りったんの「二百文字小説」集

沢木先生お題編（神田律子と愉快な仲間達）

ただいまのお時間

　律子は妊婦。

　夫が仕事に行っている間は家事をこなしたり、テレビを観たり、友人と電話で話したりして過ごしている。

　だが、それも何日も経つと友人との会話も話題がなくなり、テレビも観ていたドラマが終わってしまうとその時間が手持ち無沙汰になった。

　そうなるとただ眠くなってしまう。

「は！」

　でも、決まった時刻になると律子は自然に目を覚まして玄関に行く。

「ただいま」

　夫が帰ってくるのを心待ちにしている犬のような生活だ。