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美味しいホットケーキをあなたに

掲載日:2025/12/09

 政志君が好きだ。

 いつからと聞かれたら、小2の夏休みからずっと。


 あの日、家に集まった幼馴染達に私はホットケーキを作った。

 それまで何回か作った事があったので、一人でも自信があった。


 でもホットプレートで焼き上がったケーキは無残に焦げて散々な出来上がりだった。


『こんなの食べられないよ』


『さすがにこれは…』

 隆史と史佳の声に、私は泣きそうだった。


『温度を間違ったんじゃない?』

 政志君だけは違った。

 作り方の説明書を見ながら、ホットプレートの温度を下げてくれた。


『まだ材料あるよね?

 次は上手くいくよ』


『…うん』

 私はボールに残っていた生地を再び垂らし、タイマーを合わせた。

 みんなはホットケーキを見つめているが、私は政志君の横顔から目が離せなくなっていた。


『美味しい!』


『最初からこうすりゃ良かったんだ』

 二人の言葉より、


『上手に出来て良かったね』


 政志君の言葉に顔が一気に赤くなった、好きになったのはそれから。


 私達は高校生になった。

 隆史と史佳、私と政志君、それぞれ別の高校に進んだが交流は続いていた。


 政志君と史佳が付き合いだしても、ずっと。

 家族から諦めたらと言われたが、どうしても出来なかった。


 先に告白したら良かったのだけど、家が隣同士の2人が今まで付き合わなかったんだからと高を括っていた。


 付き合いだしたと聞いた時は泣いた。

 そして見守ると決めた。


 勇気を出さなかった自分が悪い、そう納得した。


 しかし隆史はそうじゃなかった。


 嫉妬は狂気になって、史佳を口説き、とうとう…


 私が気づいた時、既に手遅れだった。


『どうするつもり?』

 史佳から隆史の子供を妊娠してしまったと言われ、どうするか聞いても悲劇のヒロイン気取りで話にならなかった。


 だから史佳の親に教えてやった。

 異変に薄々気づいていたのか、話は早かった。


 隆史と史佳の親で話し合いが持たれ、両家は地元から消えた。

 噂になるのを恐れたのだろう。


 政志君は酷く傷ついた。

 自分の親友と彼女の浮気、子供まで作っていたから当然だ。


 私は政志君を支えた。

 決して自分の気持ちを出さず、幼馴染として。


 最近、ようやく政志君は前を見るようになった。

 そろそろか。


「私の家に寄らない?」


 学校の帰り私は政志君を誘った。


「いいの?」


「ホットケーキを焼くの」


「やった!」


 楽しみにしててね、今日の為に銅板のフライパンで何回も練習したから。


 必ず美味しいと言わせてみせる。

 そして今度こそ言うんだ。


 ずっと好きでしたって…

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― 新着の感想 ―
ああっ! 風鈴の話の別の視点の話ですか此れw あ~~。
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