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90話 嘘つき王の末路

【※お知らせ】

書籍化が決定しました!

皆様のおかげです!

ありがとうございます!!!!!!!!



 大臣カバイゴスが、精霊王ルルイエによって排除された。


 数日後。

 国王グォーディスは会議室にて、各国の王達と会談を行っていた。


 会議室の円卓には、巨大な鏡がいくつも並んでいる。

 鏡に映っているのは、周辺国家達のトップ達だ。


 彼らは皆多忙を極める、遠方から集まるのではなく、こうして魔法の鏡を通して会議を行っていた。


「……以上、説明したとおり、我が国がおかれている現状は非常に厳しいと言わざるを得ない」


『確かに、勇者オロクァがいなくなったとなれば、新たなる勇者の選定が必要となりますなぁ』


 鏡越しに、隣国の王が神妙な顔つきでうなずく。


 グォーディスは周囲を見渡しながら切々と問いかける。


「勇者選定には時間と、なにより資金が必要となる。こたびの会議の内容を持ち帰り、検討なさるようよろしく頼む」


『うむ……まあ仕方あるまい』

『魔王達の被害を一番受けているのは王国であるからな』


 鏡越しに、他国のトップ達が渋い顔をしながらも、しかしうなずいていた。


 にやり、とグォーディスは内心で邪悪に笑う。


 国王が合図を出すと、議長を務めていた大臣がうなずく。


「では、時間になりましたので、遠隔(リモート)会議は終了となります。お疲れ様でした」


 大臣が魔法を発動させると、映像が消える。

 

「陛下、お疲れ様でした」

「うむ……くくく、これで更なる援助が望めるな……」


 大臣は表情を曇らせると、国王に進言する。


「王よ……やはり他国に嘘をつくのはよろしくないのではと思います」


 この大臣はカバイゴスと違い善良な男だった。

 仕事はできるが、しかしまだ若いので、国王の振る舞いに納得がいっていない様子であった。


「なんだ貴様……わしに楯突くつもりか?」

「め、めっそうもございません! しかし次期勇者はエレン様がいるではないですか」


 はぁ~~~…………と国王は深々とため息をつく。


「貴様はなにもわかっていないな。これだから今時の若造は……」


 国王は大臣に鼻を鳴らす。


「よいか、国家を運営していく上で金は必要不可欠なのだ」

「だからといって他国をだますようなマネは良くないと思います!」


「今時のガキは本当に政治を知らないな。貴様と言い、ナタリアといい……遊びにうつつを抜かしているからだ。わしが若い頃は必死で勉強したというのに、本当に最近の若い子は努力をしないな……」


 その後も散々、自分の若い頃がいかに凄かったかを自慢し続ける。

 

「ところで、陛下。つかぬ事をうかがいますが、最近ナタリア殿下を城の中で見かけないのですが……何かの公務でしょうか?」


「ふむ? あれは廃棄した」


 今日の天気を告げるように、何事もないような顔で、国王が言う。


「はい、き……ですって?」


 大臣が青い顔をして、口をわななかせる。

「あれも政治に使えぬ女だったのでな、ちょうど良いから始末した」


「そ、そんな……! 姫が何をしたというのですかっ!」


 ふんっ、と国王は鼻を鳴らしていう。


「娘のくせに父に意見してきよったからな」

「そんな……たったそれだけの理由で、自分の娘を殺したって言うんですか!?」


 ……ちなみにこの時点で、国王はナタリア姫の現状を知らなかった。


 まだ報告が上がってきていないのである。

「王女は物言わぬ政治の道具であればよい。さかしさなど不要。使い勝手の悪い道具を捨てて、なにが悪い?」


「この……! あんた、最低だぞ!」


 国王は若き大臣に、蔑んだ表情を向ける。


「調子に乗るなよ若造が。貴様もまた道具にすぎない。わしの機嫌一つでクビにすることも死刑にすることも容易いんだぞぉ……」


 にやぁ、と国王が邪悪に笑う。


「貴様は確か母子家庭であったな。しかも母親は病気を患っており、金を稼がなければいけないのではなかったか? ここでクビになれば……さて、困るのは誰かなぁ?」


「くそっ……!」


 大臣は歯がみする。

 ここで職を失えば、母の治療費を払えなくなる。


「大人しくわしの言うことにハイハイと従っていれば良いのだ。バカ餓鬼が。貴様ら若造は所詮金もコネもない弱者なのだ! もっと分を弁えよ!」


 と、そのときだった。


「探しましたわ、お父様!」


 バリーン! と大きな音を立てて、窓ガラスが割れる。

 そこに入ってきたのは……ナタリア姫。

 そして、少年エレンだ。


「なっ!? な、ナタリアだとぉおおおおおおお!?」

「王女殿下! ご無事でしたかっ!」


 若き大臣が涙を流しながら、ナタリアに近づく。


「貴様らどうして生きてるぅううう!?」


「エレン様があの程度のザコに負けるわけがありませんわ!」


 ギリッ……と国王が歯がみする。


「お父様……いや! グォーディス! あなたの悪事もここまでです! 王女(わたくし)と勇者(エレン)様を殺そうとしたこと、きっちりと精算してもらいます!」


 ふ、ふんっ! と国王が強がってみせる。

「バカが! ここで貴様ら全員殺してやる! おい! おまえらぁ! 出てこい!」


 国王が声を張り上げる。

 会議室の中に、2組の冒険者が入ってきた。


「はっはぁ! こいつらは特S級冒険者! エレン、貴様と同格の力を持つ! しかもこっちは2人もいる!」


 勝ち誇った笑みを国王が向ける。

 エレンは静かにたたずんでいた。


 大臣、そして王女だけが気付いている。

 彼が静かに、怒っていることを。


「やれぇ、冒険者ども! あのバカどもをぶち殺してやるのだ!」


「「…………」」


「どうした貴様ら! 高い金を払っているんださっさと殺すんだ!」


 ドサッ、と特S級冒険者たちが、その場に崩れ落ちた。


「なっ!? なにが起きたんだ!」


 彼らのすぐ目の前に、エレンが聖剣を手に立っている。


『うむ、高速で踏み込み、峰打ちでこやつらを気絶させるとは。さすがエレンじゃ』


「なんて速さだ……特S級が反応できないとは! ば、化け物か……!」


 じろ、とエレンが国王をにらみ付ける。


「ヒッ……!」


 彼の秘める強大な力を前に、国王はすっかり怯えてしまった。


「わ、わしを殺そうとしても無駄だぞォ……! わ、わしは国王なのだ! 裁かれるのは貴様らの方だぁ……!」


 追い詰められた国王は尻餅をつきながら言う。


「貴様らわしに手を上げてみろォ……! 国家反逆の罪で死刑だぞ! 死刑! ひゃははははは!」


 と、そのときだった。


『いや、国家に弓引く大罪人は、どうやらあなたみたいですな、グォーディス国王よ?』


 いずこから、声が聞こえてきた。

 

「な、なんだ……!? 誰だ……! エレン達以外に、この部屋には誰もいないはず……!」


『我が輩達がいることを、お忘れのようですな』


 円卓には、先ほどまで遠隔(リモート)会議に使っていた、魔法の鏡がおいてある。

 通信の魔法は切っていたはずなのだが、なぜかまた繋がっていたのだ。


 鏡越しに、周辺諸国のトップ達が、国王を見下ろしている。


「なっ!? そ、そんな……なぜ!? 通話は終わったはず!」

『うむ、先ほどからなぜか通信が復活してな。何事かと思い黙ってみていたのだが……』


 さぁ……と国王は青い顔をする。


 見ていた、と他国の王達は言った。

 いったい、いつから……と聞く前に、グォーディスは気付く。


 首脳陣の自分を見る、蔑んだ表情に……。


『貴様の愚行、一部始終、見させてもらいましたよ』


『随分とお強い勇者がおられるではありませぬか』


『それに自分の娘を殺そうとするなど、一国の王のすることではございませんなぁ……』


 がくがくがく、とグォーディスは青い顔をして震える。

 自分のやってきた悪事、そして嘘が露見してしまったのだ。


「ち、違うのだ……! これは、これは誤解なのだ!」


『……グォーディス、あなたには失望いたしました。援助の話はなかったことに』

『しかもまだまだ余罪がありそうですな。これはしっかり、メスを入れる必要がありそうだ』


 他国の首脳陣たちから、すっかり信用を失ってしまった。


 グォーディスは焦る。

 この国が連綿と築き上げてきたものを、自分のせいで壊してしまったとなれば、先祖に顔向けできない。


『この国も墜ちたものだな。早々に手を切るべきだろうか』

『そうだな、この無能に任せていたら、いつまでたっても魔王は討伐されぬでしょうし……』


「い、いやだぁあああああ! 見捨てないでくれぇええええええ!」


 と、そのときである。


「お待ちになってくださいまし!」


 ナタリア姫が堂々と宣言する。


「ここにおわすエレン様が! かならずや魔王を討ち取ってみせることでしょう!」


 彼女は他国のトップ達を見渡していう。


「エレン様の強さは、皆様が今見たとおりですわ!」

『うむ、たしかに特S級2人を、瞬殺して見せた……強さは申し分ないな』


 トップ達がうんうん、とうなずく。


「それにエレン様は愚王から命を狙われていたわたくしを、訳も聞かず助けてくださりました! 人格も兼ね備えた素晴らしい御方です!」


 おお……! と他国の王が感心したように言う。


「エレン様が魔王を必ずや滅してくださるでしょう。なのでどうか、皆様におかれましてはご安心なさってください。援助も、可能な限りでかまいません」


『うむ、ナタリア姫がそうおっしゃるのでしたら、貴女を信じ、エレン殿に託すことにしましょう』


『『『異議無し!』』』


 ナタリアの説得により、他の国の王達は考えをあらためてくれた様子だった。


 通信がキレて、ホッ……とナタリアは安堵の吐息をつく。


「な、ナタリアぁ……助かったぞぉ……」


 へらへらとこびへつらった顔で、グォーディスは娘に近づく。


「おまえのおかげで我が国のメンツは保たれた! いやァ……! さすが自慢の娘……わしはおまえのような賢い子を持てたこと誇りに思うぞぉ……!」


 父が伸ばしてきたその手を、ナタリアがバシッ! と払う。


「グォーディス、あなたの度しがたい悪行の数々、看過できるものではありませんわ!」


「その通り! 殺人未遂その他諸々! きちんと法に則って裁いてもらいます!」


 大臣、そしてナタリア姫がキツい表情で国王を見下ろす。


「ぐ、くそおぉおおおお!」


 やけになったグォーディスが、娘を殴ろうと襲いかかってくる。

 だがエレンがその前に立ち塞がって、カウンターで拳をたたき込む。


「ぐぇえええええええええええ!」


 国王は壁に激突し、倒れる。


「女の子に手を上げるなんて最低だぞ! 牢屋でしっかり反省しろ!」


「くそ……ぢぐしょぉ~……」


 その後ナタリアの命でグォーディスは逮捕された。 


「ナタリア様、ご無事ですかっ?」


 エレンが言うと、王女は彼に抱きつく。


「ありがとうございますエレン様! あなた様がいなかったら、今頃わたくしも、この国も終わっていました!」


「そうです! エレン様、いや! 新たなる勇者様! どうか我らを悪の手からお守りください!」


 次期国王の候補たるナタリア、そしてその腹心になり得る大臣。

 そのふたりからの信用を、エレンは勝ち取った。


 ……その様子を、窓の外から見ている人物が1名。


「フフッ……♡ エレン、着実にファンを増やしているね……!」


 精霊王ルルイエ。

 彼女は宙に浮きながら満足げにうなずく。


「今回は楽な仕事だったね。途切れていた通信を復活させ、各国の王達にあの愚王の所業を見せるだけで良かったのだから」


 精霊王が司るのは奇跡そのもの。

 魔法も奇跡の産物である以上、魔法道具を遠隔で操ることなど容易いこと。


「これでエレンは勇者として広く認められただろう……! ふふっ、エレン♡ さぁこれからだ。これからもっともっとたくさんの人に、君が素晴らしい人間だってことを知って貰える……!」


 蕩けた笑みを浮かべて、ルルイエが体を抱きしめていう。


「僕は君の素晴らしさを世界中に広めるために、全力を尽くすからね……♡」


 はぁ……と熱っぽい吐息をついて、ルルイエがつぶやく。


「これだけ愛して尽くしてあげているんだから……君も僕のこと、愛してくれるよね……エレン♡」


【※読者の皆さまへ、大切なお願いがあります】


皆様の応援のおかげで書籍化が決定しました!


本当にありがとうございます!

今後も頑張っていきますので、


少しでも、

「面白かった!」

「続きが気になる!」


と思っていただけましたら、ブックマークや評価を、是非お願いします!!!!


評価はページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。


今後も皆様に喜んでいただけるような、面白い物語を提供したいと思っています。

是非ともブックマークして、連載追いかけてくださいますと幸いです。


読者の皆さまのポイントが、ものすごく励みになります!


なにとぞ、よろしくお願いします!!!!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 押し(エレンが)が世界の英雄になってくれたら嬉しいルルイエさん… 書籍化おめでとうございます!
2020/09/19 10:11 退会済み
管理
[一言] 誤字報告 「グォーディス、あなたの度しがたい悪行の数々、看破できるものではありませんわ!」 看破→看過 看破は見破る様、看過は見過ごせない場面で使うのでこの場合は看過かと
[一言] おめでとうございます 絶対買います
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