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ドンゾコナビ ~滅びの世界で少女導く~  作者: 内村一樹
2章:埋め尽くす者

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第48話 白いつぼみ

 ライラをセイリュウの影響から解放するには、まず生命の種を見つけなきゃならない。彼女の体のどこかに埋め込まれているはずだ。


 探し物といえば、俺の出番だぜ。

 そう息巻いた俺とダグの2人は、エオウィンと別れたその足で崩れた魔導遺跡の元に向かったんだ。

 イザベラは洞窟に戻り、武器や防具の準備中だ。ソヴリン討伐には数が要るからな。


 森を抜けると、昨日よりも膨れ上がった巨大な白いつぼみが目に入った。


「なんか、大きくなってない?」

『やっぱりそうだよな。見間違えじゃなさそうだぜ。もしかして、成長してるのか?』


 つぼみを囲う無数のツタは、蠢きながらも沈黙している。近づけばすぐに絡め取られるだろう。目を凝らしても、外からは種らしきものは見えない。


 予想はついてたけど、やっぱりそうだよな。

 そう思いながら、俺は大きなつぼみの中を見通す瞳(フォーキャスト)で確認することにした。


『おいおい、こりゃどういう状況だ?』

「種が……沢山あるね」


 つぼみの中は、びっしりと生命の種で埋め尽くされていた。てっきり一つだけだと思っていたが、数える気も失せるほどだ。


『ライラが生んだ……? いや、違うな』


 すぐに気づく。彼女も俺たちと同じ。誰かから奪ったのだ。エオウィンから、そして慕っていた獣たちから。


『ライラは種を集めてる。だからあんなにあるんだ』

「……どうして?」

『分からねぇ。でも目的があるはずだ』


 推測を並べても答えは出ない。ライラ本人か、調和の謎を解けば近づけるか……。そう考えていた矢先、視界が翻った。


『おわっ!? どうしたダグ!?』

「ルース! 空を見て!!」

『空!?』


 見上げると、そこには変わり果てたクゥの姿。翼は触手のように変貌し、俺たちを真っ直ぐ睨みつけ旋回している。


『俺たちを獲物と思ってるみたいだな』

「逃げよう!」

『あぁ。それがよさそうだぜ!』


 この場で戦えばライラに気づかれる。最悪の展開だけは避けたい。だが、逃走を始めた途端、空から雨が落ちてきた。


『タイミング最悪だな!』

「足元、滑るよ!」


 木々を縫って走るダグ。頭上ではクゥが執拗に追尾してくる。洞窟に戻ればイザベラを危険に巻き込む。仕方ねぇ、どこかで食い止めるしかない。


『ダグ! ここらで一旦、クゥを止めるぞ!』

「分かった!」


 急停止したダグが振り返り、氷柱を呼び出す。


氷柱突アイシクル・スラスト!』

「ありがと! くらえ!!」


 氷の槍を投げ放つが、クゥは軽々とかわす。こちらに突っ込んでこない。嫌な予感が走った。


「クエェェェェェェェ!! クエェクェェクェェ!!」

「なに!?」

『そういうことかよ! ダグ! 気をつけろ! シャーとブゥが来やがった!』


 森を裂いて現れたのは二つの影。全身を棘で覆ったブゥと、八本の刃尾を持つシャー。巨体が木々をなぎ倒し、突進してくる。


 飛び退いてかわした直後、鋭い尾の雨が降り注いだ。籠手で受け止めきれず、ダグの足に傷が走る。


「いっ……!」

『リカバリー!! 耐えろ、洞窟に行かせちゃだめだからな!』


 治癒の光が傷をふさぐが、隙を突くようにクゥが急降下。触手がダグの体を絡め取り、宙へと持ち上げていく。


「わっ! いつの間に!? クゥ!! やめてよ!!」

『クソ!! ダグ! この触手、振りほどけないのか!?』

「やってる! けど、取れないよ!!」


 俺達がもがいてる間に、クゥが空へと飛びあがり始めやがった。

 やばいぞ!

 このまま空高く持ち上げられて落とされたら、何もできずに地面と衝突しちまうぜ!


「クッ! クゥ!! オイラだよ! ダグだよ! 忘れたの!?」

『通じてないみたいだな! クソッ! どうすればいい? 何か、使えるものはないか!?』


 ダグとの体の共有を解除して、俺がナイフでクゥの触手を切るか?

 だけど、触手は1本じゃねぇし。

 そもそも、解除したタイミングで上手くダグの身体の上に乗れるか分かんねぇ。


 そのまま宙に放り出されたらおしまいだからな!


 氷柱を出しても、ダグは受け取れそうにないし。

 氷壁も出せねぇ。

 武器や防具を出しても意味ねぇし。


 マズイぞ。

 これはマジで、打つ手がねぇ!!


「ルース!!」


 俺が完全に諦めかけたその時。

 ダグが叫んだんだ。


「ルース! 種だよ!! クゥの種!!」

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