197話 希望の勇者と孤独な未来神【前編】
ぼくはルルイエさんを救い出し、現世へと戻ってきた。
夜の草原にて。
クトゥルーと、カルラ母さん達が、力を合わせて、時間を稼いでいてくれた。
「母さん!」
「よぉエレン、ルルはばっちり、回復した見てえだな」
ルルイエさんを助けるために、母さんを始めとした、みんながクトゥルーの相手をしてくれていたのだ。
「エレン……くそ! くそぉおおおおおおおおおおお!」
クトゥルーは憤怒で顔を真っ赤にしながら、憎悪に満ちた目を僕に向ける。
「どぉおおおして! いつもいつもいつもぉ! 僕を邪魔するんだよぉおおおおおおおおおおおおお!」
怒りのオーラは炎となって、周囲を焼く。
ぼくは聖なる炎でそれを防ぐ。
「クトゥルー、君が間違っているからだ」
霊王の鍵を手に、僕はクトゥルーの前に立ち塞がる。
「自分にとって都合の良い世界を作り出すなんて間違っている。精霊王の力は未来を想像する力。この世界に住んでいる、みんなの未来を作る力だ」
鍵を、僕はクトゥルーに突きつける。
「自分だけのために、使って良い力じゃない!」
「この……クソ勇者ぁああああああああ!」
吹き荒れるその莫大な魔力は、ルルイエさんが本来持つもの。
けれどぼくにはあの力はない。
けれど、僕にはルルイエさんが、母さんが、アスナさんが、父さんが……みんながいる。
「ケリをつけよう、クトゥルー!」
「かかってこい! どちらが正しいか、証明してやる……!」




