表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/263

33話 ザックの失敗、大惨事を引き起こす


 テイマーのエレンが、ミスリル鉱脈から戻った数日後。


 ザックは、大勢の冒険者を連れて、ナエヴァ山へとやってきていた。


「しかしよぉザック。マジであるのか、大量のミスリルの鉱石」


 知り合いの冒険者が、ザックに話しかけてくる。


「んだよ、おれが嘘言ったっていうのか?」


「いや……でも、トーカの冒険者ギルドからの情報だと、ミスリル鉱脈は無かったらしいじゃん。エレンがそう報告したって」


 ザック達の所属するのは、トーカから離れた街、カシクザキの冒険者ギルドだ。


 ギルド経由でエレン達の報告を聞いたのである。


「大方、ミスリルを独り占めしようって魂胆だろうよ。善人ぶった最低のクズだからなあいつ」


========

精霊使いへの敵対行為を感知しました。


ペナルティを実行します。

【転移の魔法陣】の改ざんを行います。


行き先を変更します。

【ミスリル鉱脈】→【モンスター・ハウス】


========


 ザック達は、ナエヴァ山にある洞窟の入り口までやってきた。


「いいかてめぇら! よーく聞きやがれ!」


 ザックは招集された冒険者50名を見渡して、声を張り上げる。


「これから鉱脈に潜る。けどな! 第一発見者はおれだ! つまり、鉱脈のミスリルはぜーんぶおれのもんってことだ!」


 前回、ザックはエレン達の動向をこっそりと見張っていた。


 彼らが帰った後、鉱脈を掘り尽くすために、人員をギルドでそろえて、ここに来た次第だ。


「手伝ったことに対する賃金は払ってやんよ。けどなぁ! ネコババしたらただじゃあすまねえぞ!」


 チッ……と冒険者達が舌打ちをする。


「一生懸命働いたやつには、特別に少しだけミスリル分けてやんよ。やる気出して働けよてめぇら」


「けどザック。嘘だったらただじゃおかねえからな」


「そうだぞ。おまえただでさえ最近ギルドでの評判悪いんだから、今回のクエストが嘘だったりしたら、信用が地に落ちるぜ?」


 ビキッ! とザックは額に青筋を浮かべる。


「あー、今おれに楯突いたそこの2人。帰れ。おれを怒らせた罰だ。金もミスリルも恵んでやんねー」


 ぐっ、と冒険者達が歯がみする。


「「すみませんでした……」」


「ったく、仕方ねえから許してやる。けど次おれに何か意見をしたらその場でクビだかんな! ボケがぁ!」


 冒険者達が反省したところで、ザックは秘密の入り口に入る。


「こんなとこに通路があったなんて……」


「この転移の魔法陣が鉱脈に続いている。おらてめえらさっさと入れ。ぐずぐずすんなウスノロどもが」


 ザックは調子に乗っていた。

 それもそのはずだ。


 ミスリルは希少価値が高く、数グラムで家が買えるほど。

 あの鉱脈には、それがもの凄い量があった。


「おれは億万長者! 人生の勝利者なんだよぉ! てめえら最底辺の冒険者と違ってなぁ! うひゃひゃひゃひゃ!」


 言いたい放題に言われても、彼らは黙っていた。

 ザックの不興を買えば、賃金もミスリルも手に入らないのだから。


 冒険者達は黙って、転移の魔法陣に乗る。

 最後にザックが入る。


 そして……すぐに、気づいた。


「あ、あれ……? なんだここ……?」


 前回ここに来たときには、転移したらすぐ、目の前に大量のミスリルの山が広がっていた。


 しかし今彼がいるのは、なにもないホールのような場所だ。


「ザック、なにしてんだよ。早く鉱脈に連れてってくれよ」


 冒険者達はここへくるのが初めてだ。

 ここから別の場所へ移動するとでも思っているのだろう。


「い、いや……その……」


 そのときだった。


「うぎゃぁああ!」

「ど、どうした……って、なんだありゃあ!?」


 悲鳴が上がったほうをみて、ザックは絶句した。

 部屋のあちこちから、大量の【あり】が湧き出てきたのだ。


「あ、【鋼鉄蟻アイアン・アント】だぁ!」

「嘘だろぉ!? Aランクモンスターが、こんな大量に沸いてるなんて!」


 鋼のボディを持った、人間の子供サイズのアリモンスターだ。


 アリたちはカサカサと音を立てながら、近くに居た人間エサたちに襲いかかる。


「う、うぎゃぁあああ! 腕が、腕がぁ!」


 アリの口には、鋭い歯がついている。

 冒険者の腕や足を、容易く切断した。


「ぎゃああ!」「ひぃいいい!」「た、助けてぇええ!」


 地獄絵図が広がっているなか、ザックはようやく正気を取り戻した。


 ダッ……! とひとりだけ逃げ出したのだ。


「おいザック! 待てよ! 逃げんな!」

「うるせぇぇぇ!」


 負傷している冒険者たちを放置し、ザックはひとり、転移の魔法陣に乗る。


========

精霊使いの能力が発動します


ザックへのペナルティを実行します。


スキル【魔法陣破壊】を一時的に付与します。


転移の魔法陣を破壊しました。


スキル【魔法陣破壊】を剥奪しました。


========


「なっ!? そ、そんなバカな!? 転移が発動しねえ! どうなってやがる!」


 かさ……かさかさかさ……! と大量のアリが押し寄せてきた。


「く、来るな来るなぁああああ!」


 襲い来るアリたち。

 逃げようとしても転移魔法陣はなぜか発動しない。


「どうすりゃ……あっ! あれだ! 出口だ!」


 この部屋の、本来の出入り口があった。

 ザックは急いで脱出を試みる。


「グッ……! この……動けぇ……!」


 ぐぐ……と重い扉を、必死になって開けようとする。


「ま、待てザック! 今開けたらモンスターが外に出るぞ!」


 アリに応戦している冒険者のひとりが、ザックに言う。


 だがザックは忠告なんて耳に入っていなかった。

 

「よし! あいたっ!」


 重い扉が開くと同時に、ザックは一目散に部屋から逃げる。


 だが背後から、アリが追いかけてきた。


「ひぃ! うひぃい!」


 涙を流しながら、ザックは迷宮内をひた走る。


 後ろから大量の鋼鉄蟻が、エサであるザックを追い回す。


 彼は必死になって逃げた。

 だがこの迷宮内の地図を持っていないので、当然出口なんて見つからない。


「はぁ……! はぁ……! はぁ……!」


 ……やがて、どれだけさまよっただろう。

 気づけば、アリの姿はなかった。


「たす……かったぁ……」


 どさっ、とへたり込む。

 そこで、ザックは気づいた。


「ここ、元いた部屋じゃねえか……」


 ホールでは、負傷した冒険者が、何人も居た。


 中には、死者すらでていた。


「おいザック! てめえこの野郎ぉ!」


 傷付いた冒険者のひとりが、涙を流しながら、ザックに近づく。


 胸ぐらを掴んで、バキィ! と殴る。


「よくも騙しやがったな! なにがミスリル鉱脈だ! モンスター・ハウスに追い込みやがって!」


 ダンジョンにある、大量にモンスターが湧き出る部屋のことだ。


「ち、ちげえよ! 誤解だ! おれのせいじゃねえ!」


「うるせぇええ! このことはギルドにちゃんと報告する! 冒険者を騙して、殺したってな!」


 負傷した他の冒険者達も、ザックの元へやってくる。


「しかもおまえ、大量の鋼鉄蟻が部屋から出て行ったじゃねえか! 地上に出て大変なことになるぞ!」


「全部ザックの責任だからな!」


 冒険者達に嘘をつき、死傷者をだしてしまったこと。

 さらに大量のモンスターを解き放ってしまったこと。


 それらの責任を、すべてザックが背負うハメになってしまった。


 どれほどの被害額になるかなんて、想像に容易い。


「おいこいつ縛って連れてくぞ! 騎士につきだすんだ!」


「や、やめろぉ!」


 後ずさって逃げようとする。

 だがスキルを失ったザックには、冒険者達に太刀打ちできるわけもない。


 あっという間に拘束される。


「死んでいった仲間達にわびろぉ!」


 ばきぃっ! とザックを殴り飛ばす。


「お……おれは悪くねえ! おれは悪くねえんだよぉ!」


 うずくまったザックを、冒険者達がののしる。


「うるせえこの悪魔! 鬼畜!」

「地獄に落ちやがれこの腐れ脳みそが!」


 そんなふうに、ザックはしばし、ボコボコに殴られた。


「ちくしょぉ……なんで、こんな目に……あうんだよぉ~……」

【※読者の皆さまへ、大切なお願いがあります】


少しでも、

「面白かった!」

「続きが気になる!」


と思っていただけましたら、ブックマークや評価を、是非お願いします!!!!


評価はページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。


今後も皆様に喜んでいただけるような、面白い物語を提供したいと思っています。

是非ともブックマークして、連載追いかけてくださいますと幸いです。


読者の皆さまのポイントが、ものすごく励みになります!


なにとぞ、よろしくお願いします!!!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] ザックの依頼を受けて来ただけの冒険者達が腕を食いちぎられたり死んだりするのは違うような…
[気になる点] ザックもういらない…
[気になる点] 馬鹿ゴミ男は借金返さなきゃ奴隷堕ちですし、逮捕されてたのに何で冒険者に協力を要請できたのですか?矛盾を感じます!あと馬鹿ゴミ男がまだ五体満足なのが不思議です!馬鹿下等生物達がいなくなっ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ