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第26話 でも、この職場が好き①
これが最終であり、やはり登場するのは社長の甥っ子。
私の声が次第に大きくなり、冷静さを保てない。それに反して、社長の甥っ子の表情には何の変化もないのだから、余計に感情が爆発しそうになる。
さらに、大きな変化がやってくる。説教の最中に、社長の甥っ子は左の耳に小指を突っ込んでしまう。時間にして1分は我慢したと思うが、依然として小指は耳の穴に刺さったまま。
『真剣に話を聞いてる?』
「はい、聞いてます」
『耳が痒いの? それは真剣に話を聞く態度じゃないだろ』
「違います。右耳に集中させてました」
想像の斜め上の回答に、私の心は折れてしまった。もう、これ以上の説教の継続は不可能。周りからの視線が、ただただ痛い。
だが、これが私の限界!




