表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

123/263

123話 邪悪なる神々と旧支配者



 精霊王ルルイエの手によって、邪神ユゴスは完全敗北した。


 その直後、何もない白い空間にて。


「……さて」


 邪神達の主を自称する人物が、ルルイエの前までやってくる。


「なに?」

「…………」


 そのときだった。


「頭が高いぞ貴様ァ……!」


 シュンッ……! とその場に数体の邪神たちが出現する。


 彼らはユゴスの仲間であり、主が従える邪悪なる神々だった。


「なにきみ?」

「おれは【カダス】! 主さまが従える【邪神将】がひとり!」


 カダスは神経質そうな顔の、一見するとただの人間の男だ。


 だがその腕は4本あり、顔も二つあった。


「邪神将、ね。ふーん、たいそうな名前がついている割に、みーんなザコそうだ」


 ふんっ、とルルイエが小馬鹿にしたように鼻を鳴らす。


「き、貴様ぁ……! この力の邪神カダスに対して無礼だぞ!」


 ダンッ……! とカダスが地面を蹴って、ルルイエに殴りかかろうとする。


 だが途中で、ビタッ……! と腕が止まる。


「な、なんだ……」


 ぶわっ、とカダスの体から、脂汗が全身に浮かび上がる。


 ダンッ……! と地面を強く蹴ってルルイエから距離を取る。


「き、貴様ぁ! な、何をしたぁ……!?」


「別に、何もしてないけど。君が僕にビビってるだけじゃないの?」


「だ、誰が貴様なんぞ、軟弱そうな女に!」


 だがルルイエの指摘は的を射ていた。

 がくがく、とカダスは完全に怯えていた。

 精霊王の持つ圧倒的な力を前に、体が恐怖に屈していた。

 心まで折れそうなところを、主の御前だと言うことで、カダスは必死に耐えていたのである。


「カダス、もう下がれ」

「しかし主よ!」


「下がれ、と言っている」


 カダスは不満げな顔で口を紡ぐと、主の後ろへと下がる。


「…………」


 主は気を取り直し、ルルイエに近づいていく。


「へんっ! おまえもう終わったぜ! おれたちの主さまはなァ……! 最強なんだよ……!」


「ふーん、最強ねえ」


 邪神カダスの評価を聞いても、ルルイエは微塵も動揺しない。

 

 遙かなる高みから全てを見下ろすように、目の前の神々を自然体で見ている。


「余裕ぶっていられるのも今のうちだぜぇ! てめえなんてなぁ! 主様がワンパンで倒してくださる! ね、主様ぁ……!」

 

 主はルルイエの前までやってくる。

 両手を広げ……そして、膝をついた。


「へ?」

「……ルルイエ様。どうかわたくしめを、あなた様の軍門にくだらせてくださいませ」


 その場にいた邪神たちが、全員口を開いて、目をむいている。


「おまえ、本当の名は?」

「【イグ】と申します」


「ふーん、あっそ。やだ」


 吐き捨てるように、ルルイエが言う。

 一方で主たるイグは、土下座したままだ。

「そこを、なんとか」

「嫌だって言ってるだろ。おまえはエレンを傷つけたユゴスの親玉なんだ。許されると思うなよ」


 一方で、カダスは声を震わせていう。


「あ、主! イグ様! ど、どうしてこのような女に頭を下げるのです!? どうしてそんなにもへりくだるのですかっ!?」


 イグはカダスをにらみつける。

 それだけで、どさり、とカダスはへたり込んだ。


「黙れ。おまえはわかっていない。この御方の秘める、底知れぬ【邪なる力】を。それはこのわたしをも超える力」


「そ、そんな……イグ様を、この女が凌駕するというのですかっ!?」


 イグは不快そうに顔をしかめる。


「貴様! ルルイエ様になんと無礼な態度を!」


 怒気を飛ばされただけで、カダスは全身から血を流して失神した。


「部下の非礼をお許しください、ルルイエ様」


「別に。虫がブンブン飛んでいても気にならないよ」


「おおっ、あなた様から見れば、邪神もわたくしも虫に等しいと……! なんという……強大なお力……!」


 イグの瞳に映るのは、ルルイエに対する畏怖の念だった。


「ルルイエ様、どうか我らの【支配者】となってくださいませ!」


 深々と土下座する主イグに対して、邪神将たちは困惑していた。


「おまえたちも頭を下げろぉ……!」


 慌てて邪神将たちも、その場に平伏する。

 一方でルルイエの表情は、微動だにしない。


「嫌だね」

「そんな! どうして!?」


「何度も同じことを言わせるな」


 冷たい表情で彼らを見下ろす。

 それだけで、邪神達はガタガタと震えだした。


「僕のエレンは、おまえたち邪悪なる存在を決して許さない。僕の愛しい勇者がおまえらを嫌うのだ、僕もおまえらを好くことはない」


 一方で邪神のひとりが、困惑顔で言う。


「で、でも……あなたも邪悪なる存在では……?」


「……………………………………は? 死ねよ」


 ドサッ! と邪神将のひとりが倒れ、絶命する。

 肉体も魂すらも塵となって消えた。


「僕が邪悪な存在だと……?」


 ごごごご……! とルルイエから圧倒的な暗黒のオーラが立ち上る。


 それは神々しかいられない神の結界すらも破壊した。


「これ以上はやめておこう。おまえをさばくのは僕のエレンだ」


 ふんっ、と鼻を鳴らし、ルルイエは邪神達を見下ろす。


「1秒やる。失せろ」


 フッ……と主と邪神たちが、煙のように消え去った。


「やれやれ、悪はなかなか滅びないね。潰しても潰しても、次から次へと沸いてくる、害虫のようだ」


 だが一転して、ルルイエがうっとりとした表情になる。


「エレン、君のためにあの邪神どもを殺さないで取っておいたよ♡ さぁさぁ、存分に悪を打ち倒してくれ♡」


 はぁ……♡ と熱っぽくルルイエがつぶやく。


「僕にもっともっとかっこいいところを見せておくれよ♡」


 ……かくして、勇者エレンは邪神ユゴスを倒した。

 だがしかし、次なる敵との戦いに、巻き込まれていくことになるのだった。

【※お知らせ】


先日投稿した短編が好評だったので、新連載としてスタートしてます!


「無駄だと追放された【宮廷獣医】、獣の国に好待遇で招かれる~森で助けた神獣とケモ耳美少女達にめちゃくちゃ溺愛されながらスローライフを楽しんでる「動物が言うこと聞かなくなったから帰って来い?今更もう遅い」」


https://ncode.syosetu.com/n1158go/


リンクは下に貼ってありますので、そちらからも飛べます!


頑張って更新しますので、こちらもぜひ一度読んでくださると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] そろそろエレンに文句言われそうだな
[一言] ルルイエ、別に邪悪とは思わんけどなぁ。無邪気とも思わんけど。
[気になる点] 創造神が邪神のボスを超える邪神かあ…あの世界が平和にならないはずですわ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ