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ドンゾコナビ ~滅びの世界で少女導く~  作者: 内村一樹
1章:焼き殺す者

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第23話 スザクの羽

 強敵を倒すには、作戦と情報が不可欠。

 だから、俺たちは火炎の塔にやってきた。


「って、おい!? こんな簡単に来ても良い場所なのかよ!?」

「来るだけならね。くれぐれも騒ぎは起こさないように」

「大暴れしちゃダメなのか?」

「当たり前だろ! ここはあのソヴリンの棲家なんだぞ、ダグ」

「随分とビビってるわね。いつもの余裕はどこに行ったのよ?」


 くっ、イザベラめ、ここぞとばかりに煽ってきやがる。

 でも今回は余裕ぶれねぇ。ソヴリンの棲家だ、気を抜くわけにはいかねぇ。


「大丈夫。私と父さんは何度も調査に来たし、父さんだけなら中に何度も入ってたから」

「いや、それ言って説得力あるのか……?」

「調査に来るだけなら大丈夫。あの日は本気でソヴリンを倒すつもりだったからね」

「つまり、奴がいる日を狙って塔に来てたってことか!?」

「まぁ、そういうこと」


 マジですごい執念だな。

 ある意味尊敬するぜ。


「急に帰って来たりしねぇよな?」

「それはないと思う。私達の調べでは、ソヴリンは七日の周期でこの塔に戻ってくるから」

「七日? その間、何をしに行ってんだ?」

「さぁ。観察した限りでは、世界を焼いて回ってるみたいだったけど。さすがについて回ることはできなかったから、詳しくは分かんない」


 要するに、戻ってくるまであと五~六日ほど。そう聞くと少し安心できるな。


「よぉーし、イザベラとダグよ、さっそく火炎の塔の調査を開始するぞ!」

「初めからそう言ってるんだけどなぁ」

「調査だぁ~」


 ダグの肩に座らせてもらった俺は、見物する瞳(スペクテイター)で周囲を入念に確認することにした。


 目的はいくつかあるが、まずは絶炎の首飾りを見つけないことには話が始まらねぇ。


 幸い、この塔の中に魔物らしき姿はないみたいだ。

 まぁ、魔物とはいえソヴリンの棲家に近づくおろか者はそうそう居ないってことだな。


 それにしても、塔はデタラメな造りだ。巨大な岩を重ねただけで、形は歪。少なくとも人間の建物じゃねぇ。


「岩と岩が溶けて固まってる。ソヴリンの仕業か?」

「正解。熱線で岩を溶かしてくっつけてるらしい」

「マジかよ!?」

「ルース、ソヴリンのこと何も知らないの?」

「はぁっ!? そんなわけねぇだろ。んなことより、首飾りを探すぞ!」


 もはやごまかせてるなんて思っちゃいねぇぜ?

 イザベラはもう、何かかんづき始めてるよな。


 話題を逸らして難を逃れる。今はそんなことを話す場合じゃねぇ。

 イザベラもそれは分かってるのか、それ以上追求するようなことはしてこなかった。

 ふぅ。助かったぜ。


 イザベラの案内で塔内部の隙間に到達し、中に入る。

 塔には道なんてなく、岩の隙間を縫うように進むしかない。

 小柄な俺たちだから進めるが、全身からの汗で滑りやすくなるのもまた事実。


「暑い……ルース、氷欲しい」

「仕方ねぇな。氷柱突アイシクル・スラスト

「うぅ~、気持ちいい」

「私もちょうだい」

「自分で出せるだろ」

「アンタの方が早いんだもん」

「ったく、便利な魔導書じゃねぇんだからな」

「ありがとぉ~。あぁ、生き返るぅ~」


 氷柱で涼み、水分補給も完了。暑さが半端ねぇからな。

 氷が溶ける速度も異常で、水滴は足元で消えていく。


 黒くできたシミまであっという間に消えてくのは、驚きだよな。

 そんな環境で長い時間を過ごすのは勘弁かんべんしたい。

 はやく首飾りを見つけてしまおう。


 俺がそう決意してから程なくして、岩の隙間に落ち込んでしまった首飾りを見つけることに成功した。


 見つけるまではよかったんだけどな。

 そこからが、マジで大変だったんだぜ。


「なぁ、本当にこのやり方で拾うのか?」

「他に良い案があるの?」

「ないけど」

「じゃあ、よろしくね」

「ルース、頑張って!」

「はぁ……」


 深いため息を吐いた俺は、腰に巻き付けられた糸を握りしめた。


 俺はこれから、この細い糸を頼りに、岩の隙間にダイブするんだぜ。

 マジで、人使いが荒いよな。


 イザベラとダグが糸を持っててくれるから、落ちることはない。

 それに、この狭い隙間に入れるのは俺くらいだ。


 そんなことは分かってんだよ。

 分かってるんだけどさ!

 ……いいや、不満を考えるのはやめておこう。


 これで貸しができたんだ。

 お返しに何を求めるか、考えておくことにしようぜ。


「よし、降ろしてくれ」

「分かった!」


 暗い隙間の中をゆっくりと降りていく。

 思ったよりも深いな。

 糸の長さが足りなかったらどうしよう?


 そんな心配は杞憂きゆうに終わり、俺は難なく絶炎の首飾りを回収することに成功したぜ!


 おまけに、興味深いものも一緒に見つけたしな。


「それはっ!」

「おう、首飾りの近くに落ちてたから拾ってきたぜ。綺麗だろ?」


 真っ赤でツヤのある美しい羽。


 俺の背丈と同じくらいあるその羽を、イザベラが手に取って観察し始めた。


「これってもしかして……」

「あぁ、ソヴリンの羽みたいだぜ」

「ソヴリンの!? ルース、それは本当!?」

「本当だよダグ、見物する瞳(スペクテイター)で見たから間違いねぇぞ」


 そうして俺は、その羽から得られた情報を二人に共有することにした。


 そのも、焼き殺す者(ソヴリン):スザクの羽。

 炎を纏い、炎を呑む者が落とした羽。

 この羽を用いて作られた装備には、耐火性能が付与される。

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