表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドンゾコナビ ~滅びの世界で少女導く~  作者: 内村一樹
1章:焼き殺す者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/103

第22話 執念という覚悟

「うん。オイラ、ついてくよ」


 イザベラの問いに、ダグは迷わず答えた。

 ったく、少しくらい悩めよな。

 俺も答えざるを得なくなるじゃねぇか。


「当然だろ? 最初に言ったけど、俺はお前のナビゲーターなんだぜ?」

「……そっか」


 イザベラは短く頷くと、来た階段を下り始めた。

 暑さを避けるには賢い選択だ。


 戸惑うダグも、外の光景とイザベラを見比べつつ、階段を降りていく。

 やがて汗のにじまない涼しい場所まで戻ると、俺たちは歩きながら話を続けた。


「二人とも、本当に覚悟を決めたってことで良いんだよね?」

「そうだぜ。なぁ、ダグ」

「うん」

「わかった。これ以上は聞かない」

「助かるぜ。何度も聞かれると面倒くさいからな」

「確認は必要だと思っただけ」


 俺もイザベラも、必要以上に言葉を交わさずとも理解し合えた。

 ……まぁ、俺はいつの間にか問われる側に回ってたんだけどな。


「早速だけど、ソヴリン討伐の作戦を考えたい。まず私の案を聞いてくれる?」

「ほう。いい案か?」

「うん、良いかは置いといて、ずっと考えてたものがあるの」


 ずっと……それはいつからだろうな?

 バルドと一緒に練った作戦、ってことはないか……いや、バルドはもう……ソヴリンに殺されたんだっけ。

 実行済みの作戦じゃないな。


「まず、ソヴリンが定期的に休息に戻る場所、知ってるよね?」

「もちろんさ」

 まぁ、知らねぇけど。


「その場所――私は火炎の塔って呼んでる――そこでソヴリンを待ち伏せするの」

「待ち伏せか。まぁ、定石じょうせきだな」

「うん。でも氷の魔術だけで突っ込むのは無理。ある魔導具が必要なの」

「魔導具? どんなやつ?」

「身に着けると熱を防げる『絶炎の首飾り』よ。火炎の塔に一つだけあるはず」

「なるほど、ありかにも心当たりがあるってことか」

「……そうよ。私は1度だけ火炎の塔に入ったことがある。父さんと一緒にね。そしてその日、私は父さんを失った」

「……イザベラ」

「大丈夫よダグ。私は、大丈夫」


 ダグを安心させるように告げるその声は、気丈に響いた。

 背負う覚悟の重みを、言葉だけで伝えている。


「でも、その首飾り持って行ってたんじゃねぇのか? 効かなかったのか?」

「効果はあったよ。でもソヴリンは私の首飾りを破壊した」

「マジかよ!?」

「父さんは自分の分を私に投げ渡して……でも私は塔から逃げる途中で落としちゃった。形見は叡智の鍵だけ」


 なるほど…つまりイザベラは俺の力、見物する瞳(スペクテイター)に頼りたいってわけだな。

 落とし物探しは俺の得意分野だ。


「でも、その首飾りは1つしかないんだよね?」

「お、ダグ、良いところに気づくじゃねぇか。俺もそれは気になってたんだよ。そこんところどうなんだ? イザベラ」

「うん。だから、今回私たちは二手に分かれるべきだと思ってる」

「というと?」

「火炎の塔で絶炎の首飾りを見つけてソヴリンの気を引く役と、ソヴリンの隙を突いてトドメを刺す役」


 なるほど。

 ってことは、俺は必然的に首飾りを捜索する役だな。

 その後かく乱をするってことは……。


「おい、ちょっとまて。それってつまり」

「そうよ。アンタたち二人には火炎の塔で大暴れしてもらいたい」

「大暴れっ!?」


 おいダグ。

 どうしてちょっと嬉しそうなんだよ?

 ソヴリンの気を引くってことはつまり、狙われるってことだぜ?


 普通に危ねぇよな。


 でも待ってほしい。

 少なくとも俺たちは、絶炎の首飾りで身を守る術があるわけだ。


 それに対してイザベラは、生身で挑むつもりなんだと。

 さすがに無謀むぼうすぎやしねぇか?

 だったら、もう1つ絶炎の首飾りを探したり、無い場合は代わりになるような魔導具を探すべきだろ?


 トドメを刺すにしても、ある程度の距離まで近づく必要はあるはずだからな。


 そんなことを指摘しようと、俺が口を開きかけたその時。

 俺よりも先にダグが言ったんだ。


「イザベラの分はないの?」

「うん。残念だけど、残りは1つしかないから」

「作ったりできない?」

「多分無理。だって、絶炎の首飾りは―――バルドが作ったものだから」


 ソヴリンを殺すために長い年月をかけて、バルドが生み出した魔道具。

 だから、もう誰にも作ることはできないの。

 イザベラはそう言って言葉を結んだ。


 イザベラの父、バルドの執念がそこにある。

 俺もダグも、何も言えなかったぜ。


 だって、よく考えたらおかしいだろ?


 どうして、ソヴリンが定期的に休憩する場所を知ってるんだ?

 どうして、火炎の塔に向かうことができたんだ?

 どうして、絶炎の首飾りがソヴリンの攻撃に耐えることができると知ってたんだ?


 きっと、想像もつかないほどの調査と試行錯誤を繰り返したに違いないぜ。


 全ては、ソヴリンを殺すためだけに。


 どうしてそこまでするのか。

 聞いてみたいところだが、今はやめておこう。


 ルースこそ、どうして手伝ってくれるの?

 なんて聞かれて困るのが、目に浮かぶからな。


 今はただ、イザベラの中に覚悟があることを知れただけで十分だ。

面白いと思ったらいいねとブックマークをお願いします。

更新の励みになります!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ