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第7話 分かり易い「顔」をしよう!
分かり易い顔だって!
私が社会人一年生となった時、現場の係長からは「分かりやすい顔をしろ」と教えられた。
現場は広く、騒音で聞こえない場合がある。だから「返事」をするだけでなく、「表情」や「ジェスチャー」で分かり易く意思表示しろという意味。
あれから20年以上が経つ。環境は違い現場作業でなくても、新人教育では「分かり易い顔をしろ」と教える。
新入社員の中には、話すことが苦手な子も多い。だから昔の教えを、アレンジして受け継いだ……つもりだった。
しかし、内股でモゾモゾしながらやってくる。時にはお尻を押さえて走ってくるのは半ソデ君。
「えっと、えっと、んっとっ」
「早く、トイレに行ってこいっ!」
私の大きな声が響き渡る時、それは少し漏れている時。顔ではなく体が反応する。それは手遅れの時なんだと教える必要がありそうだ。