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27話 エルフの里、崩壊


 テイマーのエレンが、新パーティを結成してから、1週間が経過した。


 ティナを追い出した里長、および彼の治めるエルフの里は……壊滅状態にあった。


「クソッ! なにが! いったいなにがおきているのだぁッ!」


 里長は自分の屋敷で、髪の毛をかきむしっていた。


 美しかったさらさらの髪は抜け落ち、目の下には大きな隈ができていた。


「連日続いた大雨と洪水! それが終わったと思ったら急に猛暑! その後に突如虫が大量発生し、今度は疫病が流行るだと!?」


 エルフの里は、未だかつてないほどの、不幸の連続に見舞われていた。


「まさかこれも精霊使いの不興を買ったからか……? 恐るべき、力だ……!」


 ガリガリガリ! と里長は自分の頭をかく。


 髪の毛が抜け落ち、ひっかきすぎで頭皮がめくれて血がついている。


「魔法が使えないのが痛すぎた。天災に対してただ翻弄されるしかなかった……! くそっ! くそっ!」


 精霊に嫌われてしまったため、里の人間は全員が魔法を使えない。


 洪水を結界で防ぐことも、疫病を治癒することもできないのだ。


「里長ぁ! 大変です!」


 里長補佐が、血相を変えて飛び込んでくる。


「今度はなんだぁ……!?」


「里の皆が、屋敷の前に集まっています!」


 嫌な予感を覚えた。

 里長はこっそり窓の近くに行き、外の様子を見やる。

 

「里長をだせぇ!」

「この状況を説明しろぉ!」


 エルフの民達、全員が怒りの表情を浮かべていた。


「……まずいまずいまずい! この状況に、民達の不満が爆発している!」


 これだけ不幸が連続して起きているのだ。

 民達が不安と不満を感じるのも、無理からぬ話だった。


「補佐よ……わしはしばし身を隠す。後のことは任せた!」


 里長は隠し持っていた魔宝石を取り出す。

 これには転移の魔法が封じられていた。

 

 それを発動させて、逃げようとする。


 ガシッ……!


「な、なにをする!?」

「里長。そんな横暴が通じると……本気でお思いですか?」


 補佐の瞳には、明確な怒りの炎が浮かんでいた。


 里長は悟った。

 この補佐もまた、外の民達と同様に、不満と怒りを抱いているのだと。


「さぁ外に出て! 説明が先です!」

「は、離せ! いやだ! 離せぇえ!」


 ずりずりと引きずられながら、補佐は里長を連れ、屋敷を出る。


「里長が出てきたわ!」

「おいこの状況をさっさと説明しやがれぇ!」


 大勢のエルフ達が、怒声を浴びせる。


「お、落ち着け! 落ち着くのじゃわが愛する領民達よ! まずはわしの話を聞け!」


 いったん、エルフの民達が黙る。


「……このたびの天災は、誰にも予想できないものであった。それをみなの協力があって、今は小康状態にあるといえる」


 ……里長は、事実を隠したのだ。


 確実にこの天災は、精霊使いを怒らせたことに因るペナルティ。


 ならばその責任の所在はどこにあるか?

 ……言うまでもない、エレンを怒らせた、里長だ。


 だがバカ正直に話せば、どうなるかなんて火を見るよりも明らかだ。


 ゆえにこの災害は人為的なものではない、と責任逃れをしたのである。


「みな、苦しい局面だろうが、力を合わせて乗り切ろうではないか!」


 しーん……。


 誰ひとりとして、里長に賛同するものはいなかった。


「ふざけるなぁ!」


 ガツンッ! と石を投げられる。


「な、なにをする!?」


「それはこっちのセリフだ!」

「私たち知っているのよ! 精霊使い様を、あんたが怒らせたってこと!」


 さぁ……と里長の血の気が引く。


「な、なぜそれをっ?」

「わたくしが公表いたしました」


「補佐ァ! 貴様なんで余計なことを!」


 里長補佐は、里長を憎々しげににらんでいう。


「あんたが責任逃れをするのはわかっていたよ。罪には罰だ。しっかり償ってくれよ」


 ゲシッ……! と補佐が里長を蹴り飛ばす。


「ぶべっ!」


 ずしゃっ、と顔から地面に激突した。


「みんな聞け! こいつが精霊使い様を怒らせた! 天災はそのせいでおきた! 魔法が使えないのも、全部こいつが悪いんだ!」


 補佐の言葉に、ビキッ……! とエルフの民達が、額に青筋を浮かべる。


「ふざけんな! 死ね!」

「全部アンタのせいじゃない!」

「嘘つきやがって! 最低の屑が!」


 民達は倒れ伏す里長を、蹴ったり殴ったりする。


 魔法は使えない、だからこその物理的な手段による制裁。


 それは……自分たちが見下していた、猿とやっていることは同種だった。


 とても、魔法を使う、尊き種族だったとは思えない。


 みな血走った顔で、腹いせのように、里長に殴る蹴るの暴行を加える。


「くくくっ……! いいぞぉやれやれ! こいつが死ねば次の里長はおれのもんだ……!」


 里長補佐が邪悪に笑う。


 そう、すべては補佐の思い描いたシナリオだった。


 補佐は、エレン達がいたあの場に居合わせていた。


 弱体化の原因が里長にあることを悟った補佐は、それを利用して、自分が権力者になることを画策したのである。


「や、やべ……やべでぐれぇ……」


 瀕死の状態の里長が、救いをもとめるように手を伸ばす。


 だがその手を掴むものは居ない。

 彼をかばうものもまたいない。


 みな天災と疫病によるストレスを発散させようと、里長に暴力を振るった。


 それですべてが解決するわけではないのに。

 

 そんなことするくらいなら、エレンのもとへゆき、頭を下げればいいものを。


 里長が事切れるまで、エルフの民達は暴行を続けた。


 ……その後、エルフの里の民がどうなったのか。


 彼らの行方を知るものは誰も居ない。


 ただ、かつては魔法と自然美が一体化した美しい都は、跡形もなく川に流されていたこと。


 また、エレンの元に謝りに行ったエルフが、ひとりたりとも居なかったこと。


 その2つだけは事実であり、彼らの行く末は推して知るべしだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] エレンに「ゆるせない」といわれたり思われただけで、その対象が不遇に見舞われるとか、最強!そのスキル 欲しい!
[気になる点] 判断力がなかったりティナに会ったこともないような赤ん坊や子どもも犠牲にするって覚悟もなしに力が自動行使されてるけど、後から知ってこの性格で精神もつのかな。
[一言] 怖い
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