表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/263

19話 吸血鬼との契約


 棺桶の中で眠る、吸血鬼の少女。


 しばらくすると、パチッ、と目を覚ます。


「…………」


 寝ぼけ眼で、ぼくを見やる。

 スッ……と手を伸ばす。


『若様はわたしが守るっ!』


 ぼくの前にランが飛び込んできて言う。

 だが吸血鬼少女は、手を上げる。


「おはよう……なの」

「う、うん……おはよう」


 よいしょ、と少女が起き上がる。


 くぁ、とあくびをした。


「あなた……誰なの?」

「ぼくはエレン。冒険者。君は?」


「【アビゲイル】。アビー……なの」


「アビー……。君はここで何をしてたの?」


「寝てたの……空腹をまぎらわせるためなの」


 話を聞いてみると、どうやらアビーは吸血鬼の末裔。


 現在吸血鬼はほとんど生き残っておらず、この国ではアビーしか居ないそうだ。


「人間怖いの。吸血鬼だとわかるとすぐに集団でボコってくるの。でもお腹すくの……だから寝てたの」


『吸血鬼の食事は、人間の体液に含まれる魔力じゃ』


 食事である血液は、人間からしか摂取できない。


 でもアビーは寝て空腹をごまかしていたっていっていた。


「じゃあ、ここで人を襲っていたわけじゃないんだね」


「そんなことしないの。余計お腹すくの……」


 ぐぅう~……と彼女のお腹が鳴る。


「しゃべったらカロリー使ったの……」


 くらり、と彼女が寄りかかってくる。

 

「だ、大丈夫?」

「もうだめ……ママ……アビーは空腹で死ぬの……」


 人を襲っている悪い子じゃなさそうだ。

 空腹で困っているなら……助けてあげたい。


「アビー。よければぼくの血、吸ってもいいよ?」


「いいの……?」


「お腹すかせてる子を、ほっとけないよ」


 ぼくは人差し指の腹をかみきる。


 じわ……と指先に血が出る。


「すんすん……! とっても……いいにおいなの……♡」


 アビーがぼくの人差し指を、しげしげと見やる。


「こんなのはじめて……とっても美味しそうなの……ぱくっ♡」


 指を口に含むと、ちゅうちゅう、と赤ちゃんのようにしゃぶってくる。


「♡」


 アビーの目がトロンととろける。

 夢中になって、彼女が血を吸っている。


『ちょっとあなた! いつまでそうしているのです!』


『そうじゃ! 離れろ! 愛しのエレンからどれだけ血を吸うつもりじゃあ!』


 オオカミとヒヨコが、ぐいぐいと吸血鬼を引き剥がす。


「あーん。もっともっとなのぉ~……♡」


 うっとりとした表情で、アビーが手を伸ばす。


 ぼくの腰に手を回すと、そのままぐいっと引き寄せる。


「わぷっ」


 むにゅっ、と彼女の胸に顔が当たる。

 気づかなかったけど、この子……幼い見た目に反して、胸が大きい。


「もっとほしいの……♡ いっぱい吸わせてほしいの……♡」


 あーん、とアビーが口を開く。

 ぼくの首筋に、口をつけようとする。


『そーーーーい!』


 ランが凄まじい勢いで、横からアビーに突進する。


 アビーは吹っ飛ばされて、壁に激突した。


『若様は渡しません!』

『よくやったぞ犬ぅ!』


 カレンがランの上でピヨピヨと歓声を上げる。


「だ、大丈夫!?」


「へっちゃらなの、これくらい」


 壁から降りて、アビーがぼくの前までやってくる。


「ごはんありがとうなの。それと……勝手に血を吸おうとして、ごめんなさいなの」


「う、ううん……気にしないで」


 ほんと、悪い子じゃなさそうだ。


「じー」

「な、なに?」


「血、もっともっと欲しいの」

「う、うん……いいよ」


 ぼくたちは座る。

 アビーは指をちゅぱちゅぱ、と夢中にしゃぶっていた。


「デリシャスなの……♡ こんなおいしい血は初めてなの……♡」


「ねえカレン。どうしてアビーはぼくの血をこんな美味しそうに飲むの?」


『こやつも精霊じゃからな』

「精霊……? 吸血鬼だよね?」


 カレンの体が燃え上がる。

 人間の姿になる。


「吸血鬼も精霊の一種なのじゃ。高位の精霊は人の姿を取る。わらわや……そこの犬もな」


「え? ランも?」


 ランはうなずく。

 彼女の周りに、嵐が巻き起こる。


 そこに居たのは……変わった衣装を着た、美しい大人の女性だ。


「若様を守る【忍】、ラン、ただいま参上いたしました」


 深い藍色の短い髪の毛。

 頭の上からは、犬耳がぴんっと立っている。


 お尻の部分からはふさふさの犬尻尾が生えていた。


「なーにが忍じゃ。肝心なときに何度も倒れよって」


「くっ……! し、仕方ないでしょう! わたしは忍び……諜報員なのです! 戦闘は不向きなのですよ!」


「主人を危険にさらして良い道理にはなるまい。あーあ忍びのくせに主人を何度もピンチに遭わせてあーあ」


「ぬわぁあ! 若様申し訳ございませんぅうう!」


 大人の犬耳お姉さんが、コロコロと地面を転がる。


 あ、良かった。

 ぼくの知ってるランだ。


 急に綺麗なお姉さんになって、ちょっと戸惑ってたんだよね。


「気にしないで、ランはいつも頑張ってるよ。いつも本当にありがとう」


「ああ……! 若様ぁ♡ 好きぃ~♡」


 ばっ、と飛び上がって、ランがぼくに抱きつく。


「むぐ……胸……くるしぃい……」


 ランはカレンに劣らぬ巨乳だった。

 甘酸っぱい果実の匂いがして、くらくらする。


「離れろこの万年発情期のメス犬め」


 べり、っとカレンがランを引き剥がす。


「しょくじちゅーなの。だまらっしゃいなの」


 アビーが不機嫌そうに言う。


「話を戻すが、こやつもまた精霊。わらわたちのような強力な精霊を【大精霊】という」


「大精霊……」


「人型に近ければ近いほど、強力な精霊と言える。なのでこやつは、まあそこそこ強いの」


 確かに。

 アビーは精霊なのに、影の精霊を従えていた。

 

 精霊を使う精霊なんているんだ……すごい……。


「おぬしはいつまでチューチューしておる。そろそろ離れるのじゃ!」


「そうです! ずるい! わたしだってチューチューしたいのを我慢してるのですよ!」


 べり、とお姉さんふたりが、アビーをまた引き剥がす。


「やーん……もっとぉ~……♡」


「まったく、とんだ食いしん坊じゃな!」


「若様お怪我はありませんか! 不肖このランが傷口をペロペロいたしましょう!」


「だ、だいじょうぶだから……」


 さておき。


「これからどうしよう? アビーを討伐するわけにはいかないし」


 ぼんやりとした表情で、アビーが目の前に座っている。


 こんないたいけな少女を殺すわけにはいかない。


「では契約するのはどうじゃ?」


「契約?」


「こやつをテイムしたとギルドに報告するのじゃ。討伐はできなかったが従えることはできた。ゆえにもう安心じゃ……とな」


 なるほど、その方がみんな幸せになれる。


「アビー。ぼくと契約……する?」

「する! するの! 大賛成なのッ!」


========

条件を満たしました。

【吸血鬼】の精霊核エレメントを獲得しました。


【吸血鬼のスキル(SSS)】を入手しました。

========

【※読者の皆さまへ、大切なお願いがあります】


少しでも、

「面白かった!」

「続きが気になる!」


と思っていただけましたら、ブックマークや評価を、是非お願いします!!!!


評価はページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。


今後も皆様に喜んでいただけるような、面白い物語を提供したいと思っています。

是非ともブックマークして、連載追いかけてくださいますと幸いです。


読者の皆さまのポイントが、ものすごく励みになります!


なにとぞ、よろしくお願いします!!!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] つまらん
[一言] 1日二話投稿ありがとうございます! 幸せです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ