13話 事後処理
極大魔法の一撃で、ゴブリンの巣は消し飛んでしまった。
ぼくも、そしてアスナさんも、しばし呆然としていた。
「ああエレン! 素晴らしい炎であったぞ! さすがは不死鳥の主じゃっ♡」
カレンが人間の姿になって、ぼくに抱きつく。
大きな乳房の間に、ぼくの顔が埋まる。
「わふぅん、わんわん!」
ランがのしかかってきて、顔をペロペロとなめる。
『お見事です若様! なんて強さなのでしょう! ああ若様最高でございます』
「え?」
「きゅ、きゅーん。きゃんきゃん♡」
精霊達にむぎゅむぎゅされている一方で、アスナさんが近づいてくる。
「すごいわエレン。どうやってあんな魔法が打てるようになったの?」
「火の最高精霊たる不死鳥の加護を受けておるからな。修練せずとも使えるのじゃ」
「でも極大魔法って魔力消費量がもの凄いって聞いたことあるわ」
「元来エレンは莫大な魔力をうちに秘めておったのじゃ。ただ不死鳥の孵化のために、その大部分を15年間、吸われ続けておったのじゃ」
カレンが生まれたことで、本来の魔力を取り戻したってことなのだろう。
「わんわんっ!」
「ん? どうしたんだい、ラン?」
ランはぼくのそばに座り、んべっ、と舌を出す。
舌の上には、宝石が乗っていた。
「綺麗な宝石……どうしたの、これ?」
ランが鼻先で、ゴブリンの巣があった場所を指す。
「魔力結晶だ……」
「ふむ? なんじゃそれは?」
カレンが興味深そうに見やる。
「文字通り魔力の塊だよ。武器や防具の素材等、ポーションの材料にもなる。色んな用途に使われるから、ギルドで高く買い取ってもらえるんだ」
これは、モンスターを倒せば手に入るものだ。
「込められている魔力の濃度が高いわ。おそらく、ゴブリン王の魔力結晶ね」
「ええっ? た、たしかSランクのモンスター……だよね? どうして……?」
「極大魔法によって倒されたのね。つまり、これはあなたのものよ、エレン」
アスナさんがぼくに、ゴブリン王の魔力結晶を渡してくる。
「こんな高価なもの……どうしよう。誰かに取られたら困るなぁ」
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状況打破に適した精霊が呼び出されます。
スキル【アイテムボックス(無限)】を入手しました。
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精霊使いの力で、また新しいスキルを手に入れた。
ぼくはスキルの発動を念じると、目の前に黒い四角が出現する。
「ここにいれれば……いいのかな?」
ゴブリン王の魔力結晶を、四角の上で落とす。
その中に入ると、跡形もなく消えた。
「え、エレン……? あなた……アイテムボックスのスキルを手に入れたの?」
アスナさんが、目をむいて言う。
「え、うん。それがどうしたの?」
「ど、どうしたのじゃないわ。アイテムボックスのスキルと言えば、一握りのひとしか持てない超レアスキルよ!」
冒険者になって日が浅いぼくは、スキルにあまり詳しくない。
一方でアスナさんは先輩冒険者だ。
スキルにも詳しい。
「アイテムボックスは、持っていれば大商人になれるって言われているわ。容量はどれくらい?」
「えっと……無限って書いてある……けど……」
ぽかーん……とした表情になるアスナさん。
「えっと、どうかしたの?」
「わんわんっ!」
ランが何か大きなものを引きずってくる。
それは、巨大な革袋だった。
「どうしたの、ラン?」
袋を開けてみると、そこには大量の魔力結晶が入っていた。
「まさか巣にいたゴブリンの魔力結晶、全部集めてきてくれたのかい?」
「わんわん!」
「えらいぞ、ラン! よしよしよし」
ぼくはランを押し倒して、お腹をわしゃわしゃする。
『ああっ! 若様! 最高! わしゃわしゃ最高!』
ひとしきりなでた後。
「じゃあアイテムボックスに収納してみるかな」
念じると、革袋の下に、黒い四角が出現する。
そのまま袋は、下に落ちて収納された。
「ふぅー……」
「エレン!」
ガシッ! とアスナさんがぼくの手を握る。
「ど、どうしたの?」
「あなた、自分がとんでもないことサラッとしていることに気づいてないのっ?」
「な、何かしたっけ……?」
「アイテムボックスは希少なスキルよ。ただ容量が限られているの。多ければ多いほど、スキルのレア度は高くなる。……無限のアイテムボックスなんて、前代未聞だわ」
そんなにすごいスキルだったんだ、これ。
「こんなすごいスキルどうして……?」
「当然であろう? そなたは精霊使いじゃ。みなおぬしを溺愛しておる。可愛い子には最高のプレゼントを贈りたくなるものなのじゃ」
ニコニコしながら、カレンがぼくを抱きしめる。
頭の上に柔らかな乳房が乗っかって、うう……恥ずかしい……。
「さて、回収するものも回収したし、大翼で街まで転移するかのぅ?」
「ううん、まだだよ。後始末しなきゃ」
「そうね。吹っ飛んだ巣の大きな穴もそうだし、周りの木々も元に戻さないと」
まずは修復スキルを使う。
みるみるうちに大きな穴が塞がった。
「見るの二度目だけれど、本当に凄まじい威力ね、修復スキルって」
「本来ここまでの威力はないのじゃ。膨大な魔力を持つエレンだからこそ、なしえる技じゃ。うむ、さすがエレンじゃよ♡」
むぎゅむぎゅ、とカレンが抱きしめる。
「消し飛んだ木々は……どうしよう?」
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状況打破に適した精霊を呼び出します。
【森呪術師】の精霊核を獲得しました。
【森呪術師のスキル(S)】を入手しました。
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「森呪術師のスキルを手に入れたって……」
「ど、森呪術師……って、たしか希少な職業だったはず……」
「精霊使いにとってレア職業のスキルを獲得することなど容易いことよ。さすがエレンじゃな」
うんうん、とカレンがうなずく。
「じゃあさっそくスキルを試してみるよ」
ぼくはカレンから離れて、スキルを使う。
森呪術師は、樹木を自在に操る職業らしい。
そのスキルを発動する。
ぼくの手から、緑色の光が発せられる。
それは森中に散布される。
たちまち、更地に緑が芽吹く。
凄まじい勢いで樹木が生長していき、やがて森は元通りになった。
「すごい……すごいわエレン! 木々を瞬時に生やすなんて!」
アスナさんがぼくに、キラキラした目を向ける。
なんだか気恥ずかしかった。
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