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ドンゾコナビ ~滅びの世界で少女導く~  作者: 内村一樹
2章:埋め尽くす者

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第33話 冗談じゃなく、マジで

 ずいぶん横柄な奴が出てきやがったな。

 何様のつもりだコイツ。


 ダグとどんな関係かは知らねぇが、見てるだけでムカつくぜ。

 それにしても……当のダグが怯えて震えてるのが気に食わねぇ。

 コイツ、いったい何をしたんだ。


 あまりの苛立ちに、こいつの異形な見た目すら忘れそうになる。

 ……まぁ、さすがに忘れはしねぇけどな。


 態度から察するに、もとは人間だったんだろう。

 だがどうやったら、こんな巨木の化け物に成り果てるんだ?

 聞いてみたい気もするが、今はそんな気分じゃねぇ。


「おいダグ。分かったんならいますぐその鳥を渡せ。そこの女もだ。もしかしてテメェの仲間か? なら遠慮はしねぇ―――」

「「堅氷壁ソリッド・アイス・ウォール!!」」

「なっ!?」


 おっと、やっちまった!

 ムカつくあまり、俺とイザベラが同時に撃ち込んじまった。

 化け物が派手にひっくり返る。


 へへっ。

 まぁ、良いか。

 どうせなら、スザクに焼いてもらいたかったけどな。

 さすがにそれは、やりすぎってもんだろ?


「この女ァァ! 何しやがる!」

「ダグ、ルース! 今すぐ離れるよ!」

「そうだな、こんな奴と関わってると気分が悪くなる」

「ぁ……えっと」

「どうしたダグ。まさか、あの野郎についてくつもりか?」

「そ、それは……でもオイラ……」

「無視してんじゃねぇ!! 串刺しにしてやるからな!!」


 倒れていた化け物が、ツタを操って体勢を立て直す。

 串刺し、だと? 冗談じゃねぇ。


「ダグ、時間はねぇ。戦うか退くか、二択だ」

「そうね。本当はぶちのめしたいけど……あなたがその状態じゃ、退くべきだと思う」

「オイラが……?」


 きょとんとした顔で、自分の手を見下ろすダグ。

 小さな手が震えている。


 そんなダグに、イザベラが手を差し伸べた。


「ほら、行こう」

「……いいの?」

「当たり前でしょ。だって私達――」

「チームだからな。忘れんなよ。俺達はソヴリンを倒したんだぜ?」

「ちょっと! 私のセリフ取らないで!」

「少しくらいいいだろ!」

「少しじゃない、あんたの方が長い!」

「へへへっ」

「なに笑ってやがる! まさか俺様に逆らうつもりか!」

「俺様俺様ってうるさいのよ! どうせ誰からも敬われないから、自分で様付けしてるんでしょ!」


 おいイザベラ、あんまり図星を突いてやるなよ!

 顔が一気に引きつってるじゃねぇか!


「……良いだろう。俺様をコケにしたことを後悔させてやる」


 化け物は地面に根を突き刺し、何かを仕掛け始めた。


「あいつ、何か仕掛けてくるぞ!」

「ダグ、戦うよ!」

「っ! うんっ!」


 俺は見通す瞳(フォーキャスト)を展開し、周囲を警戒する。

 根を突き刺すってことは、足元からの攻撃だな――と思ったら半分正解だった。


「めちゃくちゃな力だ……イザベラ、足元に氷壁! ダグは生えてくる草を斬れ!」


 指示と同時にツタが飛び出し、俺たちを取り囲む。

 しかも一部は花や実に変化していく。人の口みたいな花、異臭を放つ花、膨張するトゲの実……どれも気色悪い。


 こんなの、普通の植物じゃねぇ。

 ソヴリンのせいだと思ってたが……違うのか?


「くそっ! 臭ぇっ!」

「ケホッケホッ! あのトゲの実、ゲホッ……破裂しそうよ!」

「オイラが切ってくる!」

「待てダグッ!! 氷から降りるなっ!」


 俺の声も虚しく、実が破裂!

 衝撃で氷にヒビが走り、さらに化け物の枝葉がぶち当たってきた。


「クソッ! 割れるぞ!!」

「おわぁっ!?」

「ダグッ! こっちに!!」


 イザベラがダグを抱き寄せた瞬間、氷壁は崩れ落ちる。

 見上げれば、化け物が俺たちを睨んでいる。


 ―――欠乏と結合(ユニオン・ラック)で援護するか!?

 だがダグは震えて動けねぇ。チームとして機能しないと力も出せない、か。


 そんな時、俺たちを強烈な浮遊感が包んだ。


「なにっ!?」

「うわぁ!?」


 ダグとイザベラを掴んで飛び上がる薄緑色の鳥。

 おかげで間一髪、ツタを避けられた。だが重さに耐えきれず高度は下がっていく。


 反撃するか……と思った矢先、鳥が鳴き声を上げた。


「クエェェェェッケッケッケッケッケッ!!」


 変な鳴き声だと思ったが、断末魔じゃなかった。

 その証拠に、空から巨大な影が舞い降りてくる。


 緑の翼を持つ親鳥だ。


「チッ!! 忌々(いまいま)しい奴が来やがって!」


 どうやら巨木の化け物はコイツの正体を知ってるらしい。


 一方、地上でも異変が起きていた。


 迫ってきたツタが次々と切り裂かれていく。

 目を凝らすと――鋭い尻尾を持つ四足獣。猫に似てるが、遥かに鋭い。


 その華麗な動きに見惚れた俺は、不意に風にあおられ落下してしまった!


 ヤベッ!!

 イザベラもダグも気付いてねぇ!

 しかも親鳥の風で加速してる!


 これは痛いぞ!!

 絶対に痛いぞ!!

 場合によっちゃ死んじまう!!


 冗談じゃなく、マジでっ!!


 助けてくれ! そう叫ぼうと口を開いた時――


 落下する地面に、小さな扉が突如として現れたのを俺は見たんだ。

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