表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/263

20話 Sランクの証明



 吸血鬼のアビーと契約したぼくは、【トーカ】冒険者ギルドへと戻ってきた。


 ぼくらは受付へと向かう。


「お帰りなさいませエレン様、アスナ様」


 受付嬢さんが出迎える。


「ナルシス様、今回のエレン様たちのクエストはどうだったでしょうか?」


 ナルシスさんはぼくらの監督役だった。


「そりゃあ見事なものだったヨ! 素晴らしい活躍っぷりだったネ!」


 アビーとの戦闘後から、ナルシスさんはぼくへの態度を180度変えていた。


「特にエレンくんはまさに逸材! Sランクパーティに……いいやぁ、Sランク冒険者にふさわしい力を持っていたネ!」


「そんなにですかっ! す、すごい……」


 驚愕の表情を、受付嬢さんがぼくに向ける。


『この女はなにを驚いておるのじゃ?』


『ソロでのSランク冒険者は限られたひとしかなれないのですよ。街に1人いれば、トップギルドの仲間入り確実です』


『ほぅ、さすが犬。地獄耳じゃな』


『犬ではなく忍! かみ殺しますよこの焼き鳥!』


 ぼくはランの背中をなでる。


『わふーん♡ あぁん、若様~もっとなでて~♡』


 そのあいだに、ナルシスさんが、今回の認定クエストの経緯を、受付嬢さんに報告する。


「ということで、エレンくんは吸血鬼をテイムしたわけだヨ」


「そんな……今まで誰が挑んでもかなわなかった吸血鬼を、倒すだけじゃなくて従えるなんて……それが真実なら、すごすぎます……」


 動揺する受付嬢さん。


「彼の冒険者としてもテイマーとしての実力も相当なものだ。すぐにSランク認定の手続きを……」


 と、そのときだ。


「そんなの俺様は信じねぇぞぉ!」


 ガタイのいい男冒険者が、ぼくらのもとへとやってきた。


「キミは……たしかAランク冒険者の【ノーキンス】くんだったかネ?」


「おれさまは納得いかねえ! こぉんなひょろガリがよぉ? おれさまより上のランクなんてよ!」


 ノーキンスさんはぼくを見下ろして、小馬鹿にするように鼻を鳴らす。


「キミは、このナルシスの判断が間違っている……と言いたいのかネ?」


「あったりめえだろ! 見ろよこの筋肉! この素晴らしい肉体美を!」


 むんっ! とノーキンスさんが腕を曲げる。


 腕の筋肉が、ボコッと隆起した。

 わわ、すごい……。


「このおれさまが何年頑張ってもSになれねえのに、てめえやそこのガキがSになれるのはおかしい!」


「しかしダネ……事実彼は吸血鬼と戦い下している。キミが敗北した相手じゃなかったカネ?」


 うぐっ、とノーキンスさんは言葉を詰まらせる。


「ま、負けてねえ! あんときは体調が悪くて帰ったんだ! ちゃんと戦ってれば勝ってたぜ!」


 ノーキンスさんは吸血鬼に挑みにいったけど、ナルシスさんみたいに部屋の中に入れなかったのかな。


「ともかくおれさまは、こんな女みたいなガキを認めねえ、ぜってえ認めねえからよ!」


 ノーキンスさんが、ぼくの髪の毛を掴んでくる。


「ちょっとあなた! いい加減にして」


 アスナさんがノーキンスさんの手を払う。

「あぁ!? なにしやがるこのクソアマぁ!」


「大の大人が感情的になって、子供に声を荒らげたり、手を上げたりするのは最低よ!」


「うっせぇえええ! てめえら全員ぶちのめしてやるぅうううう!」


 ノーキンスさんは背負っていたハンマーを持ち上げる。


 先読みスキルによると、それでアスナさんを攻撃するつもりみたいだ。


 なんてやつだ!

 ぼくは風神の剣を取り出し、素早く一閃させる。


「この必殺のハンマーを受けて見やがれぇええええ!」


 スカッ……!


「はーっはっは! どうだこの威力ぅ! って、ぇぇえええ!? 先端部分どこいったぁ!?」


 ハンマーは風の刃に斬られて、地面に落ちている。


「てめえガキ! いつの間に!」


「アスナさんには指一本触れさせないぞ!」


「くそこの……調子乗りやがってぇえええええ!」


 殴りかかってくる拳を、先読みスキルで見切る。


 体勢が崩れたところを、足を払う。


「ぶべっ!」


「おお! 見事な体運びじゃないか! すごいぞエレンくん!」


「ちくしょぉ……恥かかせやがってぇ! こうなったらスキルを……!」


 そのときだった。


 すこここんっ、と彼の体のラインに沿うように、無数の影の槍が突き刺さった。


「うひぃいいいいい!」


 ぼくの前には、アビーが不機嫌そうな顔で立っていた。


「えれんをいじめる、おまえゆるさないの」


 アビーの目が深紅に染まる。


「影を操るスキル……それに深紅に染まる瞳! ほ、本物の吸血鬼だぁ!」


 受付嬢さんも、周りのみんなも、アビーを見て恐怖していた。


 な、なんだか大事になってきた……。


「ひぎぃいい! ご、ごめんなさいぃいい!」


「ゆるさないの。おまえはえれんを殴ろうとした……ぜったいぜったい許さないの!」


 巨大な影の槍が出現する。

 それは超高速で回転し、ぼくが止める暇もなく、射出された。


「嫌だぁあああ! 死にたくないぃいいい!」


 ぼくはノーキンスさんの前に立ち、風神の剣で、影の槍を一刀両断する。


「アビー! やめて!」


 彼女の瞳が、元の色に戻る。


「ごめんなさいなの。えれんを攻撃するつもりは……なかったの」


 しゅん、とアビーが肩を落とす。


「ぼくのために怒ってくれたのはわかったから。ありがとう。でも人間をむやみに攻撃しないこと。約束して?」


「わかったの。えれんの言うこと、なんでも聞くの」


 良かった……事故にならなくて。


「す、すごい……すごすぎる!」


 受付嬢さんがぼくに近づいて、興奮気味に言う。


「吸血鬼を従えるテイマーなんて、前代未聞ですよ!」


「「「おおー……!」」」


 冒険者さんたちがぼくにキラキラした目を向けてくる。


「それに今の戦闘! さらにその高潔な精神! まさに最高峰の冒険者にふさわしい! ですよね、みなさん!」


「「「そうだそうだ!」」」


 な、何だか知らないけど……認められたってこと、かな?


「エレンさまぁあああ!」


 ノーキンスさんが泣きながら、ぼくにペコペコと頭を下げる。


「命を助けてくださりありがとうございますぅう! 調子に乗ってすみませんでしたぁ!」


 予想以上に大事になっちゃったけど、とにかく、ぼくはSランクに認定されたのだった。

【※読者の皆さまへ、大切なお願いがあります】


少しでも、

「面白かった!」

「続きが気になる!」


と思っていただけましたら、ブックマークや評価を、是非お願いします!!!!


評価はページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。


今後も皆様に喜んでいただけるような、面白い物語を提供したいと思っています。

是非ともブックマークして、連載追いかけてくださいますと幸いです。


読者の皆さまのポイントが、ものすごく励みになります!


なにとぞ、よろしくお願いします!!!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ナルシスさんといい、ノーキンスさんといい、この街の冒険者みんな好きだわw あと脇役冒険者の名前が安直なのがけっこう好き
[一言] テンプレに溢れる世界 これも悪くないのじゃ 作者さん頑張るのじゃ 応援しておるぞ。
[一言] この世界の上級冒険者はキ〇ガイしかなれないんじゃないかってぐらいみんなすぐに手を出してくるな。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ