった。




