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201話 みんなのもとへ【後編】


 勇者エレンの帰りを、アスナは地上で待っていた。


「エレン、大丈夫かしら……?」


 ハーフエルフのティナが、不安げな表情で空を見上げる。


 魔竜となったクトゥルーを倒すため、エレンはルルイエとともに地上を離れた。


 それからは、驚くほど静寂が続いていた。

 何が起きているのか、自分たちにはわからない。

 だが、スキルや魔法が使えなくなったこと。

 そして、カレンやランといった、精霊達が消えてしまったこと。


 精霊の力を使って、最後の戦いを挑んだことだけはしっていた。


「大丈夫よ、ティナ」


 アスナは微笑む。

 その瞳には一点の曇りもない。

 

「エレンは帰ってくるわ。皆を幸せにして」

「ったりめえだろ」


 エレンの母カルラは、ニッと笑って、ティナを抱きしめる。


「うちのベイビーは、最強の母と、最強の親父を持っているだからよぉ。な、だーりん?」


 ティナ達が振り返ると、そこには風の精霊にして、エレンの父アドラがいた。


「あ、アドラさん!」

「わしらもおるぞ」「奥方様がた!」


 アドラにカレン、そしてラン。

 消えていったはずの精霊達が、一足先に地上へと戻ってきたのだ。


「じゃ、じゃあ……!」

「ええ。ほら、ティナ。見て!」


 アスナたちが頭上を見上げる。


 遙か上空から、無数の流星が、地上にめがけて降り注いでいる。


 星の一つが、ティナの体に入る。


「魔法の力が戻ったわ……!」

「ほらみたろ? うちのベイビーはすげえやつなんだぜ?」


 カルラが誇らしげに笑う。


「何を言ってるのですカルラ。私たちの、でしょう?」


 アドラは微笑んで、妻の肩を抱く。


 見上げる先には、自分たちの息子が、笑顔で降りてきた。


「アスナさーーーーん! ティナー! みんなぁーーーーーーーーーー!」


 まばゆい光の翼を纏いながら、勇者エレンが、手を振って降りてくる。


「「「エレン……!」」」


 彼の仲間達が、笑顔でエレンの元へ駆けつける。


 アスナの胸の中に、エレンが飛び降りてきた。


 霊装を解いたエレンと、アスナとが、抱き合って笑う。


「おかえりなさい、エレン……!」


 その笑顔を見れば、どういう結末を迎えたなんて一目瞭然だ。


 古今東西、勇者は魔王を倒して、笑顔で帰ってくる物だから。


 だから、エレンは多くを語らず、みんなにこう言ったのだ。


「ただいまッ……!」

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