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63話 亜人達からの報復



 テイマーのエレンによって、神聖皇国の亜人狩り部隊隊長コミガスは退けられた。


 話はその数時間後。

 亜人狩り部隊は、祖国へ帰還する最中だった。


「くそっ! 忌々しい蛮族どもめ!」


 コミガスは殴られた腹部をさする。


「特にあのエレンとか言うガキめ! 世界から邪悪(あじん)どもを駆逐する崇高なる使命を理解せぬ愚かものが! 見ていろよ、必ず復讐してやるからな!」


========

精霊使いへの敵対行動を感知しました。


コミガスへのペナルティを実行します。

→スキル【挑発】を使用します。


→精霊を通じて、彼に恨みを抱く亜人達に通信を入れます。

また【転移魔法】を亜人達にかけ、コミガスのもとへ送ります。


========


「た、隊長!」

「どうした?」


「あ、あそこを見てください!」


 前方に現れたのは、目を光らせる獣人たちだった。


「なんだ、汚らしい犬畜生どもではないか」


 コミガスは部隊をとまらせ、ひとり前に出る。


「見つけたぞゴミカス野郎……家族を殺した悪魔め……!」


 獣人族の若者が、コミガスに強い憎しみをぶつけてくる。


「ハッ……! 知らんなぁ、処分したゴミのことなどいちいち覚えておらぬからなぁ」


「貴様……!」


 武器を構えた獣人達、総勢10名。

 それに対して、祓魔師たちは、手負いではあるがその数は30名。


 その上に、こちらには天使がある。

 先ほどは何かの不具合で使えなかったが、まあそのとき偶然使えなかっただけだろう。

「どうした畜生ども? かかってくるがいい。もっとも、殺された家族と同じ末路を辿ることになるだろうがなぁ……」


 獣人達がたじろぐ。

 彼らもまた、ひっそり暮らしていただけだった。


 それをこのコミガスという男が、ただ亜人だからという理由で村を焼いたのである。

「どうした? かかってこないのか? やれやれ、おい殺せ。ひとり残らず」


「た、隊長! あ、あれを見てください!」


 ざっ、ざっ、と森の中に、いつの間にか大量の亜人達がいた。


「なっ!? なんだこの数は……!」


 獣人、ダークエルフ、巨人族。

 彼らはみな、同じように亜人狩りによって、蹂躙された村の生き残り達だ。


「ひ、怯むなおまえたち! 我らは誇り高き亜人狩りだ! 殲滅せよ!」


「し、しかし隊長……この数では……」


「ええい愚か者どもが! 下がってろ! 私がやる!」


 杖を取り出し、天に掲げる。


「召喚(サモン)・下級天使(ロー・エンジェル)!」


 しーん……。


「なっ!? ま、まただ! なぜ天使が召喚されない!」


「ごちゃごちゃうるせええええ!」


 獣人の若者が、コミガスに殴りかかってくる。


「ま、待て! 私を誰だと……ぐぇえええええ!」


 頬に強烈な拳を受けて、コミガスが吹き飛ぶ。


「ぶぎゅっ!」

「た、隊長!」


 地面に倒れ伏すコミガスに、今度は巨人族の男が、足を振り下ろす。


「うぎゃぁああああああああ!」


 巨象がのしかかったのではという程の重さに、コミガスは悲痛なる叫びを上げる。


「痛い痛い痛いぃいいいいいい!」

「おでの……かあちゃん……ころした……ゆるせ、ねえ……!」


 巨人族の男が、ぎゅーっと体重を乗せてくる。

 骨が折れ、内臓が潰れる。


「うぎゃぁああああ! いたいぃいいい! 痛いよぉおおおおお!」


 涙と鼻水を垂らしながら、コミガスが泣き叫ぶ。


「おまえらぁああああああ! 早く亜人どもを殺せぇえええええ! 私を助けろぉおおおおおお!」


 部下達に命令するコミガスだったが、彼らは青い顔をして首を振る。


「お、おれたちは関係ない!」

「そうだ! あの隊長に命令されて無理矢理やらされてたんだ!」


 部下は全員、コミガスを助けない。

 それどころか、自らの命を優先しようとする。


「なっ!? ふ、ふざけるなぁあああ! おまえらだって亜人達を殺すことを楽しんでたではないかぁああああああ!」


 亜人達は冷ややかに、亜人狩りたちを見下ろす。


 いつも強気でいられたのは、数で勝っていたこと。

 そして何より、天使を使えるコミガスがそばにいたからこそだ。


「に、にげろぉおおおお!」

「嫌だ! 死にたくない、死にたくないぃいいい!」


 逃げ惑う亜人狩りたち。

 だが亜人達は容赦しない。

 彼らを追いかけていく。


「嫌だ嫌だ嫌だぁあああああ!」


 夜の森に亜人狩り達の悲鳴がとどろく。


 残された亜人達が、巨人族に踏み潰されているコミガスを取り囲む。


「わ、私を殺すと大変なことになるぞ! か、神の怒りが貴様らを殺す!」


 亜人達は無言で、コミガスを殴る。


 バキッ!


「な、泣いて許しを請うなら特別に! 神に具申して助けてやってもいいぞ!」


 バキッ! ドゴッ!


「お、お願いします! もう殴らないで! 勘弁して!」


 バキッ! ドゴッ! グシャッ!


「ご、ごべんなざい……もう亜人達にひどいごとじまぜん……だ、だがら……ゆ、ゆるじでぐだざぃい……」


 それでも、亜人達の気が晴れることはなかった。

 コミガスはその後、集まった亜人達に殴られ続けた。


 ダークエルフの回復魔法でなんども治療されながら、暴力の嵐をその身に受ける。


「うぎゃぁああああああああああああ…………………………!」


 その後、コミガスを含めた亜人狩りたちの消息は、杳として知れない。


 ただ森にはいつまでも、彼らの悲鳴がひびいていたとのこと。


 すべては神という虎の威をかりて、好き放題暴力を振るっていた彼らの、自業自得であるのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] コミガスをどうしてもゴミカスに空目してしまう。w
[一言] こ、これは水戸黄門??
[気になる点] 少し罰がぬるく感じました。
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