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196話 贖罪【後編】


 精霊王ルルイエのもとに、勇者エレンが助けに来た。


 暗闇の中で輝く、エレンの不死鳥の翼。


 それをかがり火として、【彼ら】が集う。

「きみ……たちは……まさか……ザック?」


 ルルイエが目を剥く。

 そこにいたのは、ザックやディーナを初めとした、彼女が制裁を加えていった者たちだった。


「信じられない……どうして? どうやって?」


「守護天使の姉ちゃんがよ、おれらの魂を、呼び寄せてくれたんだ」


 死んだもの、永劫の苦しみを与えられたもの、異世界に飛ばされた物……。


 彼らの魂を、サンダルフォンがかき集めてきたのである。


「なんで、君はそんなことを……?」


 エレンの隣には、守護天使サンダルフォンの魂もあった。


「ふくろうさんに、言われたんです。この先、必要になる展開が必ず来るからって」


「そんな……ふくろうが……どうして、僕のために……?」


 ふくろうの少女は、ルルイエが生み出した仮初めの命だ。


 カルラの死を嘆き、なんとか復活させられないかと作り上げた。


 しかしカルラの人格が宿らず、生み出しただけでポイ捨てした。


「恨まれても良いはずなのに……どうして……?」


 その言葉は、この場に集まったものたちと、この場にいないふくろうの少女に向けられた物。


「ルルイエさん……だっけか。あんがとな」


 ザックが、精霊王に頭を下げる。


「おれは、間違ってたよ。大事な仲間を、死地に放り出して自分だけ助かろうとするのは、間違ってたよ……」


 ザックを皮切りに、みな精霊王に温かな言葉をかけていく。


「元の世界でまた母ちゃんに会うことができたよ」

「異世界に来て増長してた。おれが間違ってたよ」


 転生者達は、己の行いを悔いていた。

 そのほかの悪人達も、ルルイエからの裁きを受けて、みな痛みとともに自らのあやまちを痛感させられたのだ。


「でも……それは……君たちのためじゃなくて……エレンに好かれたいがためにやったことで……やっていることは……クトゥルーと一緒なんだ……」


「ううん、違うよルルイエさん。あなたは、クトゥルーとは違うよ」


 エレンは微笑んで、彼女を抱きしめる。


「あいつは完全に、強い力を自分のためだけに使っていた。けど、ルルイエさんは違う。僕のために使ってくれていた。それは結果的に、間違えを犯した彼らを正す行いに繋がっていた」


「エレン……」


「ルルイエさん。一緒に謝ろう?」


 エレンとともに、ルルイエは深々と頭を下げる。


「みんな……ごめん。ごめんねぇ……」


 するとザックを初めとした、罰を受けたものたちは、晴れ晴れとした表情でうなずく。


「「「「もういいよ」」」」


 彼らの言葉を聞いた瞬間、ルルイエをむしばんでいた、怨念達はかき消える。


 残されたのは、ルルイエとエレン、そして彼女のために集まった者たち。


「さぁ……ルルイエさん」

「ああ……行こう! エレン!」


 エレンとルルイエが、唇を合わせる。

 その瞬間、彼女たちを包み込んでいた闇が、まばゆい光によって浄化される。


 闇を祓い、そこにいたのは……純白の衣装を身に纏う、勇者エレンの姿だった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 思った以上に良い話だった。 ルルイエのことはどうあっても許されないだろうと思っていたが、これもエレンの人格のなせるわざか。 [一言] ラストまで突っ走ってください!
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