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☆書籍化やコミカライズ☆

【電子書籍化決定】王を選ぶ女

いつもお読みいただきありがとうございます!

 声が出なくなって三カ月が経った。


 風邪でも毒のせいでもない。強いて言うなら、婚約者の王太子とともに町に視察に行った際に王政に不満を持っていて叫びながら近づいて来た平民男性から王太子を庇ったことだろうか。複数人いたため、そのうちの一人が私たちにかなり近づいていた。


 庇ったというには語弊がある。

 護衛騎士が複数その場にいたのに、私はこちらに向かってくる平民男性を見つけて王太子を庇うように前に出ただけだ。


 王太子妃になるとはそういうものだ。

 もし護衛騎士や侍従・侍女たちが全員やられたら、婚約者である私が王太子を庇うのは当たり前のことである。

 あんな風に大声を上げながら男性に向かってこられたら怖かった。

 すぐに護衛騎士が取り押さえて騒ぎにはなったものの、その後の視察は何事もなかったように続けられた。


「サフィラ、あなたはよく王太子を守ろうとしてくれましたね」

「護衛騎士たちがいましたので私は何も特別なことはできておりません」

「咄嗟にあのように動けるというのは素晴らしいことです。私があなたの年頃であれば怖くて何もできなかったでしょう」


 ほぼ褒めることがない王妃から呼び出されてお褒めの言葉をいただいたのが、その日の一番の出来事だっただろう。

 自分の息子のために命を懸けられる婚約者だと認めたから褒めたのだろうか。


 そして、その翌日から私の声は急に出なくなった。

 疲れかストレスか、昨日の恐怖か。オズモンド公爵家お抱えの医者に診てもらっても原因は分からず、城から医者が派遣されても結局分からなかった。

 アレクシス王太子はたびたび花を持って見舞いに来てくれた。喋れないと案外不便なもので、声が出ない私は紙にいちいち書いて彼と会話をした。


 周囲も最初の内は王妃のように褒めてくれた。

 でも、声が出ない原因も分からず三カ月も経つと状況は変わってきた。


「護衛騎士がいるのにでしゃばるからだ」

「もしや、自作自演だったのでは?」

「声が出ないのも怪しいですな」

「いやいや、重篤な病気かもしれませんよ。奇病とは」

「あれほど繊細では王太子の婚約者はつとまりますまい」


 サフィラ・オズモンドは立派な婚約者だと三カ月前までは言われていた。しかし、今では喋れない奇病にかかった婚約者になってしまい評価は下がってしまった。


 きっと、アレクシス王太子も私を切り捨て始めている。

 最初の一カ月は週に二回来てくれていたが、最近は私が王太子妃教育のために登城しても会ってくれなくなった。定例の二人でのお茶会も紙に書いてのやり取りが億劫になったのか段々と時間が短くなり、最近では忙しさを理由にキャンセルされてしまう。


 声が出ないだけでこうなってしまうのか。私自身は声が出ないこと以外何も変わっていないのに。

 今日も王太子に会うのを断られてしまい、私はこのまま帰るのも嫌で見事な庭園を通って城の図書館に寄ってから帰ろうとした。

 王妃は私を褒めて以降、何かと気遣ってくれる。声が出なくなって気分まで沈んでしまっている私に王妃の庭園に入る許可をくれた。


 しかし、バラが上品に咲き乱れる庭園で私は見てしまった。

 私の婚約者であるはずのアレクシス王太子が他の令嬢と親密そうに歩いているのを。ただのエスコートと言い張るにしてもあの距離感はおかしかった。


 庭園の中でもこの区画は王族の許可がないと入れない場所だ。足を踏み入れる前に庭園の門の前にいた城の使用人が苦痛を耐えるような表情をしていたのは調子が悪いからかと思ったが、このことを言えなかったのだろう。


 後ろで公爵家からついてきてくれた侍女のマリサが怒りのあまり手を震わせているのがわずかに見えて、俯いて絶望に沈み込みそうになった心がわずかに浮上する。

 何も悪いことはしていないが、美しいアーチ型に沿わせて作られている花の茂みに身を隠す。

 王太子と一緒にいるのは、侯爵家の令嬢だった。私の次に有力だった婚約者候補のご令嬢でなんとまだ彼女に婚約者はいない。


 手の震えを隠すようにマリサに帰ろうと合図をして、彼らに背を向けた。


 私は何も悪いことはしていないのに、コソコソと逃げる負け犬みたいだ。

 なんと情けないのか。

 声の出ない私は彼らの前まで言ってチクリと嫌味を言うことも、一体どういうことなのだと詰問することもできない。

 どうしてこういう時に声が出ないのだろう。今彼らの間に入っても、私と侍女マリサの発言だけでは事実が握りつぶされてしまう可能性がある。そうしたら、私とマリサは証拠もなく無意味に王太子に対して騒ぎ立てたことになってしまう。


 唇を嚙みしめて、王妃の庭園である区画から出る。

 あの光景を見たら嫌でも察した。茶会をキャンセルされようとも、王太子は本当に忙しいのかもしれないなんてお花畑な思考が拭えなかったのだ。そのお花畑は先ほど一瞬で全部枯れただろう。


 私は切り捨てられる。たった三カ月、声が出ないだけで。回復の見込みがないことも大きい。アレクシス王太子の婚約者になったのが十二歳の時だから、今年で六年。六年間着々と積み上げてきたものがたったの三カ月で壊される。


 涙を堪えながら歩を進めようとして、誰かが前方にいるのに気付いた。

 流れる美しい黒髪は第二王子ジェンセンのものだ。アレクシス王太子が王妃に似た金髪なのに対し、第二王子ジェンセンは国王に瓜二つの容貌で黒髪なのだ。


 声が出ず、挨拶もできないので私は礼をしてそっと隅によける。

 第二王子は歩いてくると、私の前で立ち止まった。


「中に入らないのか?」


 囁くような問いかけに私は首を横に振って答える。


「あぁ、すまない。声が出ないのだったか」


 ジェンセンは庭園の様子に気付いたらしい。令嬢の笑い声が意外にも響いたからだ。途端に彼の目は鋭くなって雰囲気が恐ろしくなる。


 第二王子ジェンセンにはあるエピソードがある。

 彼が八歳の時に開催されていた城のお茶会で、庭に侵入してきた大きめの野犬を一人で斬り殺したのだ。彼が殺さなければ王妃や夫人、令嬢たちが噛まれていた。返り血まで浴びて平然としていた彼の様子は、本来なら王妃や他の人達を守ったと称賛されるはずだったのに「気味が悪い王子」「残虐さの片鱗だ」と怖がられるようになってしまった。アレクシス派の貴族たちの仕業だろう。そのせいで今に至るまで婚約者が決まっていないのだ。


 私もそのお茶会に参加していたのだがお花摘みで席を外しており、事件が起きてからはお茶会会場に近付かせてもらえなかったので後で何があったかのみ聞いたのだ。


 彼はピィィと急に指笛を吹いた。

 驚いて呆然としていると、白い鳥がどこからともなくすーっと彼のところに飛んでくる。あとから何羽か同じような鳥がワラワラとやって来た。

 状況がのみこめないでいると、ジェンセンはポケットからパンを取り出して少し千切って地面に撒く。そこに鳥たちが群がった。パンがあっという間についばまれてなくなる頃にジェンセンは残りのパンを振りかぶって王妃の庭園に投げた。鳥たちはバサバサとパンにつられて羽ばたいていく。


「フンをかけられたくなかったら早く立ち去った方が良い」


 ジェンセンはすぐに背中を向けて立ち去った。

 庭園の中からはクルクルと鳥たちが喉を鳴らす複数の音と羽ばたきが絶え間なく聞こえる。これでは逢引きの雰囲気どころではないだろう。

 思わず笑みをこぼしそうになって表情を引き締めると、私もすぐに庭園を離れて図書館に向かう。


「第二王子殿下はウワサとは全く違うお方でしたね」

『分かってはいたけれど、あまり会う機会がなかったから。元々残虐なんていうことはなく礼儀正しくて奥ゆかしい方よ』


 侍女のマリサはジェンセンの行動にすっかり感心しきりだ。確かに彼の追い払い方はとてもスマートだった。

 ただ、私としては彼があの場にいたのは偶然だと思っている。偶然通りかかって助けてくれたのだ。

彼はポケットにパンくずを入れていたのだ。鳥に餌をやりにきたら私がいて、さらに兄が婚約者ではない令嬢と逢引きしていたというところだろう。パンくずをあげる様子は慣れていたし、指笛で鳥が来るなら何度もそれで呼んでいたはずである。

 気味が悪いと言われており仏頂面しか浮かべていない彼が、こっそりパンを鳥にやっているのがなんだか可愛く思えてしまった。


 あまり交流のない先ほどのジェンセンの姿を思い浮かべる。私は今、彼と同じ状況なのか。

 ジェンセンは何も悪いことはしていない。

 犬に噛まれたことで死んでしまう人だっているのだ。彼が野犬を斬り殺さなければ誰かが噛まれて死んでいたかもしれない。女性に噛み跡なんて残ったら結婚に相当差し障る。それなのに称賛もされずに気味悪がられている。救われた王妃は彼を見捨てていないが、オズモンド公爵令嬢である私とアレクシスが婚約しているのでジェンセンの方が国王にふさわしいと後ろにつこうとする人は少ない。


 ジェンセンも混乱が起きないように配慮しているようで、引きこもるか剣術の鍛錬をするかくらいで貴族たちと接触や交流はしていない。自分は王位争いをしないと表明しているようなものだった。



 図書館に到着して目当ての本を見つけ、奥まったイスに座ってしばらく読んだ。声を失ってから読書の時間は増えている。会話も筆談でしないといけないので、どうしてもツーテンポほど話題から遅れてしまうのだ。相手に辛抱強く待ってもらうのもしのびなく、相手が気遣ってくれているのもよく分かるので筆談には疲れてしまっていた。


 マリサと一緒に本を戻しに行っていると、近くのテーブルを通りすぎた時にふと目に付くものがあった。テーブルに落書きがされている。

 これは消さなければと立ち止まると、落書きは文章だった。視線を彷徨わせると他のテーブルにも文章の長さの落書きがある。


「城で流行っているそうですよ。交換日記のような要領で、机にメッセージを書いておくと興味を持った誰かが返事をくれるんです。相手が誰かも性別も分からないので、スリリングなやり取りができる上にばったり会うと趣味の合う人や恋人を見つけられるかもしれないんです。少しロマンチックな遊びでしょう」


 なんだろうかとそれぞれの落書きを読んでいると、マリサが耳打ちしてきた。マリサは筆談をしなくても先回りして私にいろいろ教えてくれる。

 よくよく複数の落書きを読んでみると、日記のようにその日あったことが書いてある文章や物語の導入が書いてあるもの、恋文のようなものまである。


「あまりに分量が増えたら司書に消されてしまうんです。机も汚くなりますしね。だから、一往復したら前のメッセージは消すそうです。図書館の机が秋ごろにすべて入れ替わるからこそ流行っている遊びです」


 濃い色の机に黒い文字が書いてあるので見えづらくいい遊びになっているようだ。司書もある程度は目こぼししてくれているのだろう。

 一体これは何で書いているのかと思ったら、削った黒鉛に糸を巻いてある筆記具がいろいろなところに置いてある。

 声が出なくなってからは筆談ばかりだったせいか、私は何のためらいもなくその筆記具を手に取り一番入り口から離れた奥まった机にメッセージを書き始めた。

 いつもならこんな軽はずみなことは絶対にしない。でも、先ほどの光景がまだ頭にちらついている。


『努力は報われると信じていたのは愚かだった 女神のみが私を見てくれると思うのさえも傲慢であった』


 我が国は女神信仰だ。

 今の気持ちをさらりと聖典の一節になぞらえて書いてみると、先ほどの嫌な光景が鳥の羽ばたきでかき消される気がした。女性は愚痴を言ってストレスを発散するのだと言う人もいる。どす黒い思いを黒鉛に載せて書いてみるのはなかなか良かった。


 私がなぞらえたのは人気がある場面ではないので、よほど聖典を読んでいる人でない限りこの部分は知らないだろう。湖の上を女神が歩いて現れ本当に女神を信じた人たちのみが同じことをできた話や、女神を裏切った神官の話の方が圧倒的に分かりやすい。


「お嬢様……」


 マリサが文章を読んでしまったようで苦し気に私を呼ぶが、気にしないでとばかりに首を振って図書館を後にする。


 両親に婚約解消を筆談で願い出たが、オズモンド公爵家からは解消できないと言われてしまった。声は戻ってくる、必ずまた話ができるようになると両親は簡単に言うが以前のように戻れるのはいつだろうか。何年後? 何十年後だったら? 原因も不明、治療法もない。喉元に手をあてて以前のように声を出そうとしてみた。ひゅうひゅうとした音しか聞こえなかった。


 最初は私だって治ると希望を持っていた。

 でも、何の結果も出ずに時間が過ぎるにつれて希望は消えて焦燥に変わる。


 声が出なくなったのは、私がいけないのだろうか。王太子の婚約者となって無意識に傲慢になっていただろうか。勉強も何もかも手を抜いたつもりはないのに、それさえも私の気のせいだろうか。

 声が出なくなって二カ月を過ぎたあたりから、さすがに希望を持ち続けることはできずに私は自分を責め始めた。

 そして、今日の庭園で見てしまったあの光景である。


『なんと人間は愚かなのか 女神はいつでも人間を見ている 心弱きものよ、お前の名は?』


 三日ぶりに城の図書館に行き、誰も私の落書きなど気にも留めないだろうと思っていたら下にそんなメッセージが書き込まれていた。

 意外にもしっかりと聖典のエピソードに沿った返事で、返信者は適当に書いたわけではないことが読み取れる。よほど勉強している人だろう。


 人生に失敗した女が女神を呪うシーンの一節を真似て私は書いたのだ。聖典の中にはもっと人気のあるシーンがたくさんあり、それらは劇になったり絵本の元になったりするので有名なのだが、私の参考にしたシーンは全く人気がないため知られていない。


 返事にあったのは、哀れで愚かな女に女神の言葉が聞こえる神官がかけた言葉のうちの一つ。

 私は以前の自分の落書きを消してから、また誰とも知らない相手に書き込んだ。


『大切なものを失った哀れな人間でございます。名乗るほどの名もございません』

『女神はいつでも人間と共にある』


 そんなやり取りを三日おきに、城に私が行くタイミングで書いてそして読んだ。

 この遊びが流行するのも分かる気がした。相手が誰かも分からないのに、なぜか返事が待ち遠しいのだ。返事を書いてくれるこの人は、私のことを声を失った出来損ないの婚約者とは見ていないから。


 返ってくるメッセージは楽しかったが、王太子が他の令嬢と懇意にしているというウワサがどんどん流れ始めた。恐らく、親密にしていた令嬢の家がチャンスをものにしようと流したのだろう。つまり、アレクシス王太子の心は完全に私から離れたのだ。


「あなたの声は必ず戻ります。焦らないように」


 婚約解消を願い始めているのに王妃にそう言われてしまっては反対などできない。声を失った私をずっと王太子の婚約者に据えておく意味などないのに。


 もしかすると、王妃自身が奇病にかかったと言われていた時期があるから慰めてくれているのだろうか。あの時は王妃を筆頭に高位貴族の夫人や王妃の侍女たちに突発性の難聴が流行ったのだったか。片耳だけだったり、両耳が聞こえなかったりと症状は個人差があったが王妃のお茶会に参加しており王妃の近くにいた人々にそれが起きたのだ。確か、私の母にも起きたのだった。

 奇病が流行ったと一時言われたが、二週間ほどで収束し何だったのか結局分からないままなのだという。私が生まれる前の話だ。


 私の場合は奇病といえども発症しているのは私一人で、二週間どころか三カ月経っても回復しない。

 あの日は王妃が庭園に入る許可をくれたのだ。てっきり、王妃も自然な婚約解消を促すつもりで王太子と侯爵令嬢がいるのに私を庭園へと促したのかと思っていたのに。どうして婚約者の資格がないと王家から婚約解消をしてくれないのだろうか。宙につるされたような状況が辛い。だって、他に浮ついた王太子は悪く言われずどんどん私が悪く言われるのだから。


 治ると言いながら、私のことなんてどうでもいいのだろう。複数の家の中から王太子の婚約者に選ばれても六年努力しても、私は結局ただの替えがきく駒だったのだ。


 王太子が他の令嬢と親密になっているのに婚約は続いているので、私は教育のために登城しなければいけない。

 あの令嬢は最終候補にまで残っており、オズモンド公爵家に劣らないほど力を持つ家の娘だ。さっさと新しい婚約者にしてしまえばいいのに。

 城に行っても、何か言いたげな視線を貴族や使用人たちから向けられることも増えた。両親や兄やマリサが私の耳に入らないようにしているが、恐らく私が公爵家の力を使って婚約者の地位にしがみついているとでもウワサが流れているのだろう。


 私をさっさと切り捨ててから、次にいってくれればいいのに。

 どうしていざという時の保険のように私をキープしながら他にいくのだろうか。


 アレクシス王太子のことは好きだ。好きだと思っていた。

 公爵令嬢ならば異性との交遊関係は厳しく制限される。そんな中でずっとアレクシス王太子と過ごしてきたのだ。相性は悪くなかったし好きというか情があるのは当たり前である。

 私は王家と彼に選ばれたのだと思って頑張ってきた。全くそんなことはなかった。私はその辺の雑草よりも簡単に抜いて捨てられる存在だった。努力して賢くなれば、そんなことにはならないと思っていたのに。


『罪深い哀れな私は女神を感じることができません。アマリリスの花を捧げて祈れば感じるのでしょうか』


 机に書いたのは、懺悔のようなメッセージだった。

 もう私はいつ婚約解消されてもおかしくない状態だ。城で刺さる視線がそれを物語っている。

 返信を見ることはできないかもしれない。ただの遊びで始めただけなのに悲しさを覚えながらも図書館を後にした。机で交換日記をしているかのようだった。それに、辛い・悲しいという感情を文字として表現したのはあの机が初めてだった。


 女神なんていないのだ。少なくとも私の側には。

 これまでしてきた努力はすべて意味がなかった。だって、声を失っただけで私は捨てられそうなのだから。

 勉強ではできないところは努力しなさいと言われるのに、誰も努力が報われないかもしれないなんて教えてくれなかった。



 その日は登城する予定でもないのに王妃に呼ばれてしまった。

 ある程度内容は予想がついていたがその通りだった。予想外なのは王妃の対応だ。


「アレクシスがあなたとの婚約を解消したいと言ってきたわ。奇病にかかって治る見込みもないのに王太子妃、将来の王妃の重責をあなたに背負わせるにはいかないとね」


 声の出ない女など邪魔だというのを丁寧にくるむと、そういう言葉になるらしい。邪魔だと暗に言っているくせに私を思いやったような内容にしてあるのがとても惨めだ。


『ふがいない結果になってしまい申し訳ございません』

「あなたは婚約解消していいのかしら」


 良いも悪いもない。王家が解消と言えば婚約は解消だ。私は声が出ないため、さらさらと筆談のために持ち歩いているノートに返事を書く。


『陛下のお決めになったことに従うまでです』

「あなたが選んでいいのよ」


 王妃はおかしなことを言う。たかが公爵令嬢の私に、王家の決定を覆すような権限があるわけはない。この期に及んで何か試されているのだろうか。


「選ばれないのなら選べばいいのよ」


 王妃は頭がおかしくなったのかと思った。

 選ばれないなら静かに消えてゆくだけではないか。それとも聖典の「求めよ、さらば与えられん」という意味だろうか。

 選んでいいとしても選ぶ気力なんてない。私はもう疲れていたし、解放されたかった。


『陛下のお決めになったことに従います』


 再び私は書いた。王妃は私が書いた文字をしばらく悲しそうに眺めていた。



 婚約がめでたく解消になるなら城の図書館に来ることはなくなるだろう。最後だと思って私は図書館に向かった。


 いつもメッセージを書き込む机の前に男性が立っていた。私のメッセージを読んでいるのか何かなぞるような動作が見え、彼の耳に付けている小ぶりなイヤリングが光を受けて輝いた。

 呼びかけようとして声が出ないことを思い出してやめる。彼に気付いてもらうためにわざと大きな足音を立てた。


 パッと彼が振り返った。


「あ……」


 彼は悪戯が見つかってしまった子供のように声を漏らした。私は礼をしてノートに文字を書く。


『もしかして、あなたがメッセージを?』


 彼だったとは意外だと思いながらも、机のメッセージを示す。しかし、彼ならば聖典を読み込んでいても不思議はない。正直、聖典をあそこまで読み込む必要は基本的にないのだ。私の場合は城の教育担当が聖典の研究をしており、不必要なほど詳しく教えてくれたから知っているだけだ。


「はは、見つかってしまいましたか。ということは、こちらの悲しい文章はサフィラ嬢がお書きに?」


 ライトグレーの目を彼は悲し気に細める。

 王妹が降嫁しているため、彼も現国王によく似た黒髪を持っていた。

 エミール・ハンフリー。

 宰相の息子で、公爵家の令息、アレクシス王太子の側近の一人。茶会の日に庭で待っていると、彼が申し訳なさそうにキャンセルの連絡を伝えてくることもあった。


 私が頷くと、エミールは「この度は……」とまた悲し気に目を伏せる。王太子の側近である彼ならば王太子が他の令嬢と親密になっていることも婚約解消の話も知っているはずだ。


 私は緩く首を振るとノートに『仕方のないことです。いまだに治らないのですから今の私に王太子の婚約者は務まりません』と書く。


「やはり、まだ声が出ないのですか?」


 こういう問いには頷きで返せるから筆談の必要がなく楽だ。きっと私は今、諦めたような笑みを浮かべていることだろう。


 エミールは少しの間何か考えていたようだったが、突然私の前に跪いて私の手を取った。驚いて侍女のマリサを探すが、今日はいろいろ考えたいから少しの間一人にしてと頼んでしまったのでこの図書館のどこにいるか分からない。でも、マリサなら近くにいてくれるはずなのに。


「サフィラ嬢、私と婚約していただけませんか。悲しむあなたをずっとお支えしたいと思っていましたが立場上どうすることもできなかった私をお許しください」


 エミールが突如おかしなことを言い出した。

 困惑しているとさらに手を強く握られる。こういう時に声を上げられないのは不便だ。マリサを探すがどこにも見えない。


 そもそも、エミール・ハンフリーには婚約者がいるのだ。解消したなんて話は入ってきていないからこんな不誠実なことは許されない。


「実は、私の婚約者には思い人がいるのです。現在の婚約はすぐに解消しますから問題ありませんよ」


 どこが問題ないのか。いくら人目がないとはいえ図書館で、まだ王太子の婚約者の私に言い寄るなんて。側近まで王太子に似たのだろうか。

 そこまで考えてやっとおかしさに気付いた。今日ほどこの図書館に人気がないのはおかしい。時間帯もあるとはいえ、十人程度は必ずいるはずなのに。


 異変に気付いていると気取られないように、私は戸惑ったように微笑んで机のメッセージを指差した。


「どうしたのですか?」


 片手を掴まれているので筆談を開始できない。私は微笑んだままメッセージを指差し続けた。

 誰かがこの図書館周辺に人が入らないようにしている可能性がある。目の前のエミール・ハンフリーのせいかもしれないし、あるいはここまで婚約を解消しなかったアレクシス王太子かもしれない。もしかしたら王太子はオズモンド公爵家の後ろ盾をも得ようとしている可能性がある。それなら、自分の側近を私と結婚させるのが一番手っ取り早い。


「もしかしてメッセージの返事が欲しいのですか?」


 エミールは私の言いたいことに気付いたようだ。私はなるべく悲しそうに見えるように頷く。エミールの手を握る力が弱まったので、筆談ノートに近付いた。


『心が疲れてしまった時にこのメッセージに癒されたのです。今日は最後になるかもしれないと来ましたので、エミール様の返信を見ておきたいのです』


 マリサはどこへ行ったのだろう。外に追い出されたのだろうか。

 時間を稼ごうと私は悪あがきの様にそうノートに書いた。状況を見るに、私を無理矢理婚約者にしようという感じもない。


「わかりました。サフィラ嬢がそうおっしゃるのなら」


 エミールは柔らかな笑みを浮かべて、筆記具を手に取った。

 人払いされているというのも、王太子の陰謀かもしれないというのもただの私の考えすぎなのかもしれない。声が出なくなってからどんどん悪い方向に物事を考えるようになってしまったから。


 たまたま今日は人気のない図書館で、偶然エミールと私がかち合い、エミールは本当に私のことが好きなのかもしれない。婚約解消が出ている私のことを聞いて求婚してくれただけなのかもしれない。どのみち、王太子と婚約解消したら私の次の嫁ぎ先はいくつ候補があるだろうか。そこまで考えてエミールは言ってくれたのなら、彼に失礼かもしれなかった。


『アイリスの花を捧げれば女神は答えてくれるでしょう』


 エミールがさらりと書いた返信はこうだった。

 私はどこかで安堵している自分に気付いた。


 マリサと大声で叫びたいが、声が出ない。私は踵を返してなるべく早く走った。

 しかし、すぐにエミールに腕を取られて書架に押し付けられた。


「気付いたんですか」


 私は怯えた表情で首をわざと傾げる。驚いて走り出しそうになっただけと言い訳でもするように。


 そう、私はいい加減気付いた。私のメッセージに返信していたのはエミールではない。これまでと筆跡も違ったし、何より彼は聖典を読み込んでいない。

 確かに、女神が最も好む花はアイリスだ。哀れな女は花の名前を間違えて祈ったのだ。しかし、女神は哀れな女に情けをかけてアマリリスの花を受け取り、そして気に入るのだ。だから、アイリスの花を捧げよなんてそのエピソードを読んでいれば出てくるはずがない。この聖典のエピソードは女神の慈悲と人間への寄り添いを顕著に表現しているのだから。


 エミールの腕を払おうとするが、彼の力は強かった。

 一体、彼の目的は何なのだろう。敢えてメッセージの相手だと偽ってまで私に求婚してきたのは。


「あのバカな王太子は気付いていませんが、あなたでしょう。『王を選ぶ女』は」


 王を選ぶ女。それは聖典に出てくるエピソードの一つ。

 女神が一人の女性を選び、その女性に選ばれた者が王になるというものだ。


 私は首を横に振る。あのエピソードはおとぎ話のようなものだろう。だって、私の元にはあのように女神が現れることなどなかったから。それに、あのエピソードでは声が出なくなるなんてことはなかった。


 首を振る私を見てエミールは笑う。


「私を選んでいただけませんか? そうしたら私が次期国王になる」


 意味が分からない。彼はおかしいのではないか。

 私はそんな御大層な存在ではない。違う、断じて違う。女神に選ばれるような女性は他にいる。


「あぁ、ご存じないんですか? 現王妃も『王を選ぶ女』だったのですよ。あの奇病があったから今回はあなただと私は察しているんですよ」


 王妃が難聴になった件だろうか。王妃はあの時すでに結婚していたのだから選ぶも何もないだろう。国王だってすでに国王の地位についていた。


「あまり手荒な真似はしたくなかったんですが。まぁ、あなたを手に入れたら分かるでしょう。選んでもらえないなら選ばれるようにすればいい」


 私が首を横に振り続けていると、エミールは私を書架に片手で押し付けるとドレスをたくし上げ始めた。

 あまりのことに驚くが、私の喉からはひゅうひゅうとした声しか出ない。暴れるが、エミールの体は細身に見えてびくともしない。


 何が王を選ぶ女だ。

 おとぎ話のようなことに左右されて。

 私は声を失ってこれまでの努力も虚しく王太子に見捨てられて、聖典の「王を選ぶ女」をバカみたいに信じている男と結婚しなければいけない状況に追い込まれるなんて。


 王妃は確かに私との婚約解消を渋っていた。真っ先に私を切り捨てそうな王妃が、である。もし私が本当に「王を選ぶ女」だったとしてもエミールは選ばない。他人が書いたメッセージを自分のものにして、婚約者がいるのに私に求婚してくる男なんて願い下げだ。


 怖くて悔しくて涙が出てくる。

 私はひとまず、頭上でひとまとめにされた手で本棚の本を引っ張った。何冊かの本が落ちてきて自分にも当たったが、エミールにも当たった。彼の隙をついてまた走って逃げだす。声が出せないので声で助けを呼ぶことはできない。

 貴重な本にはとても申し訳ないが、私は一番小さく本が少ない書架を引っ張って倒した。このくらいでないと私の力で倒せないからだ。


 大きな音を立てて書架が倒れる。私は一冊の本を持ってまた走った。図書館外であれば誰か異変に気付いてくれるかもしれない。


 自分なりに頑張って走ったが、エミールにすぐ追いつかれて髪の毛を引っ張られた。痛いが私の喉からはそれでも声は出ない。


「嫌がる相手に無理やりやって燃える趣味はないんですがね」


 本でエミールを殴ろうとしたが、あえなく止められて冷たい床に押し倒された。


「私を婚約者にするとあなたが決めれば、声も戻るはずなんですけどね。あぁ、私の母に聞いたから間違いないでしょう。王妃の時は聴力が奪われたようですが、あなたは声なのですね」


 エミールの母は王妹だった。すでに病で亡くなっているが、何か王家に伝わる秘密でもあるのだろうか。


「それで? 私もさすがに嫌がる相手にどうこうするのも疲れるので。あぁ、この辺りは人払いがしてあるので先ほどのようなことをしても無駄ですよ。あなたの侍女も私の侍従が外に連れ出したはずですから」


 床に押し倒されたまま、彼の言葉に震える。

 誰も助けにきてくれないというこの状況に。ぽろっと涙がこぼれた。


「泣かなくてもあなたがおかしなことをしなければ私も手荒な真似はしませんよ」


 私は見捨てられる上に、誰にも助けてもらえない。選ばれない。

 王太子の婚約者に選ばれたと思っていたけれど、私は選ばれてなどいなかった。


 こんなに怖いのに悲鳴さえ上げられない。

 選ばれないのなら、選べばいいと王妃は言った。王妃は国王を選んだのだろうか。


 私だって選びたい。こんな状況で選択を強要されるのではなくて自分の意思で。

 私は何かを喋ろうとするように口をパクパクと動かした。


「選ぶ気になりましたか?」


 声を失っている私がどうやって選んだことを伝えるのか。何となくこうすれば彼は油断するだろうと思ったのだ。

 相変わらず私の声はひゅうひゅうとした音しか出ないので、エミールは私の口元まで耳を近付けた。私だってどうやって選ぶか分かっていないのだが、彼も分かっていないようだ。


 彼の耳が近付いて来たところで勇気を振り絞り、彼のつけているイヤリングに噛みついて引きちぎった。


 耳たぶから血が出る。痛みに呻く彼の下から這い出て逃げようとしたが、すぐにまた髪を掴まれた。


「舐めた真似しやがって!」


 結局、これがエミールの本性なのではないか。

 私はこんな状況でも絶対彼だけは選ばない。そう選んだ。


 急に髪を掴まれていた力が弱まった。

 頭を振って彼の手を振りほどくと、目に入ってきたのは白い鳥だ。白い鳥が複数エミールに襲い掛かっている。


「なんで鳥がっ!」


 意味が分からないがこれはチャンスだとなるべくエミールから離れようとする。

 恐怖で腰が抜けてしまったらしく立ち上がれないので、いくら無様でも這って逃げる。そんな私の行く手に誰かが立った。


 震えながら見上げた先にはなぜか図書館の中なのに鳥が飛んでいて、第二王子ジェンセンが驚いた表情で立っていた。


「た、たすけて」


 彼の足に縋って漏れた久しぶりに聞く自分の声はかすれてか細かった。



 無事に助け出された私は家に帰してもらえずに、ジェンセンの上着をかけられたまま国王と王妃に謁見させられた。


 エミールの言ったことは残念ながら本当だったらしい。

 王妃も私も「王を選ぶ女」だった。

 王妃は結婚していたが、それは関係なかったようだ。王妃の聴力がなくなったと知った国王は王妃の腹心の侍女たちと王妃を支持する高位貴族の夫人たちに話を通し、王妃だけが奇病にかかったと思われないように彼女たちにも難聴になったフリを頼んだのだ。


「すべてが終わってから、大変美しい女性が夢に現れました。そして私は自分があの聖典のように『王を選ぶ女』の役割を課せられていたと知ったのです。女神は最近治世が乱れていることを心配して試練を課したと言っていました。しかし、まさか次代にも試練をすぐに課すだなんて」


 「王を選ぶ女」を一人設定する。その女性が奇病にかかった時にどう対応するのかで女神は試練としたらしい。

 国王は王妃を守るためにすぐに行動したため、特に問題はなかった。女神はこのことの他言を禁じていた。試練の意味がなくなるからだ。


「ハンフリー公爵家に降嫁した妹が息子であるエミールに喋ってしまったのだ。それで王位継承権を持つエミールは欲をかいたのだ」


 女神との約束を破った元王妹、ハンフリー公爵夫人は病で亡くなっている。エミールは他言したわけではなく、幼い頃に母親から聞かされてしまったということでその時は恐らく女神の罰を受けなかったのだそうだ。

 しかし今回は違う。何らかの罰が下ったようだ。聞いても教えてもらえなかった。


「あなたは声を取り戻した。ということはジェンセンを選んだのね?」


 王妃にそう聞かれて私は答えに詰まった。

 エミールを絶対に選ばないと決めただけだ。ジェンセンは王位争いに参加しないようにひっそり生きてきた人だ。そんな人をよく分からない役割の女が選んだからと、表舞台に引っ張り上げていいのだろうか。


「母上。よく分からない女神の役割の話など今はどうでもいいではないですか。恐ろしい目に遭ったサフィラ嬢を休ませるのが先でしょう。真相を伝えた後でよってたかって選択を迫らずとも」

「まぁ、ジェンセン。あれほど聖典を読み込んでいるあなたが女神の役割の話などどうでもいい、だなんて」


 王妃とジェンセンの会話で私はふと顔を上げる。

 あのメッセージはエミールの字ではなかった。では、あれを書いたのは誰か。


 城の教育担当は聖典にとても詳しかった。

 彼は「アレクシス王太子殿下には私の授業は好まれていなくて。第二王子殿下とオズモンド嬢がしっかり聞いてくれるのでとても嬉しく思います」と言っていなかったか。ジェンセンだって同じ授業を受けている。ということは。


「あの……もし、あのメッセージに返事をするとしたらどう書かれますか?」


 本当に私の声は戻ったらしい。弱弱しいが自分の口から声が出ていることで私は涙ぐんでしまった。奇病ではなかった、ちゃんと治った。


 ジェンセンは私をしっかり見て、その後すぐに目を逸らした。


「アマリリスは女神のお心に適うものでしょう」


 あぁ、彼だった。ジェンセンだったのだ、私のメッセージに返事をくれたのは。

 聖典を読み込んでいない人はエミールのように「アイリスにしなさい」と言うだろう。しかし、読み込んでいる人は「アマリリスでいい」と言うはずなのだ。


 私が泣き出してしまうと、彼はオロオロしてハンカチを取り出そうとして上着に入っていたと気付き、しかも彼の上着は私の肩にかかっていた。


「あー……上着のポケットにハンカチが入っている」


 泣きながら頷いて彼のポケットを漁ると、すぐに出てきたのはパンを千切ったものだった。鳥にあげるものだろう。ポケットから出して眺めて吹き出してしまう。


「こ、こっちのポケットだ」


 ジェンセンは顔を赤くしながら反対側のポケットからハンカチを出してくれた。

 あの返信に私がどれだけ救われたか。どれだけ楽しみだったか。あれがなければ登城するのさえ嫌だっただろう。


「あなたがあの返信を書いてくれて……良かったです」


 私は彼の手を握った。彼は振り払うことはなかった。しばらくあちこち視線を彷徨わせてからジェンセンは言った。


「次からは君のことを悪く言わせない」




 アレクシスとの婚約は解消され、さらにジェンセンが王太子となり彼との婚約が調った頃。夢に美しい女性が現れた。


「そなたは聖典を読み込んでいたので、私のことがとても好きなのでしょう? だからあなたを『王を選ぶ女』にしました」


 教会にある像そっくりな美しい女性は女神だった。


「まさか私が選んだあなたを貶める者があれほど多いとは驚きましたね。でも、大丈夫。今回の件については周知させなさい。奇病の様に同じ手は使いませんから、緊張感を持つのにちょうどいいでしょう」


 夢の中で女神は歌うように喋っていた。

 私は夢の中でただただ声を失った時の様に大きく頷き、そして女神に祈りを捧げた。


***


 サフィラの夢に顕現した後で女神は白い鳥と戯れながら独り言を零した。


「アレクシスの声を奪ったことについては『王を選ぶ女』に言っておいた方が良かったかしら? あの浮気相手の令嬢と結婚するのだし、どうせ後々分かるからいいでしょう。声の出ない彼女にあのように接したのだから、自分に返ってくるのは当たり前のこと。そして、エミール。彼の母親は賢明な国王である兄と違って私との約束を違える愚者だったけれど、エミールを幼いからと見逃したのは良くなかったようですね。まぁ、私の白い鳥がつついて彼の両目を潰してしまったのでそれを罰としましょう。人間側があとは処罰するでしょうからね。というか、お前たち。ジェンセンにパンを貰っているからと首を突っ込みすぎでしょう」


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