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32話 ミスリルの武器ゲット



 ミスリル鉱脈を見つけたぼくたち。


 地精霊ノーム達が、ぼくらの足下にやってきて、ペコペコと頭を下げてきた。


『どうやら魔銀竜ミスリル・ドラゴンに意地悪されてたようじゃな。助けてくれてありがとうじゃと』


 カレンが精霊の言葉を通訳してくれる。


 ノーム達はぼくの足をくいくいと引っ張る。


「どうしたの?」


 もじもじ、と顔を赤らめて何かを言いたげにしていた。


『そなたと契約したいそうじゃ』

「そっか。じゃあ、友達になろうよ!」


 ノームはスッ……と手を伸ばしてくる。

 ぼくも手を出そうとして、大きすぎるかと考え直し、小指を差し出す。


 きゅっ、とノームがぼくの指を握った。


========

地精霊ノーム】の精霊核エレメントを獲得しました。


【地精霊のスキルS】を獲得しました。

→スキル【武器生成】を入手しました。

→etc.……


========


「武器生成って、武器が作れるの?」


 ノームは胸を張って、ぽんっ、と手で胸をたたく。


『お礼に全員分のミスリルの武器を作ってくれるそうじゃよ』


「ほんとっ? じゃあお願いできるかな?」


 ノーム達はうなずくと、近くにあったミスリル鉱石に集まる。


 どこからかハンマーを取り出し、ポコポコとたたき出す。


 土煙が発生し、それが収まる。


 彼らは複数人で、【片手剣】を持ち上げていた。


 ちょこちょこと歩いて、アスナさんのもとへ近づく。


「わたしにくれるの?」


 うんうん、とノーム達がうなずく。


「ありがとう♡ 大事にするわねっ!」


 アスナさんは剣を手に取る。

 刀身が魔銀でできている。


「すごい……今まで使ってきたどんな剣よりも軽い。それに……」


 近くにあった、大きめのミスリル鉱石に近づく。


 すっ……と、刃を鉱石の上にのせる。

 それだけで、縦に両断された。


「な、なにこれ……全然力入れてなかったのに、ミスリルを溶けたバターみたいに斬れたわ!」


「も、もの凄い剣だね……」


「ありがとう、ノームちゃん♡ これ、とってもいい剣ね!」


 いえーい! とノーム達がハイタッチしあう。


『ノームは手先が器用で物作りを好む精霊です。作ったものを褒められてうれしかったのでしょう』


「なるほど……じゃあ、ティナにも何か作ってあげて」


「あ、アタシっ? いいの……? ミスリルの武器や防具って、ものすごい値段するのに……」


 ジッ……と複数のノーム達が、ティナに期待のまなざしを向けてくる。


「ほら、ノーム達も注文してほしがってるよ。遠慮なく言ってみなよ」


「じゃあ、短弓、それに使う矢が欲しいかな」


 地精霊たちは、ポコポコとハンマーでたたくことしばし。


 注文通りのものを、ノーム達が運んできた。


 ティナはそれらを受け取って、目を丸くする。


「なにこの弓……魔力の伝導率が桁違いだわ」


 短弓を手に取る。

 試し打ちとして、軽く矢を放つ。


 いくつも立ち並ぶ鉱石を、容易く打ち抜いていき、さらに頑丈な迷宮の壁すらも射貫いていた。


「なんて桁外れの弓矢なの……すごすぎるわ……」


 驚愕するティナの表情を見て、ノーム達がご満悦の表情を浮かべる。


「けどこんなすごい武器、こんな短時間で普通に作れるものなの? スキルの効果があってもおかしくない?」


 ティナが不思議そうに首をかしげる。


『エレンの力じゃ。精霊使いはスキルの効果を底上げするからのぅ』


「なるほど、武器生成スキルがエレンの力で強化されたから、あんな短時間で武器が仕上がったのね……さすがエレンだわ」


「すごいわエレン! 本当になんでもできちゃうのね!」


 2人から褒められて、ぼくは気恥ずかしかった。


 くいくい、とノームがぼくのズボンの裾を引っ張る。


『エレンよ。ノーム達はそなたの武器を作りたがっているぞ』


 いつの間にかノームの数が増えていた。


 みんな腕まくりしたり、ハンマーを素振りしたりしている。


「ノームちゃんたちはエレンの武器が作りたくて仕方がないのね。すごいわ、こんなにも精霊に愛されるひと初めて見た」


「ええっと、武器、武器かぁ……」


 うずうず、とノーム達がぼくの返答を今か今かと楽しみにしている。


「正直ぼく、武器ってあんまり、使わないんだよね」


 風刃の剣は、風でできた剣だし、不死鳥の攻撃はどれもカレンの炎でできている。


 ノーム達は円陣を組んで、ごにょごにょぼしょぼしょ、と相談する。


 ややあって、散らばっていった。


『どうやら作る武器のイメージができたようじゃな。しばし待たれよとのことじゃ』


 ぼくらは座って、武器ができるのを待った。


 そのあいだに、これからのことを話し合う。


「ミスリル鉱脈のことだけど……ギルドにどう報告しようか」


「そうね……見たまま報告するのは、ちょっとね」


「これだけの量に質の魔銀の鉱脈よ。悪い業者がウワサを聞きつけたら、あっという間に掘り尽くされちゃうわね」


 よく見ると、ミスリル鉱石のあちこちで、ノームたちが遊んでいた。


「ここはノームの遊び場なんだ。もしギルドに報告したら……」


 掘り尽くされてしまって、ノーム達が遊ぶ場所を失ってしまう。


 それは、可哀想だった。


「ねえふたりとも。今回の依頼なんだけど……鉱脈のことは報告しないでおこうよ」


「エレンの言う通りね。そっとしてあげましょう」


「まったく、あんたってほーんと優しいんだから。そこが……まぁ素敵なところだと……思うけどね」


 ぼくらは全員一致で、ミスリル鉱脈をこのままに、誰の目にも触れさせないことに決めた。


 もちろんぼくらだってもうここへ来ないつもりである。


『さすがエレンじゃ♡ 精霊たちのために宝の山をそのままにするなんて、誰にもできることではないぞ♡』


 ややあって。


 ノーム達が、ぼくの武器を完成させたようだった。


「これって……指輪? これが武器なの?」


 ノーム達が自信満々にうなずく。

 とりあえずハメてみよう。


『エレンよ。ノームから使い方はレクチャーを受けた。まずは風神の剣を使うのじゃ』


 ぼくはスキルを発動させる。


 いつもなら、ぼくの手の中に風が圧縮して、実体のない剣ができる。


 カッ……! と指輪が翡翠に光る。


 新しい形の、風神の剣が出現した。


 美しいミスリルの剣だ。

 けど刀身をよく見ると、今まで以上に高密度の風が圧縮しているのがわかる。


「すごい……この指輪、武器に変形するんだね!」


『しかもスキルを補助・強化する効果もある。エレンよ、次は不死鳥の火矢じゃ』


 指輪に力を込める。

 すると今度は、紅玉の、実態のある弓へと変わった。


 ぼくは弦をひくと、圧縮された紅蓮の矢が出現する。


 矢を放つと、天上にぶつかり……そして、激しい爆音を立てた。


「す、すごすぎるわ……魔銀竜をたおしたときより、威力が上がってるじゃないの……!」


「頑丈な迷宮の天井を、射貫くなんて!」


 見上げると、何層にもわたって迷宮を覆っていた天井が、すべて壊れていた。


 青空がここから見える。


『その指輪は、精霊使いとしての力を底上げする効果を持ち、さらにあらゆる武器に変形するみたいじゃな』


「そんな武器聞いたことないわ! すごいわエレン! あなたにぴったりの最高の武器ね♡」


 ぼくはしゃがみ込んで、ノーム達にお礼をする。


「本当にありがとう、みんな! 最高だよこれ!」


 わっ……! とノーム達が万歳三唱したり、テンション高くダンスしたりする。


 ややあって。


「素敵な武器をありがとう、みんな」


 ぼくらは帰り支度を整えて、転移の魔法陣のところにいた。


 ノーム達が別れを惜しむような表情を浮かべる。


「大丈夫、ぼくらは繋がっているから!」

 

 うんっ、とノームたちがうなずく。


「じゃあねみんな!」


 手を振って、ノーム達と別れたのだった。


    ★☆★


 テイマーのエレン達が去った後。


 大きなミスリルの鉱石の影から、ぬっ……と誰かが出てきた。

 

「うひゃひゃ! エレンやつの後をつけてきて正解だったぜぇ!」


 そこにいたのは、元パーティリーダーの……【ザック】だった。


「宝の山を前にして帰るとかバカだなぁアイツぅ! ぜぇんぶ取り放題じゃあないかぁ!」


========

精霊使いへの敵対行為を感知しました。


ザックへのペナルティを実行します。

========

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[一言] 懲りないザック教会に強制して働かすことを推進します
[気になる点] ワンコが気付かないはずがない矛盾
[一言]  ザック・・・・またお前かー!!!
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