202話 争いの終わりと新たなる始まり【後編】
ぼくは逃げ出した息子の【シンラ】を探しに、精霊界の端へとやってきた。
なんでここなのか?
答えは簡単だ。
「もう、シンラはまた……」
精霊界には、侵入者を防ぐ強固な結界が張られている。
これは霊王の力を使って作ったので、常人には壊せない。
なんだけど……。
「普通に壊れてるよね」
巨大な穴があいていた。
「エレン!」
「ルルイエさん」
慌てた調子で、ルルイエさんが追い掛けてきた。
「こ、これは……?」
「たぶんシンラが壊したんじゃない?」
「精霊王の力で作った結界を壊すなんて……なんてパワー……」
「あの子は一番、ぼくらの力を強く受け継いでいるからね」
母である精霊王、そして父である勇者。
さらに、アドラ父さんから剣術、カルラ母さんから体術を習っていた。
「それで、あの子は?」
「たぶん地上に遊びに行ったんじゃない?」
「んなっ!? え、エレン! 大変じゃないか! あんな化け物野放しにしたら、地上が大混乱になるよ!」
今すぐ追い掛けようとするルルイエさんの肩を、ぼくは掴んで止める。
「まあまあ。いかせてあげようよ」
「エレン……いいのかい?」
「うん。シンラには、常識を身につけさせなきゃって思ってたし。それに、ずっと精霊界に閉じ込めておくのは可哀想だよ」
常々、シンラは言っていた。
『僕、地上にいきたい! 冒険者になって、父さんみたいな英雄になるんだ!』って。
気恥ずかしいことこの上ないけど……。
でも、子供の自由を、親であるぼくが縛り付けたくないんだ。
「わかった。エレンの意思を尊重するよ」
「ありがとう、ルルイエさん」
ぼくたちは空を見上げる。
星を覆っていた魔竜はなく、人々を支配しようとしていた神の姿もない。
自由な青い空を、新しい時代の担い手達が、誰に縛られることなく飛んでいる。
「エレンのおかげだよ」
「ううん、ルルイエさんのだよ」
ぼくらは笑い合って、唇を重ね合わせる。
「えーれーん♡」
振り返ると、アスナさんとティナが、笑顔で近づいてきた。
……若干笑顔が、こわい!
「なぁに抜け駆けしているのかしら?」
「いいじゃないか。昨日はエレンを貸してあげたんだからっ!」
アスナさんとルルイエさんが言い争いをしている。
ティナがやれやれ、とため息をついた。
「平和だなー……」
でもそんな平和が、一番だってぼくは思う。
「エレン! 帰るよ! 今すぐ子作りを!」
「だめよエレン疲れてるんだからっ。ご飯作ったから一緒に食べましょう!」
みんなが笑顔を浮かべている。
ぼくは……それが嬉しかった。
皆が自由に、明るく、笑っていられる世界を作るために頑張れたことが……とても誇らしい。
「かえろっか、みんな!」
「「「はーい!」」」
ぼくは振り返って、出て行ったシンラに向かって思う。
願わくば、元勇者が作った世界で、息子が楽しく暮らせますように。
世界が、いつまでも、平和でありますように!
もうちょっと続きます!
引き続きよろしくお願いします!
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